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イギリスのEU離脱(ブレグジット)に端を発して、銀行株が大きく値を下げています。欧州の銀行が厳しい状況に置かれているという報道もあり、日本の銀行株もつられて下げている状況です。
直接的な影響は小さい
ブレグジットが決定した6月24日(日本時間)から、三菱UFJ(▲16.6%)、三井住友FG(▲14.7%)、みずほFG(▲13.1%)は大きく下落し、いずれも年初来安値を更新しています。日経平均の▲7.0%と比較しても大きな下落率です。
イギリスがEUを離脱することによるこれらの銀行への直接的な影響は大きくないと考えます。メガバンクはイギリスをはじめとする欧州にさほど大きな資産を抱えているわけではないからです。
だとすると、株価下落の理由として考えられるのは2点です。1つはリスクオフによる国債利回りの低下、もう1つは欧州に端を発する金融危機の可能性です。
低金利は今に始まったことではない
国債利回りの低下は確実に進んでいます。日本国債の利回りは20年までマイナスに突入し、米国の10年国債利回りも過去最低を更新しています。利回りの低下は、金利が主たる収益源である銀行の業績は確かに厳しくなります。
しかし、低金利は今に始まったことではありません。特に日本では、マイナス金利が導入される前からずっと低金利が続いています。各メガバンクはそんな中でも利益が稼げるように、海外進出や手数料ビジネスの強化を続けてきた経緯があります。
国債の保有も、ここ数年は減少が続いています。金利が低下したからといって、今更ビジネスに大きな打撃を与える状況ではないのです。
リーマン・ショックのような危機は起きない
欧州の金融危機はどうでしょうか。今言われているのは、イタリア銀行における不良債権問題です。イタリアの銀行における不良債権は欧州の国々の中でも多いと言われています。
しかし、世界的な影響を考えると、必ずしも大きいものではありません。これがアメリカで起こったのならば大問題ですが、世界的に重要と分類されるイタリアの銀行はウニクレディト1行しかありません。
また、イギリスの不動産ファンドが解約を停止したことが、リーマン・ショック前のファンドの解約停止を連想するという記事もありますが、滑稽な話です。
不動産ファンドは解約されると組み込まれた不動産を売却しなければなりませんか、すぐに売れるものではないので、やむを得ず取引を中止しただけにすぎません。長期的な不動産価格への影響はあるでしょうが、いきなり価格が暴落する状況ではないのです。
英不動産ファンド解約停止、金融危機の予兆とならず(THE WALL STREET JOURNAL)
最も悲観的なときが買い時である
このように、日本の銀行株がこんなに売られているのには違和感があります。株価の下落に伴い、配当利回りは三菱UFJが4.2%、三井住友が5.4%、みずほFGが5.3%まで上昇しています(2016年7月8日終値:Yahoo!ファイナンスより)。これほどの利回りはなかなかお目にかかれるものではありません。
最も悲観的なときが買い時である。(ジョン・テンプルトン)
この言葉に忠実に投資を検討したいところです。
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