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以下、文章化したものです。
ウォーレン・バフェットが日本の五大商社に初めて投資したという事を発表して大きな話題になっています。
これまでバフェットは本格的に日本株への投資を行った事がなかったのですが、ここでついに本格的な投資に乗り出したという事です。
一体バフェットの真の目的とはどこにあるのでしょうか。
また、我々はバフェットに追随して買うべきなのかどうかという事についても、お話ししたいと思います。
「商社」とは?
『バークシャー、5%を超える商社株を取得-伊藤忠や三菱商事など5社』とニュースが出ました。
この5社というのは伊藤忠、三菱商事、三井物産、住友商事、そして丸紅といわゆる日本の五大商社と言われるところです。
それぞれ5%超える株を保有したので日本の制度で大量保有報告書を提出しなければなりません。
それが提出されたのと時を同じくして、バークシャー自身もをご丁寧にプレスリリースを発表しています。
ここからは私の視点から何故バフェットがこのような投資を行ったのかという事について考えてみようと思います。
商社というと色んなビジネスを行っていて、イマイチよくわからないというところもあります。
コンビニに投資していたり、資源に投資していたり、不動産にも投資していたりします。
そういった中でもっとも多いのはやはり資源という事になって、その資源がどれだけの割合あるかというのが各社の特色として現れます。
例えば三井物産は資源に非常に特化した企業なので、その資源価格の変動を受けやすい。
一方の伊藤忠は非資源ナンバーワン商社を目指していて、特に生活分野、最近ではファミリーマートにTOB株を買い付けて完全子会社化しようという事も行っていましたので、資源以外の分野が強みの伊藤忠という事になります。
それぞれ色がありますが、共通しているのは、PBRが伊藤忠を除いてすべて1倍を切っているという割安な状況です。
利回りでも見ても三菱商事が5%を超えていて、その他も5%の周辺という形になりますから指標で見た時に割安というのは間違いありません。
一方でこれらの会社が割安になったのは今に始まった事ではなくて、晩年割安株としても知られています。
何故そうなのかというと、色々なビジネスをやっているが故に、投資家から見て分かりにくいというところがあるので、『コングロマリットディスカウント』、日本語で言うと色々やってて分かりにくいから売ってしまうというものが働いています。
また、資源価格はなかなか予想出来ないのでその変動リスクという事を考えたらなかなか投資出来ないという事です。
晩年割安、しかも割安と割安だと言われながらなかなか上がらないという状態が続いています。
バフェットの目的はリスクヘッジか。「守り」の徹底
バフェットが何故そんな会社に投資したのでしょうか。
一つ考えられるのはやはりこの新型コロナショックによる動きです。
バフェットがこの新型コロナショックで何を懸念していたのかというと、政府による金融緩和の弊害です。
例えば5月に行われた株主総会で、『起こりうるのは通貨への疑念』だという事を言っています。
新型コロナの対策で政府がバンバン国債を刷っている中で、経済論的に言えばお金を沢山刷れば刷るほどお金の価値が下がってしまう、つまりインフレになるという事が懸念されています。
そういった中でインフレをヘッジしようと思ったら、金などが代表される実物資産、あるいは資源や一般的な商品などもそれに該当すると思いますが、とにかくこの部分を気にしていたという事がありました。
そんな中で出てきたのはこの金鉱株への投資です。
バフェットはそれまで金そのものへの投資は金利を生まない以上、株式に対して劣る資産だと言っていました。
ただバフェットはその発言を覆して金鉱株、金を掘る会社の株を買いました。
もちろん株なのでやがてはそこから配当というのも見込めるので、単純に金への投資ではなくて配当付きの金の権利を買ったという事になります。
これによって将来的なインフレが起きた時に、この金を持っていればそのリスクをヘッジ出来ると考えたのではないかと想像出来ます。
さて先ほど説明しましたように商社は資源に大きくベットしています。
資源価格というのは当然インフレになれば、それに比例して上昇するという事が想定されるので、この資源価格連動の商社株というのはインフレヘッジという意味でも、大きな意味合いを持っているのではないかという事が想像出来ます。
ただしウォーレン・バフェットは今この新型コロナショックを受けて、慌てて動いたという訳でも商社に関してはなさそうです。
この短期間で商社株を買ったわけではなくて、長い期間をかけてどんどん少しずつとか買い増していたというのが実情です。
その1年前に何があったのかというとここに示されているものです。
バークシャー・ハザウェイが初めて円建て債を発行しました。
4300億円と海外企業で最大という驚きのニュースではありましたけれども、一体何に使うのかというところが正直この時は見えませんでした。
しかし今になって考えてみるとここで発行した債券で商社株を買っていた訳です。
ここで4300億円となっていますが、今は6300億円くらいになっています。
ちょうどこの商社5社に投資した金額が6300億円ぐらいなので、ぴったりと合います。
何故この債券を発行して買ったのかという事です。
まあ1つは為替のヘッジ選んで発行していれば、ドル円のレートが動いた時にそこのリスクはヘッジ出来るという事が考えられる訳ですが、実はもう1つあるのではないかと思います。
それが低金利環境を利用したという事です。
このニュースでもありましたが、0コンマ数パーセントの単位で債券を発行している訳なんです。
それで資金を調達して先ほど見ました通り、利回りが5%といった高いものがあります。
これだけでも0.5%と5%だとしたら4.5%利回りが取れるという事になり、ものすごく優位な取引です。
しかも商社株というと晩年割安なので上がる可能性は低いかもしれませんが、逆にいえばここより下がる可能性というのも極限まで抑えられる訳です。
またバフェットが本腰を入れた投資というのは、この5社に一気に投資するバルクのような買い方ではなくて、一社に集中しています。
今バフェットのポートフォリオのほとんどはアップルが占めますが、そういった買い方をしたと思います。
なのでバルクで買ったという事は本腰を入れた投資とはやはり違うのではないかという事が想像出来ます。
まして14兆円も余力資金がある中で、6000億の債券を発行して買った、それもバルクで買ったという事はつまりリスクヘッジの取引をしたのではないかと考えられます。
これを発表したのがバフェットの90歳の誕生日でした。
バフェットも高齢なので正直あと何年生きられるかという事は分かりません。
バフェットの今の目的としてはいかに次の世代に、資産を安全なポートフォリオとして渡すかという事に焦点が移っていると思います。
だからこそこの商社や債券を発行して商社株を買うというのは、安全にリスクヘッジという意味ではとてもを意味のある動きだったのではないかという風に想像出来ます。
結論をまとめますと、晩年割安な商社株に対して、1つにはこの新型コロナを受けたインフレヘッジとして資源株としての商社を買ったという事です。
また低金利の円建ての債券を発行して裁定取引と言いますが利鞘の差、つまり0.5%の金利と5%の利回りの差を利用した、プラスとなる取引を行ったという事です。
その結果は徹底した守りの投資、とにかく失う可能性を少しでも減らした投資というのを行ったのではないかと考えられます。
バフェットも言っている事に『投資の一番大切な事は第一にお金を減らさない事だ、そして第2に第1のルールを忘れない事だ』と言っています。
そのような守りの投資というのを徹底的に体現したのが、この商社株への投資だと考えられる訳です。
バフェットのマネをして大丈夫?
さて気になるのが私達がこの商社株へ投資すべきかどうかという事です。
ここまで説明してきたようにバフェットはこれらの会社が、急激に成長するという事を望んで投資した訳ではなさそうだという事です。
あくまで安全な資産あるいはこれから想定される大きな動きに対して、負けてしまわないような資産構成をとったという事が考えられます。
したがってこれで大きく儲けてやろうと思う人は、投資の対象ではないという事です。
もっといけないのはバフェットが買ったからというだけで、商社にどういう特徴があるのかもわからずに投資してしまうというのは最悪なので絶対にやめてください。
商社がどのような特徴、どのようなビジネスをしているかという事を理解した上で、投資して、そして初めて意味のある判断が出来ます。
バフェットがいつ売るかという事もわかりませんから、バフェットが売ってから損をしたと言っても遅い訳です。
バフェットが買ったという事で株価上がってしまっていますので、損をする確率は上がってしまっているという事になります。
私自身も商社を説明する時に説明が難しいところもありますが、「投資信託の一種だと考えてください」と言っています。
投資信託というと色んな会社に投資する訳なんですが、同じように商社も色んなビジネスに投資をしています。
だからこそリスクが抑えられる反面、上昇余地も限定的であるという考え方です。
そこまで理解したのだったら投資すればいいと思いますし、どの銘柄に投資すればいいかという事については私も動画で出しておりますので、是非そちらもをご覧頂ければと思います。
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3000円で購入して30,000株保有しているJT株の保有継続についてご相談して「財務は健全で問題ない」とのアドバイスを頂いたことは、今のところ裏目に出ていますが、その際5,000株保有している三菱商事については推奨して頂き、2160で2,000株買い増ししました。あとベルトラも5,000株保有しており、悩みは深いです。