三菱自動車(7211)の復活要因は「当たり前」

三菱自動車(7211)の株価が1日で10%近く上昇しました。その要因は、今期業績予想の大幅な回復です。ドル/円想定レートが105円と現行よりも円高にもかかわらず、経常利益は前期の8.8倍となる790億円を見込んでいます。

三菱自動車と言えば、約1年前の燃費不正問題により、国内販売の一時停止や補償金の支払いを余儀なくされました。当該事項に関連し、前期は1,655億円の特別損失を計上しています。

【参考】燃費不正の三菱自動車は割安か?「逆張りバリュー投資」成功の条件

その後、軽自動車を共同生産していた日産自動車に買収され、カルロス・ゴーン会長のもと経営改革を実行しています。

カルロス・ゴーンは、経営危機に陥った日産を立て直しましたが、まず行われたのが徹底したコストカットです。仕入先など従来のしがらみを徹底的に洗い直し、最適なビジネス・フローを作り上げます。

日産ほどのブランドがあれば車は一定量売れるので、コストを下げるだけで相当な利益を生むことができたのです。三菱自動車でも同じような絵を描いているのでしょう。前期にできる限り損失を出し切ることで、V字回復を演出する効果もあります。

似たような例で思い出されるのが、こちらも株価が急騰しているシャープ(6753)です。経営危機からの買収→経営者交代の流れは共通しています。

当ブログでも取り上げましたが、シャープの業績が回復している要因もコストカットです。ここまでの売上高はむしろ減少しています。

【参考】急伸するシャープ(6753)のレポートを公開

日産やシャープ、そして三菱自動車に共通するのは、外国人経営者を受け入れたことです。アウトサイダーが指揮をとることで、それまでのしがらみにとらわれず、必要な改革を実行しています。

改革と言っても何も特殊なことをしているわけではありません。しがらみを断ち、不必要なコスト削減を行うことは、経営者として当たり前のことです。それができない方が異常なのです。

それでも、名も知らない中小企業がコストカットをしただけでは、経営を立て直すことは難しいでしょう。「日産」「シャープ」「三菱」という、築き上げてきたブランドがあるからこそ、コストカットだけで利益を何倍にもすることができるのです。

経営者の能力がないために、素晴らしい価値があるのに利益を出せない企業は少なくありません。そんな会社が「当たり前」に利益を出せるようになれば、自然と株価は上昇するでしょう。私はそんな会社を探したいと思います。

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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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