株式投資に興味はあるものの、「何から手をつければいいのか」「損をするのが怖い」と感じている方は多いでしょう。未経験であれば同様の不安を抱えるのが普通です。
実は、投資の世界では長年経験がある「ベテラン」を自負する人であっても、体系的な学習ができておらず、基本的な概念が抜け落ちていることが少なくありません。今回は、投資初心者の方が抱くリアルな疑問を一つずつ解消し、長期的に資産を形成するための「負けないための鉄則」を解説します。
目次
投資でお金は本当に増やせるのか、それとも「運」か?
投資を始める際、誰もが抱く最大の疑問は「ちゃんとやればお金は増やせるのか?それとも、知識があっても結局は運に左右されるギャンブルなのか?」という点でしょう。
これに対する絶対的な答えを出すのは難しいですが、過去の実績という強力なエビデンスがあります。例えば、市場全体に投資する「インデックス投資」という手法。これは簡単に言えば、あらゆる銘柄を詰め合わせた「株のパック商品」に投資するようなものです。
このインデックス投資の過去のデータを紐解くと、年率で平均6%〜7%程度の利回りで増え続けてきたという確かな実績があるのです。長い期間で見れば、投資はお金を増やすための極めて有効な手段であったことが証明されています。
「インデックス投資」の仕組みを正しく理解する
では、なぜインデックス投資ならお金が増えやすいのでしょうか。その本質は「確率の集約」にあります。
個別株投資の場合、例えば10個の銘柄があったとして、そのうち3つは外れ(損をする銘柄)になるというのがざっくりとしたイメージです。もし、あなたが運悪くその1つだけを選んで投資してしまったら、3割の確率で失敗してしまいます。
しかし、インデックス投資は「10個あるなら10個丸ごと買う」という手法です。
- 当たりがプラス1、外れがマイナス1だとすると、
- 7つの当たり(+7)と3つの外れ(ー3)を合算し、
- トータルでプラス4の利益が残る。
このように、個別の「当たり外れ」を相殺して、全体の成長を取り込むのがインデックス投資の強みです。また、現在は世界的に「インフレ」の局面ですが、株という資産は基本的にインフレ率よりも上がりやすいという特性を持っています。そのため、インフレ分以上の成長を期待できるというのが投資の基本概念です。
なぜ損をするのか?期間と「大数の法則」の重要性
インデックス投資が「損をしにくい」と言っても、100%勝てるわけではありません。ここで重要になるのが「期間」という概念です。
「今この瞬間に投資して、1年後にプラスになっているか」と問われれば、その答えはプロでも分かりません。インデックスであっても、1年単位で見れば3割程度の確率でマイナスになっている年があるのが現実です。
しかし、この期間を2年、3年、あるいは10年と積み上げていくと、話は変わります。これが数学で習う「大数の法則」です。
- 1年単位のプラスマイナスは激しい。
- しかし、長期で回数を重ねるほど、結果は「期待値(プラス)」へと収束していく。
短期的な「明日上がるか、下がるか」という予測は、限りなく50対50に近い世界(実際には51対49くらいでプラスが有利な程度)の話です。投資で勝つためには、目先の動きに左右されず、長い目線で「数の分散」と「期間の分散」を徹底することが不可欠です。
初心者が失敗する「たった1つの行動」とは?
「投資は長期で見れば勝てる」と分かっていても、なぜ多くの人が損をしてしまうのでしょうか。私が周りの動きや統計を見て確信している「失敗の最大の理由」は、「自ら負けを確定させてしまうこと」、つまり途中でやめてしまうことです。
どんなに優れた投資対象であっても、運の要素を完全に排除することはできません。プロでも失敗することはあります。しかし、一時的な下落に耐えられず、「1年足らずで売却して投資をやめてしまう」ことこそが、最も損をする行動なのです。長い時間軸で持ち続ければプラスになったはずのものを、わざわざ負けているタイミングで手放し、負けを確定させてしまっているのです。
実は、証券会社のデータなどで「最もパフォーマンス(成績)が良い投資家」を調べると、驚きの結果が出ています。
第1位:既に亡くなっている人
第2位:投資していること自体を忘れている人
これらは冗談ではなく、本質を突いた話です。余計な売買をせず、ただひたすら「放置」し続けた人が、結果的に最も利益を上げているのです。
「合理的な判断」が裏目に出る?売買のタイミングの難しさ
「何もしないのが一番」というのは、口で言うほど簡単ではありません。人は「合理的に考えて」売買をしてしまいがちですが、それが裏目に出ることが多々あります。
例えば、ロシアがウクライナに侵攻した際、ロシアでの売上が大きいJT(日本たばこ産業)株において、「現地資産が接収されるリスクがある」と合理的に考えて売却した投資家が多くいました。しかし、結果的に資産接収は起こらず、株価はそこから大きく上昇しました。リスクを懸念して売った時ほど、皮肉にもその後の結果が良くないということは多々あるのです。
初心者が「やばそうだ」と感じて動く時、それはすでに市場の恐怖に飲まれている可能性が高いと言えます。
損切りが必要な「本当にダメな時」の判断基準
もちろん、「死ぬまで持ち続ければ良い」と盲信するのは危険です。中には本当に手放さなければならない「ダメな時」もあります。それは、企業の業績が恒常的に下降線をたどり、倒産の危機が迫っているような場合です。
かつての日本航空(JAL)が良い例です。経営破綻して国有化される前に株を持っていた人は、持ち続けても資産がゼロになってしまいました。こうした「外れを引いた時の致命傷」を避けるためには、やはり1つの銘柄に固執せず、分散させておくことが重要です。1銘柄がダメになっても、他の銘柄がカバーして全体を薄めてくれるからです。
資産を爆発的に増やす「複利効果」と配当再投資の威力
投資の成功確率をさらに高める武器が、「配当金」と「複利効果」です。
株を持ち続けていると、定期的に配当金が入ってきます。この配当金が積み上がっていくことで、投資の収益はどんどんプラスに傾きやすくなり、結果として損をしにくくなります。さらに、受け取った配当金を再び株に投資する「配当再投資」を行えば、複利の効果が爆発的に発揮されます。
50年間の米国市場(S&P 500)のデータを見ると、その差は歴然です。
- 債券投資(再投資あり):ゆるやかに上昇。
- 株(指数のみ):大きく上昇。
- 株(配当再投資あり):他の追随を許さないほど飛び抜けて上昇。
50年という長いスパンで見ると、配当を再投資したケースとそうでないケースでは、最終的な資産額に数倍の差が開くこともあります。初心者のうちは、証券会社の設定で「配当金を自動で再投資するコース」を選んでおくことが、成功への近道と言えるでしょう。
初心者が今日からできること
今回の内容をまとめると、投資初心者が致命傷を避け、着実にお金を増やすためのルールは非常にシンプルです。
- 分散投資:インデックス投資や、複数の優良企業の株を持つ。
- 長期保有:短期的な上げ下げに一喜一憂せず、とにかく「やめない」。
- 放置の美学:投資していることを忘れるくらいがちょうど良い。
- 再投資:複利を味方につける。
「マイナスにならない魔法」はありませんが、「長く持てば持つほどプラスになる確率を高める」ことは誰にでも可能です。
次回は、インデックス投資から一歩進んで、「自分で10個の銘柄を選ぶなら、どのような基準で選び、どう組み合わせれば良いのか」という、より実践的なポートフォリオ構築術についてお話しします。
共に学び、腰を据えた投資を続けていきましょう。
投資は「果樹園の経営」に似ています。苗を植えてすぐに「まだ実がならない」と掘り返してしまっては、いつまでも収穫は得られません。台風(市場の暴落)が来ても、どっしりと根を張る木(優良企業やインデックス)を信じ、実った種を再び植え続ける(配当再投資)ことで、数十年後にはあなたの庭は豊かな森へと変わるはずです。
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