コスト削減の限界
世界トップのモーターメーカーであるニデックです。
一代で築き上げた永守会長の手腕は素晴らしいですが、結論から言うと私はあまり評価していません。
手法としては、オペレーションのコストをとにかく下げて、M&Aにおいても業績が苦しいところをあえて買ってそこもコストを下げて、利益を積み上げて大きくなってきました。
しかし、そのやり方では成長性に疑問があります。
きついコスト削減を延々にやっていると現場は疲弊してきます。
業績を見ても雲行きが怪しいところがあります。
何年かに一度、カクンと利益が下がっています。
これは「構造改革費用」によるものです。
事業の中でおかしな部分が溜まってきたから一掃しようということで、損失をまとめて出しているのです。
これを頻繁にやっていると、一見利益は右肩上がりになっているようですが、上と下を均してみるとほとんど成長していないという見方もできます。
会計的にも無理をしているという話もあります。
きつい現状から脱却するには
企業が付加価値を生む方法は2つあって、一つはコストを下げる方法です。
もう一つは「高付加価値戦略」です。
ニデックほど規模が大きくなってしまうと、永守会長の目が届くところでコスト削減を続けることには限界があると思います。
私は高付加価値戦略を行うべきだと思いますが、永守会長はそうしようとしません。
ニデックの平均年収は500万円くらいとかなり低く、これでは優秀な人材が集まるとは思えません。
退職者も増えているようです。
そういったところが今の不安定な業績に反映されているのではないかと思います。
一時期は永守会長のM&A等の手法がもてはやされて株価がかなり高かったです。
PERも平均しても40倍程度あったものが、今は23倍程度となっています。
割安になったようにも見えますが、これまで説明してきたように、今が良い状況とは思えず、むしろ今が適正な数字ではないかと思います。
株価チャートも一時期は良かったものの今は落ちてきていて、結局2015年くらいからほとんどプラスにはなっていません。
業績的にもこれが適正な評価だと思います。
今後、世代交代が進むのかというところは注目ですが、現時点では投資したいと思える対象ではありません。
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