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炎上して値下がりした株を分析し、問題がないと判断できれば短い期間で大きな利益をあげられると考えた私は、やがて不祥事や業績悪化銘柄ばかりを探すようになりました。
開示資料を見る限り「問題なし」
2017年頃は相場も良く、割安株が見当たらなかったこともその傾向に拍車をかけました。バフェット流の投資法では、相場の好調期に買えるものはほとんどありません。それは投資顧問としていかがなものかという思いもありました。
そんなときに飛び込んできたのが、スルガ銀行(8358)のかぼちゃの馬車問題です。かぼちゃの馬車は投資経験の少ないサラリーマンなどに収益性の低いシェアハウスを売りつけていて、スルガ銀行はその融資を担当していたのです。
実は、私は前職で地方銀行を分析することがありました。スルガ銀行が突出した高収益をあげていることや、そのビジネスモデルをあらかじめ知っていたのです。
そのため、ニュースが出た時に「これは買いのチャンスかもしれない」と考えました。
開示資料には問題になったアパート向け融資は全体の1/3で、残りの2/3は住宅ローンであることが書かれていました。確かに収益性の低いアパートへの融資は高リスクですが、この会社の屋台骨を支えているのは住宅ローンだから大丈夫と考えたのです。
前職の上司もスルガ銀行で住宅ローンを借りていました。高金利のスルガ銀行で借りている理由は、セカンドハウスで、立地が市街化調整区域だからということです。そこそこの給料がもらえる会社だったので返済には問題がなく、このようなローンが積み重なっていると考えていました。
金融庁の立入検査が入り株価が大きく下がったところで推奨しました。様々な不穏なニュースが飛び交いましたが、自分の分析に自信を持っていたため、取るに足らないことと高をくくっていたのです。
自信は裏目になり、取り返しのつかない損失に・・・
しかし、現実は厳しいものでした。
第三者委員会で分かった話では、住宅ローンとされていた融資の大部分はアパート向けだったのです。虚偽とまでは言えないかも知れませんが、会社の開示に作為があったと思わざるを得ません。
厳しい現実が明らかになると、株価は急落しました。日経新聞で情報が出た日の早朝に売り推奨を出しましたが、ストップ安となり時すでに遅し。多くの会員に損失を与える事態となってしまいました。
100%の正解などない。失敗を経てリスクの本質に気づく
スルガ銀行の失敗を経て、私はこれまでの概念を根本から考え直しました。
- 短い期間で大きな利益をあげようとすると落とし穴にはまる
- 開示情報も完全ではないから、どんなに注意しても間違いはある
- これまでうまくいったものも「運」にすぎなかったのでは?
株式を買うことはリスクを取ることです。100%の正解などどこにもありません。したがって、どちらか一方に全力を賭けることは単なるギャンブルと変わらないのです。大きな損失を出し、このことを身に沁みて理解しました。
どれだけ分析しても損を出す可能性があるとなると、ただ割安な銘柄に投資していただけではトータルで大きく報われる可能性は低いでしょう。また、炎上銘柄はいくら割安でも損失可能性も大きいものです。
すなわち、大きく利益を出すには、損失の可能性は抑えつつも、一方でうまくいけば大きなリターンをあげられるものに投資しなければならないと考えたのです。
損失を抑えつつ大きく利益を伸ばせる。そんな都合の良い銘柄とは一体どんなものでしょうか。私は割安株だけでなく過去の10倍株の研究を進めました。
(後編に続く)
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