コメダHD(3543)はリピーターの確保が難しい飲食店で「台風の目」となるか?

コメダHD(3543)は「コメダ珈琲店」をフランチャイズ展開する会社です。名古屋発祥でロードサイド中心に店舗展開を行い「時間を気にせずゆっくりくつろげる」ことが特徴です。

「長居すること」に特化したビジネスモデル

私の自宅(千葉)や実家(鹿児島)の近くにも店舗があるので、食事や仕事のためによく利用します。長居するにはもってこいだからです。

店内を眺めると、多く見かけるのが主婦のグループです。彼女たちも時間を気にせず、長々とおしゃべりを続けています。それでも割に合うようにするためか、コーヒーや食事の価格はやや高めに設定されています。

複数店舗を利用して気がつくのが、どこもほとんど同じ内装だということです。それも決して安物感があるわけではなく、木材によるログハウス調の建物に真紅のソファが並べられています。ソファの座り心地も上々です。

【出典】コメダ珈琲店ホームページ

このことからも、長居ができる喫茶店という方向性が一貫しています。スターバックスやドトールとはまた違った戦略です。どちらかと言えば、競合はファミリーレストランになるのではと思います。

堅実経営で中京圏以外を伸ばす

もともと非上場会社でしたが、創業者を離れてファンドの手を渡り歩き、2016年に東証一部に上場しました。そのため、社長はセガやナイキ、日本マクドナルドを渡り歩いた「プロ経営者」です。

プロ経営者と言えば、M&Aなど派手なことをする人も珍しくありませんが、現在のコメダの経営を見ていると非常に堅実です。ひとつの方向性に向かってするべきことをしている印象を受けます。

業績は好調で、上場後増収増益を続けています。

【出典】マネックス証券

これは主に店舗数の拡大によるものです。フランチャイズチェーンである以上、店舗数を増やし続けることが成長の鍵を握ります

【出典】2019年2月期決算説明資料

名古屋発ということで、中京地区での店舗数が最大となっています。6月に青森県に出店し、全都道府県への配置を達成しました。今後は中京地区以外への出店を強化するものと思われます。

リピーターの確保が難しい飲食店で「台風の目」となるか?

飲食チェーン店は成長しているうちは良いのですが、そのまま伸び続けることは容易ではありません。多くの場合、どこかで頭打ちになり、その後衰退してしまうことが多いからです。

例えば、ペッパーフードサービス(3053)が運営する「いきなりステーキ」は急速に店舗を拡大させましたが、あまりに急ぎすぎたせいか急激に下火になりました

チャート画像

何が難しいのかと考えると、結局はそれぞれの店舗の質を維持することだと思います。従業員教育はもちろん、店舗が経年劣化で古くなると徐々に客も離れていってしまいます。

また、そうでなくても最初は目新しさでお客さんはやってきますが、話題性がなくなると少しずつ離れていきます。チェーン店に限らず、リピーターの確保が長期的な経営には欠かせないのです。

その点、コメダは地元密着で、土地に根付いた主婦層の需要を取り込めれば手堅い運営ができそうです。出店も急ぎすぎている感じもせず、安定した経営という印象を受けます。

一方で、堅実経営ゆえに急速に伸びるわけではありません。成長率は年数%にとどまります。のれんや借入金も多く、拡大スピードにも限界がありそうです。

直近で株価は下落傾向にありますが、PER17倍とそこまで割安感もありません。外食としては安定性が高い企業だと思うので、安くなったら検討したいと考えます。

チャート画像
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執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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