株価4割下落、クックパッドは割安か

クックパッドが創業者と前社長の対立により、株価がピークから4割下落したことがニュースで取り上げられています。株価下落により割安な水準になっていることも考えられるため、その中身について見ていきます。

ビジネスモデルは非常に優秀

クックパッドは、ユーザーが投稿したレシピをまとめて掲載しているサイトを運営しています。月間利用者数は約6,000万人と、国内人口の半数が利用しています。有料会員数は180万人と、これまで順調に伸ばしてきました。

【出典】クックパッド 2016年12月期第1四半期決算補足説明資料

【出典】2016年12月期第1四半期決算補足説明資料

レシピを投稿するのはユーザーですし、閲覧者を有料会員に引き込めば安定的な収益が見込めるので、ビジネスモデルとしては非常に優秀です。営業利益率は50%近く、とんでもない数字を誇っています。

PER40倍の正当性はあるか

規模感は売上高150億円、当期純利益40億円と比較的小ぶりにとどまっています。それに対し、時価総額は現在でも約1,600億円あります。PERで換算すると40倍にもなります。

PERが高いということは、それだけ成長性が見込まれているということです。

クックパッドの顧客は料理をする人であり、その中でも有料会員になるような人は毎日料理をする主婦であることが多いでしょう。対象となりそうな30~40代の主婦の数は約1,000万人です。それに対して有料会員が180万人ですから、すでにかなり高い有料会員率を持っています。逆に言えば、国内における成長余地は限られていると言えます。

ここから成長するためには、クックパッド以外の分野に事業を拡大するか、日本を出て海外へ本格進出する必要があります。しかし、創業者の佐野氏は、前社長の穐田氏を中心に進められたM&Aを活用した事業の拡大路線に待ったをかけました。これまで買収してきた企業も売却する方針を示しています。

佐野氏の方針では、クックパッドが今後何で成長していくのが見えにくくなっています。料理を中心とする事業展開を掲げていますが、それだけでPER40倍を維持できるか疑問です。仮に順調に有料会員が倍増し、純利益が2倍になったとしても80億円、甘く見ても時価総額1,000億円がいいところでしょう。

これまでも株価は下落を続けていますが、私の感覚ではまだ高い水準です。少なくとも今後の成長性に関して、市場は冷静に見ていると思います。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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4 件のコメント

  • 株は十年前から始めしたがよい情報が得られずずるずると負けました。そんな中でやっと信用できそうな情報にたどり着きました。
    有難うございます。

  • 他の記事も含めて興味深く読まさせて頂いております。
    ありがとうございます。
    クックパッドに関してですが優秀な社員が離れることによる中長期的なリスクはどのように見られているのでしょうか。

    • お読みいただき、ありがとうございます。
      優秀な社員がいなくなることは、成長性を削ぐものとして重大なリスク要因と認識しています。経営方針が内向き志向を強めるのであれば、新たに優秀な社員を雇用することも難しくなるでしょう。
      何卒よろしくお願い申し上げます。

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