投資のタイミングは難しいから、一度に買わないことが肝心。「分割投資」の上手な活用法

株価は日々変動します。いくら割安であっても、より安く買い、より高く売った方がいいことは言うまでもなく、売買のタイミングの問題は付きまといます。買った銘柄が値下がりすると、やはり気分が落ち込むものです。

どんな投資家も底で買って天井で売ることは不可能です。タイミングに絶対はないと言えます。だからこそ、長期投資家の皆さまには「一度に買わない」ことを徹底していただきたいと考えます。

私が推奨銘柄として取り上げたとして、そのタイミングが底である可能性はほとんどありません。もちろん、割安なものを推奨しているため長期的には上昇を見込みますが、一時的に下落すれば気持ちが落ち込むだけでなく、チャンスを逃してしまいます。

例えば、推奨当初の価格が100円の銘柄があり、1年後に130円になったとします。最初に300万円全額を投じたとすると、利益は90万円、率にすると30%です。

しかし、その間に一度90円まで下がってから95円、そして130円になったとしましょう。100円の時に100万円買い、90円の時に90万円、95円の時に95万円購入すると、1年後に130万円になった時の利益は105万円、率にすると37%となります。

投資金額利益リターン
一括投資300万円90万円30%
分割投資285万円105万円37%

 

このように考えると、長期投資ではしばらく株価が低迷することは、逆にリターンを上昇させるチャンスなのです。その間に企業分析にも深みが増すため、より確信を持って投資できるようになるでしょう。

もちろん、すぐに上昇した場合は追加投資できないため利益は小さくなってしまいますが、損をするわけではないので、潔く次の銘柄を探すのが良いでしょう。金額が小さくても、短期で回収できたのならラッキーと考えるべきです。

このやり方だと、例えば1年後に100円に戻っただけだったとしても、15万円(5%)の利益が出ることになります。利益がゼロと少しでも出るのとでは次へのモチベーションが全然違います。これがあるからこそ、バリュー株投資では「大きく下がりにくい銘柄」を第一の基準に考えるのです。

注意したいのは値下がりを続ける銘柄です。下がり続ける銘柄のナンピン買いを続けていては、資産を目減りさせるだけです。だからこそ、値下がり時には細心の注意を払ってその要因や今後の見通しを考える必要があるのです。

それで自信が持てないようであれば、すぐにでも売却して次へ移ったほうが良いでしょう。撤退も時には必要です。最初にまとめて投資しないことで、損失も最小限に抑えることができます。

株価の動きが「予測できない」ことを前提とする「分割投資」は、長期投資においてリターンの向上およびリスク回避に役立つ考え方です。ぜひ、皆さまにおかれましても、一度に買うのではなく、少しずつ買い増していくことをおすすめします。

それを実行するために、有料会員向けレポート内でも「推奨銘柄週次コメント」で各銘柄の状況を逐次お伝えし、「今週のおすすめ」で取ってほしい行動をお知らせいたします。ぜひうまく活用し、資産形成の一助としていただきたいと思います。

※本記事は会員向けレポートの一部を抜粋したものです。

Print Friendly, PDF & Email

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

詳細はこちら
サイト訪問者限定プレゼント
あなたの資産形成を加速させる3種の神器を無料プレゼント

プレゼント①『株式市場の敗者になる前に読む本』
プレゼント②『企業分析による長期投資マスター講座』第一章
プレゼント③『YouTubeプレゼン資料』

メールアドレスを送信して、特典をお受取りください。
メールアドレス *
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。

※個人情報の取り扱いは本>プライバシーポリシー(個人情報保護方針)に基づいて行われます。
※送信したメールアドレスに当社からのお知らせやお得な情報をお送りする場合があります。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。

気に入ったらシェアしてもらえると嬉しいです!

コメントを残す

Popular Article - よく読まれている記事Popular Article

  • コマツの株価が上方修正でも22%下がる理由。買い時か?
    コマツの株価が急落しています。9月19日に4,509円をつけてから、1ヶ月半で22%近く下げています。 出典:株探 今回は「なぜ株価が下がっ...
  • 5大総合商社の最新決算分析。資源価格下落でも好調な企業は?
    5大商社は注目度が高いセクターです。 これらの企業は日本独特のビジネスモデルであり、投資の神様ウォーレンバフェットからも一目を置かれる存在で...
  • ブラックマンデーの再来?暴落が起きたらどうする?
    最近の株式市場の様子を見ていると、多くの専門家がブラックマンデーと現在の状況が似ているのではないかと指摘されています。 ブラックマンデーは1...
  • 米国債への投資はアリ?米国債の特徴とリスクをアナリストが解説
    今回は米国債についてお話ししたいと思います。 皆さんご存知だと思いますが、現在、米国の金利が上昇しており、利回りで言うとおよそ5%になってい...
  • 【最新決算分析】サイバーエージェントの株価が上がる3つの条件。Abemaは黒字化するのか?
    サイバーエージェントは注目度の高い企業です。 日本を代表するインターネット企業であり、AbemaTVの運営やウマ娘の開発などを行っています。...

Article List - 記事一覧Article List

カテゴリから記事を探す