ニューヨークから株式市場を眺める

11月19〜22日にかけて、ニューヨークに滞在していました。目的は、株式市場の本場であるアメリカの雰囲気を肌で感じることと、現地の人々がどのような生活を送り、それが企業の価値につながっているかを自分の目で確かめることです。行っただけではおぼつかないので、現地に滞在している学友に会い、色々な話を聞きました。

リアルとネットが融合、クレジットカード会社が漁夫の利

株式市場が盛り上がりを見せる中で、街中の経済状況を観察してみると、少なくとも景気が悪いという様子は全くなく、消費行動は活発に見えました。今週金曜の大型セールである「ブラックフライデー」も影響していたかもしれませんが、それにしても街は人で賑わっていました。最近の東京の街でも同じような感覚があります。

あらゆる消費行動がAmazonに代表されるネットショッピングに取って代われられるとも言われますが、Amazonが買収したスーパーのホールフーズも多くの買い物客で賑わっていました。

Amazon自身も逆に「Amazonブックス」という実店舗を展開することから、実店舗が全く必要なくなるような状況は当面起きそうもありません。買い物は単にものを買うだけではなく、誰かと一緒に出かけたりする「エンターテインメント」の側面がより強くなると感じました。

一方で、インターネットの現実世界への進出もとどまるところを知りません。空港に着くと、Uberの客待ちと思われる車が列をなしていました。現地の友人も、空港への行き来にはほとんどUberを使うそうです。Uberの料金は通常のタクシーの3分の1で済むため、多少サービスが悪かったとしても目をつぶるだけのインパクトがあります。

同じUberが展開している「Uber EATS」も体験してみました。アプリで見つけた飲食店でハンバーガーを頼むと、約30分でホテルまで届けてくれました。数回ボタンを押しただけで注文でき、特段不都合はありませんでした。極端な話、AmazonとUber EATSがあれば、家から一歩も出なくても十分生活できるでしょう。

ネットとリアルの融合を可能としているのが、クレジットカードです。アメリカではクレジットカードの浸透率が高く、店舗での支払いはもちろん、メトロカード(Suicaのようなもの)のチャージもクレジットカードでできます。Uberでは事前に登録したカードで決済を済ませてしまうため、サインを含め余計な手間が省けます。ネットが浸透するほど、クレジットカード会社の手数料は右肩上がりで増えていくのです。

実際に、VISAの収益は右肩上がりに増え続け、株価も上昇が続いています。Amexが使えない店舗はいくつかありましたが、VISAやMasterはほとんどどこでも使えました。インターネットの浸透で利を得るのは、IT企業よりも従来からあるVISAのような企業かも知れません

【出典】Stockclip

これからの最先端は中国になる可能性を痛感

ニューヨークは人種も文化もごちゃまぜになっていましたが、同時に「新しいもの」と「古いもの」も混在していると感じました。Uberやネットフリックスが世界に先がけて浸透した一方、欧州ではなくなりつつあるチップ文化や非効率とも言える労働の分業体制はなくなる様子がありません。後者の例では、レストランで注文を取る人と配膳をする人が分かれているという具合です。

労働の分業がなくならないのは、移民がどんどん流入するからと考えられます。安価な賃金帯にも一定の労働力があり、非効率な体勢でも回すことができるのです。ここは、労働力不足が深刻になりつつある日本との大きな違いと考えられます。

水産会社の友人によると「日本だと機械で魚の骨を取り除こうとするけど、アメリカは人海戦術でやれてしまう」そうです。これが続く限りは、製造業においてアメリカからのイノベーションは起こりにくいと考えます。

今回の滞在を経て、ますます面白いと考えるようになったのが中国です。13億人の人口を抱える巨大な市場はもちろんのこと、ネットが一気に浸透したおかげでスマホ決済が急速に進み、賃金の上昇により工場も機械化投資が進んでいます。成長の勢いも凄まじく、新たな巨大企業は中国から生まれる機運が高まっていると考えるようになりました。

インターネットのイノベーションでは、既存の概念が簡単に覆されてしまいます。日本では既得権益を守ることが主眼となり、規制により前に進むのに時間がかかりますが、弱肉強食のアメリカではいいものはすぐに浸透する自由度の高さを感じました。中国は決して自由とは言えませんが、グローバル・スタンダードになる可能性があるなら、習近平政権は成長企業をどんどん後押しするでしょう。

今後も世界中に顔を出して、より幅広い見地から割安な銘柄を探していきたいと思います。もちろん、海外の企業を見るだけではなく、それを日本企業の研究にも役立てたいと思います。

※本記事は会員向けレポートの一部を抜粋したものです。


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2 件のコメント

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