推奨銘柄を分類しました

会員の方から、以下のような質問がありました。

推奨銘柄の優先順位をつけられないか。

推奨銘柄をほぼ均等に割り振る方法も一つの考え方ですが、それぞれの会員にとってより適した銘柄の比重を高くした方が、望ましい結果をもたらす可能性が高まります。

一方で、各銘柄を単純に順位づけすることもできません。それぞれの銘柄が持つリスク・リターンの度合いや、価値が実現するまでの時間軸などが異なる上、各会員の運用方針によって持つべき銘柄の性質が異なるからです。

資産運用は本来、各個人の方針に沿って行われることが望ましいもので、いわばパートナーを選ぶようなものです。銘柄にはそれぞれの「性格」があり、自分の運用方針に合った性格の銘柄でなかったら長続きしないので、長期投資には不向きと言えます。

本項では推奨銘柄を大まかに分類し、それぞれの会員が目標に合ったバリュー株を選択するための基準としていただきたいと考えます。本内容を自分に適したパートナーを探すための「結婚相談所」のような役割で使用していただけると幸いです。

① 一時的なネガティブ評価による割安銘柄

短期的な業績悪化や公募増資、ネガティブなニュース等により一時的に割安となっている銘柄です。

このような銘柄は、業績の回復や単純に時間が経過することにより本来の価値が見直され、比較的早い段階(数ヶ月〜3年程度)で適正な株価に戻ってくる可能性が高いと言えます。

ただし、損失を避けるためにはより確度の高い価値を見込む必要があり、あまり極端に割安になるわけでもありません。中期的に2倍程度までのリターンを目指すのが望ましい戦略と言えます。

② 放っておいても自律的に成長する銘柄

バフェットの言う「永久保有銘柄」に分類される銘柄群です。外部環境に恵まれており、利益を再投資することでさらに成長が見込まれ、自律的な価値の増加が期待できます。

これらの銘柄は、事業が優良である限り、時間が経てば経つほど価値が増加していくため、基本的に売却を考える必要はありません。銘柄によっては配当水準も高く、安定的なインカムゲインももたらしてくれるでしょう。

もちろん、どれだけ優良な銘柄であってもバリュー株投資としては割高な水準で買うことはできません。しかし、大幅に割安である必要はなく、「それなりの価格」であれば手を出す価値があります。

③ 将来大化けする可能性のある銘柄

現在はくすぶっていたとしても、将来事業が軌道に乗った時に成長可能性が限りなく大きく広がる銘柄です。マーケットが大きければ大きいほど、投資する価値を見出せます。

過去の業績から価値を判断することは困難です。そのため、定性的な条件から優位性を見出す必要があります。銘柄の状況だけではなく、世の中の流れまで見通す必要があります。

当面の評価は定まらないため、短期的な株価変動には目を瞑る必要があります。価値の評価も難しいことから、①や②と比較するとリスクは大きいものです。それでも、当たると大きいと考えられることから、気長に待つことで大きなリターンを得られる可能性があります。

バリュー株投資の軸は「ズレ」

ここまで分類すると、「バリュー株投資の軸な何なのか」という疑問にたどり着きます。推奨銘柄の特性は多岐に及びます。それでも、私は一つの軸を持って銘柄を選定しています。その軸とは「ズレ」です。

株価は、多様な投資家の合意によって決まります。それぞれの投資家も適当に売買しているわけではなく、各自の視点で銘柄の将来を見通して投資しています。

しかし、中には価値に関係のない短期投資を行う投資家がいたり、長期投資でも心理的な要因により本来の価値から乖離した評価を行ってしまうことがあります。その「ズレ」が、バリュー株投資のリターンの源泉となります。

株式の価値は、その銘柄がもつ「成長性」と「リスク」によって決まります。成長性はプラス要因で、リスクはマイナス要因です。上記分類の①は「リスクの過大評価」③は「成長性の過小評価」にリターンの源泉があると考えます。(②はその両方です。)

どこにリターンの源泉があるか考えることで、銘柄の売買姿勢が明確になるとともに、新たな推奨銘柄が見つけられるかもしれません。そのような観点で、引き続きお付き合いいただけると幸いです。

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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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