「市場の癖」を利用して勝てる「戦略」を作れ!
本会ではバリュー株投資における「投資16箇条」を示しています。これは私の投資手法をなるべく実行部分に絞って抽出した、いわば「戦術」です。
単なる精神論ではなく、さまざまな想定から私が行き着いた最低限守るべき事項ということになります。
今回は、この「戦術」を抽出するための裏側にある「戦略」の話です。全て理解する必要はありませんが、「こんなこと考えてるんだな」くらいに目を通していただけると幸いです。
そもそも、投資で常に平均を上回り続けるのは簡単ではありません。例えば、PERで見て割安だと思っても、その企業は何らかの問題を抱えていることがほとんどです。このように、情報が常に株価に反映されることを「効率的市場仮説」と言います。
効率的市場仮説が成立している場合、一人の人間が割安・割高を判断したところでそれは「気のせい」にすぎず、分析・判断は無意味ということになります。だったら、何も考えずに平均を取れば良いじゃないかと考えるのがインデックス投資です。
しかし、市場を観察していると効率的市場仮説は完全ではないことがわかります。もしこれが成立しているとすれば、株価が日々大きく動くのは不自然です。また、特定の銘柄や投資家が市場平均を上回り続けるということもないはずですが、実際にはそのようなケースが存在します。
すなわち、市場には何かしらの「癖」があるということです。その癖の中で特に明白なものとして、私は以下にたどり着きました。
・上がるものは上がりすぎ、下がるものは下がりすぎる
・目先の動きに対する過大評価、長期の出来事に対する過小評価
・どの銘柄も相場全体の動きには逆らえない
大ざっぱに言えば、市場は「感情」や「その場の空気」に流されやすいということです。上がっている銘柄は上昇が上昇を呼んで楽観的な空気を形成しやすく、反対に下がっている銘柄は悲観で溢れさらに株価を引き下げます。そして、市場全体が悲観に包まれているときは猫も杓子も売られるのです。
「勝てる土俵」を選んだ結果、長期投資に行き着いた
ジョージ・ソロスなどの短期投資家はこの癖に目をつけ、一気に上がる瞬間または下がる瞬間を捉えて大儲けしようとします。成功すれば一瞬で莫大な利益を手にする可能性があるので、多くの投資家がこの虜となるのです。
しかし、現実はそう甘くありません。成功すれば莫大な利益ですが、失敗したら取り返しのつかない損失となります。手練の投資家はそうならないように、ヤバいと思ったらすぐに手を引く準備をし、常にマーケットから目を離さないようにしているのです。
個人投資家で「カリスマ」ともてはやされる人たちも大方このような感じですが、果たして一般の人が同じ土俵に立つことができるでしょうか。スポーツやギャンブルとして楽しむ分には良いですが、「堅実な資産形成」にはそぐわないと思います。仕事を持っている人が株価を見続けるのは現実的ではありません。
だからこそ私は「なるべく手がかからず」「リスクを抑える」という条件の下、その中でできるだけ大きな利益を出すことを目標としているのです。
少しでも短い時間で儲けられた方が良いのは当然です。しかし、それが難しいと判断するからこそ、時間を犠牲にする一方で普通の投資家でも勝てる可能性のある「長期投資」という土俵を選んでいるのです。戦略とは「勝てる土俵」を選ぶことなのです。
なかなか上がらない銘柄にこそ本当の「うまみ」がある!なぜだかわかりますか?
長期投資でも上記の「癖」を利用することができます。
株価には基本的な情報が反映されているとしながらも、「下がるものは下がりすぎる」という癖にしたがえば、下がり続けている銘柄にはチャンスが生まれやすくなっているということになります。
例えば、私が以前利益確定した「ユニゾホールディングス」はその典型で、相次ぐ公募増資で保有不動産の時価を大幅に下回る水準まで株価を下げていたのです。結果的にTOBという形で価値が株価に反映され、大きな利益を手にすることができました。
また、直近の事例では「マイクロソフト」があります。直近でも業績を大きく伸ばし続けている優良銘柄ですが、新型コロナショックでは他の銘柄と動揺に大きく値を下げました。そこに実態と株価の乖離が生じていると考え、下がったタイミングでの投資に踏み切ったのです。まさに「相場の動きには逆らえない」の典型です。
ただし、これらはいずれも「どこまで下がり続けるかわからないけど買う」という方法を取ることになります。果たしてこのやり方は安全なのでしょうか。
そこで担保となるのが、徹底した企業分析ということになります。短期的な株価の動きは読めませんが、長期的には利益にしたがいます。したがって、利益が増えることが想定される、少なくとも維持できる企業を、利益に見合う水準(本質的な価値)以下で買うことで、上記の不安を軽減できるのです。
もちろん、その分析も絶対ということはありませんから、重要となってくるのが資金管理です。どこまで下がるかわからないのですから、どうせ下がるならもっと下がったときに買った方が有利なのは間違いありません。
だからと言って、全く買わないと買い時を逃してしまいますから、少しずつ買い下がる方法を採ることになります。結果的にこれが「ナンピン買い」に見えてしまうかもしれませんが、その目的は必ずしも平均取得単価を下げることではありません。
ここで思わぬメリットが生まれます。企業の価値に自信があり、一方で株価がなかなか上がらない銘柄ほど「安く」そして「長く」買い続けることになり、結果的に「たくさん」買うことになるのです。その銘柄が、それなりに値を戻しさえすれば、そのとき資産が大きく膨らむことになります。
戦略とは「捨てること」
逆に、リスクを避けるために少しずつ買うという戦略を採っている以上、すぐに上がってしまう銘柄をたくさん買うのは難しく、大きく上がったとしてもポートフォリオに与える影響は大きくないでしょう。この場合は別の戦略が求められますが、ともすると短期トレーダーと競うことになり、大きなリスクを負うことになります。
「戦略とは『捨てること』」と言います。私の戦略は、すぐに上がる銘柄を捨てることで成り立っているとも言えるのです。
以上から、私は「株価が下がったときに」「割安で優良な銘柄を」「少しずつ買う」という戦略を採ることになるのです。この戦略の枝葉となっているのが、上記の「投資16箇条」ということになります。
連休で市場が閉まっているということで、改めて自分の思考の整理も兼ねて書いてみました。少しだけでも皆さまの頭に残っていただければ幸いです。
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