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以下、文章化したものです。
皆さん『半沢直樹』というドラマは見ていますか?
私は普段ドラマはあまり見ないのですがこのドラマは見ています。
何故かというとこの半沢直樹の舞台となっている証券会社の業務というのが、まさに私が以前サラリーマンとして働いていた職場そのものだからです。
このドラマを見ていると専門的な証券用語も出てきたりして、普段馴染みのない方にはとっつきにくいかと思います。
そこで今回はこれらの証券用語について解説して、ついでに証券業界の動きを見て株で儲ける方法というのもお話したいと思います。
証券会社の構造
証券会社は大きく分けて3つの部門に分かれています。
まずは個人部門。リテール部門です。
これが皆さんに一番お馴染みかと思いますが、証券会社の営業員が皆さんに株や投資信託を売る部門となっております。
ここが人員の構成としても最も多くなっていて、また収益源としても日本の証券会社ではここが一番儲かっているという形になっています。
次にマーケット部門です。
この部分が機関投資家に株や債券を売ったり、トレードをしているような部門になります。
いわゆる企業を分析するアナリストというのもここに含まれています。
最後にもう一つの部門がこの投資銀行部門と呼ばれると部門で、半沢達がいるのはこの投資銀行部門という事になります。
私も日系の大手証券会社の投資銀行部門に在籍していて、まさに今彼らが行っているような仕事を、新卒から7年間やっていました。
その投資銀行部門の仕事というといくつかありまして、今半沢達がやっているM&A、買収のアドバイザーというのが一つになります。
アドバイザーというと今「スキーム」という言葉が踊ってますけれども、どのような方法で買収するのかというものを考えて、企業に提案するという仕事をしていたりします。
また、実際に買収という段になりますと、その会社をいくらで買収すべきなのかという計算を企業財務諸表などから分析して、それも決めるという仕事をしています。
因みに私はこういった仕事をしていたからこそ企業の分析や価値の算定という所に専門性がついたという事になります。
また、IPO(新規公開)する時にもIPOに適した企業になるように、色々とアドバイスをしたりですとか、いざ上々という時になりますと株式を一般の投資家に販売したりとそういった仕事をしています。
同じように上場企業が株式を発行してお金を集める公募増資などもしていますし、社債を企業に発行するお手伝いをして、それをまた投資家に売るというような仕事をしています。
半沢の仕事、M&A
特に今回半沢達がやっているのがM&Aの仕事になりますので、それを更に説明します。
企業のAとBがあります。
企業Aが企業Bを買収しようとしているとします。
今の半沢直樹の話ですと企業Aが電脳雑技集団、 企業Bがスパイラルという形になります。
証券会社Aは今回の場合は半沢達の東京セントラル証券が親会社の東京中央銀行にアドバイザーの役割を取られてしまったという形になります。
証券会社でなくても専門のアドバイザーもいたりします。
この証券会社Aがやるのが買収のスキームで、どのような方法で買収するのか、そしていくらで買収すべきなのか、最終的にTOBという形で株を買い集める手伝いなどをします。
また、買収される方の企業Bに対してもアドバイスが出て、買収されたくなかったら買収防衛策を取りますし、いざ買われるという所になったら適切な価格を算定して、擦り合わせてM&Aを進めていくという形になる訳です。
TOBとホワイトナイト
次は、TOBについて詳しくお話ししたいと思います。
日本語で言うと株式公開買付というものですが、これは何かというと、ある会社が株を買い集めたいと考えた場合、今の株主がいるのでそれなりに高い価格で買い取るという形にしないと株主は当然売ってくれません。
1000円の価格が付いている物を900円で売ってほしいと言っても、売る訳はないですから基本的に今の価格よりも高い価格で買うという事になります。
それが一般的に30%程度の数字です。
つまり株価1000円ところ1300円で買いますという風に公に宣言します。
そして1300円で売ってもいいよという人はこの証券会社を通じて、公開買付者に株を売ってくださいという形になります。
ここで株主はどうするか考えて売買を判断します。
しかし株式を買い集められる側の企業はこのTOBに対して、賛成反対の意見表明をする事が義務付けられています。
ドラマの場合ではここで瀬名社長が自分の会社だから買収されたくないと言って、当社はTOBに反対しますという記者会見を開きました。
その後文書等でも出すのですが反対した事によって、敵対的買収というような形になる訳です。
こういうのが新聞の紙面を踊らせたりします。
逆に賛成という意見を表明した時は友好的TOBというものです。
買収されたくないと言っても当然高い価格で買い取るとTOB買付者が言っているので株主は高い価格で買い取ってくれる人がいるならば、やはり売ってしまう人が多いと思います。
そこで登場するのが、買収防衛策『ホワイトナイト』というものです。
買収をされたくないと思ってもぼーっとしていたら買われてしまうので、それに対する対抗策を打たなければなりません。
その一つがホワイトナイトというものなのですが、まさに白馬の騎士です。
仮に、スパイラルの友好的な人が出てきたとします。
今、電脳雑技集団が1300円で買うと言っている所、「私だったらスパイラルと仲良くやっていけるので、より高い価格で買えますよ」とこの人もTOBで買付の宣言をする訳です。
当然株主としてはより高い価格で売った方がいいので、ここならより高いからこっちに売ろうという形になります。
それに対して元々の買付社の電脳雑技集団は更に高い価格で買うのか、それと諦めるかという判断をする事になるので、これによってホワイトナイトが出てくると1500円で集結するのか、更に高い価格で買うのかといった買収合戦になるか、そういった動きが想定されます。
私もドラマのこの先の内容はもちろん知りませんが恐らくこのホワイトナイトがどうするのかという話を軸に進んでいくのではないかと思うので是非この用語を参考にしながら注目して見ていただければと思います。
因みに、かつてユニゾホールディングスがこのTOBによって価格が3倍にまで上昇したというケースがあります。
私もこれを買っていたのですが大きく上がる直前のところで、旅行会社のHISが、ユニゾホールディングスの株価が非常に割安になっているから買いたいと申し出ました。
するとそれでもまだ安いという事で次々に買収者が現れました。
フォートレスというソフトバンク系のファンドが出たり、ブラックストーンという一般的によく聞くファンドが出てきたりしました。
しかし、ユニゾホールディングスは最終的にはどこにも買われたくないという事で従業員がファンドを作って、そのファンドがこの会社を買収するという形になりました。
結果的に2000円だった株価は6000円まで上昇して3倍になったという事です。
このようにTOBというのは株価を大きく引き上げる事があって、私も昨年から今年にかけてTOBによって買われた銘柄がこのユニズホールディングスともう一件あったので、私達投資家としてはTOBで買われるような割安な銘柄だったり、良い会社だったりするのを買っておくというのも一つ良い事となります。
またTOBが発表されてから買う人というのも中にはいたりします。
それはかなり読みが大切になってくるので難しいのですけれども、投資家としてはこの言葉は注目していきたいものになります。
直近では和食レストランの大戸屋に対して、牛角などの飲食系のコングロマリットのコロワイドがTOBを仕掛けたのですが、大戸屋はこれに対して反対を表明しました。
これに関してもを今後動きが注目されるものになっておりまして、株価も大きく上昇しています。
さてドラマの話に戻りますと、数字は想定ですが、スパイラルの創業メンバー3人の中の仲違いした2人が、電脳雑技集団に30%を売り渡してしまったと思われるので、残り20%を取れば過半数の50%を超えるという事になります。
ここをTOB合戦によってホワイトナイトが現れるのか、このまま電脳雑技集団が買ってスパイラルを乗っ取ってしまうのかという事がこれからのドラマの鍵になります。
私もかつて居た職場を思い出しながらこういう事あったなと、懐かしんでドラマの展開を楽しんでいます。
是非株式投資とも絡めてこのドラマ楽しんでいただければと思います。
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