バリュー株投資は「仮説」「検証」「結果」を伴うプロジェクトである

私が行うバリュー株投資は「資産運用」というよりも「プロジェクト」だと考えています。資産運用は相場の流れに身を任せるものですが、プロジェクトは自らの意志で前に進むものです。

儲かるためのロジックに投資する

資産運用と言うと、株式や不動産、債券など、資産を様々なものに振り分けるイメージが強いと思います。フィナンシャル・プランナーだったら、きっとそのような提案をするでしょう。

これはいかにも賢そうで、「やってる感」を醸し出します。しかし、実際にそれをやって大きく儲かったという話を聞くことはありません。何もしないよりは良い程度のことでしょう。

大きく儲かるには、得意な資産に集中投資しなければなりません。単に集中させればいいわけでもなく、資産が増えるための明確なロジックが必要です。

バリュー株投資におけるロジックとは、株価と本質的な価値の差です。株価が本質的な価値より低ければ、長期的には必ず株価は本質的な価値に収束するため、その差を利益として享受するのです。

仮説、検証、結果のプロセスで自ら前進する

この方法をあえて「プロジェクト」と呼ぶのは、そのプロセスを実験そのものだと捉えているからです。

「本質的な価値」は厳密に計算できるものではありません。価値は誰も知り得ない将来の利益を基準として求められるものですし、株価がある水準で固定されることもありません。

「本質的な価値」とはいわば「仮説」です。将来に対する仮説を立て、時間を経るごとに決算等を通じて「検証」を重ね、それが間違っていなければ株価が上昇する「結果」を得ることができます。

ここまでやるからこそ、自ら前に進む感覚で投資を行えるのです。

仮説が間違っていることもあります。それに気づき、思っていたような本質的な価値がなければ「失敗」と判断し売却するのが適当でしょう。リスクが低い手法とは言え、完璧はあり得ません。

これが「資産運用」的な考え方なら、「輸出銘柄が少ないから、少し買っておこう」とか「この銘柄の割合が上がってきたから売っておこう」という考えになるでしょう。

しかし、このようにして売買する方法に成功のためのロジックは存在しません。銘柄が上昇するための仮説が存在しないため、それを検証する余地がないからです。そこに成功も失敗もありません。

このような方法を続けていては、長期的にインデックス以上の成果をあげるのは難しいでしょう。

したがって、バリュー株投資のポートフォリオは少数精鋭で、かつ特定の業種やパターンに偏ってしまう可能性があります。それは決してリスクが高いとうわけではなく、自らの仮説に基いて前に進んでいるからに他なりません

皆さまにはぜひ、プロジェクトとしてのバリュー株投資にお付き合いいただければと思います。

※本記事は会員向けレポートの一部を抜粋したものです。

Print Friendly, PDF & Email

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

詳細はこちら
サイト訪問者限定プレゼント
あなたの資産形成を加速させる3種の神器を無料プレゼント

プレゼント①『株式市場の敗者になる前に読む本』
プレゼント②『企業分析による長期投資マスター講座』第一章
プレゼント③『YouTubeプレゼン資料』

メールアドレスを送信して、特典をお受取りください。
メールアドレス *
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。

※個人情報の取り扱いは本>プライバシーポリシー(個人情報保護方針)に基づいて行われます。
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。

気に入ったらシェアしてもらえると嬉しいです!

コメントを残す

Popular Article - よく読まれている記事Popular Article

  • 銀行株は今後どうなる?そろそろ売り時?
    今回は銀行株についてです。 銀行株が上がりましたが、もう売るべきなのか、まだ持ち続けるべきなのか、悩んでいる方はぜひお読みください。 売るか...
  • 【紅麹問題の小林製薬】株価20%下落はチャンスか? 過去の成功・失敗事例から学ぶ
    騒動の発端は2016年に遡る 紅麹は米などで紅麹菌を繁殖・発酵させたもので赤い色をしています。コレステロールの抑制作用や血圧低下、リフレッシ...
  • 三井E&Sは割安?「造船」「港湾関係」好調の恩恵はあるか?
    先日公開した記事の中で、さくらインターネット、住石ホールディングス、三井E&Sを「仕手株」として取り上げました。
  • 株価20%上昇の大林組 3倍になった配当金は続くのか?今から投資するべき?
    大林組はゼネコン業界のNo.2の企業である 大林組はいわゆるゼネコン業界に属している企業です。 ゼネコンとは、ゼネラル・コントラクターの略称...
  • 【アステラス製薬の下方修正】1年で株価40%下落 営業利益90%減少の理由。今は買い?売り?
    アステラスの業績の変化 2024年4月12日、アステラス製薬は下方修正を発表しました。   その内容は、 「24年3月期第4四半期...

Article List - 記事一覧Article List

カテゴリから記事を探す