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以下、文章化したものです。
今回は先日決算発表がありましたJR東海とJR東日本について解説したいと思います。
この決算発表で両社ともに上期赤字と同時に通期の予想も黒字の予想から赤字の予想に下方修正しています。
果たしてこれらの会社は大丈夫なのでしょうか。
下方修正、赤字転落。大丈夫?
JR東海が10月27日に、JR東日本が28日に決算発表を行いました。
まずJR東海ですが、上期、4月から9月の決算で、売上高が2019年3月比で60%減少しているというところです。
営業利益が340億円の赤字、純利益が444億円の赤字ということになっています。
さら通期2022年3月期の予想が、営業利益が元々黒字の1060億円を予想していましたが、黒字のままでありますが370億円に、純利益は150億円の黒字の予想を赤字の300億円にしています。
JR東日本に関しても同じような状況で、売上高が2019年3月期対比で42%の減少、営業利益は赤字の1158億円、そして純利益も赤字の1452億円となっています。
そして通期の予想としては、営業利益がで740億円の黒字の予想が1150億円の赤字、純利益も360億円の黒字
から1600億円の赤字と、業績予想をいずれも下方修正、最終純利益に関しては赤字転換となっています。
何故このような悪い状況になっているのかというと皆さんご承知の通りコロナ禍で人々の人流が抑えられてしまったというところにあると考えます。
東海の決算説明資料から分かりますが、元々この第2四半期は徐々に良くなってくるのではないかという見通しがあったのです。
けれども4月に東京で緊急事態宣言が発出され、それが各地に拡大、結局9月30日の上期が終わるまで緊急事態宣言が続いてしまいました。
元々JR東海に関してはこの第2四半期には2019年3月期待比で45%まで戻ると想定していました。
これが39%までしか戻らなかったということで、期初に立てた予想を下回ってしまったということです。
JR東日本に関しても、まだ決算説明資料は出ていないのですが同じ状況という風に考えていただければいいのではないかと思います。
織り込み済み?先を見通せ!
ではこの決算と赤字予想を受けて株価はどう反応しているのかというところを見ていきます。
JR東海はその発表を受けて、寄り付きでは確かに16500円を割るところまで下がりましたがその後戻して、なんと最終的には発表前に比べてプラスとなっています。
JR東日本も、発表後の株価というわけではありませんが東海と同じような結果が想定されるので似たような動きをしています。
これ見て何が言えるのかというと、投資家は実はこの予想の下方修正というのをさしてネガティブに感じていない、すでに株価に織り込み済みだったということが言えるのではないかと思います。
それもそのはずで、もう人が電車に乗って移動できていないというのが明らかでしたからこれくらいのことはすでにもう投資家は予想していたわけです。
よって市場は驚くことなく、こういったことがあっても株価が必ずしも下がらないという現象が起きました。
これは株式投資の用語では「織り込み済み」と言いますが、結局は決算によって株価が上がるか下がるかというのは、実際にその決算が良かったかどうかというよりは既に市場が織り込んでいるかどうかということが重要になってくるので、投資をする方は決算の数値そのものだけではなくてそれに対して投資家が先を
織り込んだ結果どのように考えているかというところまで見通すようにするとレベルが一つ上がるのではないでしょうか。
先を織り込むとなると、問題は下期の見通しです。
目下、感染状況も相当落ち着いてきて、比較的明るい見通しが立てやすい環境なのではないかと思います。
そんな中で下期だけ切り取って見ると、JR東海に関しては今回の決算発表で2019年3月に対比で70%ぐらいまでは戻るだろうという見通しを立てています。
一方東日本に関しては83%をまで戻るのではないかと言っています。
どちらかというと東日本の方が楽観的な見通しとなっています。
なぜかというと一つの期待として挙げられるのはGоToキャンペーンの再開ということがあるのではないかと思います。
今衆議院議員選挙の真っ最中ですけれどもこの衆院選が終わった暁には、コロナも落ち着いていますからおそらくGo Toが再開されるだろう、その恩恵を受けやすい企業としてはやはりJR東日本が挙げられるのでは
ないかと思います。
ちなみにこのJR東日本とJR東海の特徴としては、JR東日本はかなり幅広いエリアを抱えていて、普通の通勤客と新幹線、ビジネスと旅行を大きいものとしています。
一方でJR東海は収益の大部分が新幹線です。
しかも不動産や流通の方にも手を出していません。
ほぼ新幹線、特に東京大阪間のビジネス客の需要によって支えられています。
従ってこのビジネス需要というのが大きく影響してきます。
このGoToキャンペーンはもちろん東京大阪間の移動というのもありますが、東京から各地に旅行に行くという面に関してはやはりJR東日本が恩恵を受けやすいのではないかと考えられます。
もちろん東海にもプラスの影響があることも確かです。
そしてコロナ禍が収束したら、GoToに関わらず、帰省なども含めて増えてくるだろうと考えられます。
さらにはコロナ禍での財務的な厳しさを受けて両社ともコスト削減を行っています。
このコスト削減と需要の回復が見られることで、来期以降の話ではありますが利益幅が乗ってくるのではないかと期待される理由となっています。
一方で不安としては、コロナが再拡大してしまうと今の状況がいつまでも続いてしまうということになってきます。
また、ビジネス客については、長期的な目線で見ても例えば会議であったりお客様のところに行くというのに今までだったら新幹線を使って東京から大阪にも行かなければならなかったのが、今やリモートで終わらせてしまおうというケースが珍しくなくなってきました。
当然企業としてもその方がコストがかかりませんから、ビジネス客が戻らないのではないか、特に東海はこれまでのような収益を上げ続けられるかというと難しいところがあるのではないかと思います。
そして、コロナ禍がまだ続いて赤字が膨らんでくるようであれば、東日本も東海もJR西日本のように財務基盤強化のために増資を行う懸念も高まってきます。
もっと長期的な見通しをお話しすると、コロナ禍が終わらないということはなく、いつかはこれまでのような状況に戻ることは確かだと思います。
一方で、先ほど言ったようにビジネス客に関しては出張がですね全部リモートに置き換わってしまうことも想像できますから完全に戻るわけではないとしておかなければなりません。
しかし、コスト削減を行うとも言っています。
JR東日本に関しては、営業利益が4000億円のところを1000億円のコスト削減というインパクトの大きいことを言っていますし、不動産の新たなビジネスも行っています。
JR東海もコスト削減と不動産の活用と同じようなことを考えていて、さらに付け加えるならばリニア新幹線で新たな積み上げを図ってくると思います。
両社の大きな懸念としてはやはり財務不安です。
先ほど増資懸念というところもありましたが、コロナ禍が続けば続くほど借金が増えるということになります。
借金が増えるということは支払利息が増えるということになりますから、利益の減少要因になってしまいますし、当然、配当なども減ることになり、身動きが取りにくい状況になってしまいます。
コロナ禍が続けば続くほど将来に禍根を残すこととなります。
もっと言うとJR東海に関してはコロナと関係なくリニアのために借金が増えていくことがほぼ確かなことで、これが先行きを怪しくしています。
さらに、リニアに関しては作ったらその分収入があるわけではなく、新幹線も残したままなので乗客が分散するだけなのではないかという懸念もあります。
株式投資というと損益計算書ばかり注目されがちですが、特にJRのような設備投資型の産業では財務状況を見ることも重要ですので忘れないでいただきたいと思います。
シナリオを考えるべし
株価ですが、過去2年の株価を見ると、やはり増資のあったJR西日本が他の2社に比べて下落幅が大きくなっています。
JR各社、コロナ前と比べていずれも30パーセントマイナスという状況になっています。
コロナが終わって戻るのか、コロナ前ほど利益を生めなくなってしまうのか、逆にコロナを起爆剤に新たなビジネスでむしろ利益を伸ばすのか、どのシナリオに賭けるかで今後の投資行動が変わってきます。
これらの会社に投資を考える際はこの3つのシナリオを想定して株を買ってみると良いのではないかと思います。
もちろんコロナ前以上の利益を出せると考えた時にのみ買うということをおすすめします。
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