ダウ平均800ドル下落は暴落の前兆か押し目か…
3月~8月にかけて、新型コロナ相場は急速に駆け上がって来ましたが、そろそろ天井感が出てきました。9月3日のダウ平均株価は800ドル急落、これまで上昇を牽引してきたハイテク株中心の下げでした。
ただ、チャートを見ると僅かな調整にしか見えない部分もあります。短期的には、この調整が上昇に弾みをつける可能性もあるのです。
なぜかと言えば、上昇相場で調整が起きると、それまで指を咥えて見ていた人が「押し目だ!」と考えて参入してくるからです。結局さらに参加者を呼び込むことにより、新たな上値を試す展開となります。このように、株価はアップダウンを繰り返しながら、一定の方向性を形成するのです。
もっとも、これがいつまでも続くわけではありません。調整からの上昇には「新たな参加者」が必要です。これがいなくなった時に全員が売りに回ることになり、支えを失った株価は急落するのです。これまで何度でも見てきた景色です。
すなわち、株価の上昇を演出するのは常に「新たな参加者」ということになります。それを指し示すのが、個人投資家の動向です。
株価上昇を演出してきた「犯人」
新型コロナショック後、個人投資家の株式売買が殺到しています。米国では彼らのことを株式取引アプリの名をつけて「ロビンフッター」と呼びます。
個人投資家には、株価が急落したときに買いが増える「逆張り」の傾向がありますが、それが最大限発揮されたのが、新型コロナショックでした。
ロビンフッターが株価を押し上げているという説明にはある程度合点がいきます。機関投資家が先々の経済情勢を懸念して買えない中、新規に参入した個人投資家の買いが薄商いの中では上昇を牽引しやすくなります。AppleやAmazonなどわかりやすい株が上がっていたのもこれである程度説明できるような気がします。
ロビンフッターだけではありません。以下のような驚きの記事も出ていました。
【参考】米ハイテク株急騰の影にソフトバンクGか 米報道(日本経済新聞)
孫正義氏率いるソフトバンクグループが、デリバティブ取引で多額のハイテク株を取引しているというのです。
ソフトバンクGは、直近米上場ハイテク株を大量に買い付けていたことが明らかになっています。また、「公にならないように」さらに1兆円規模まで買い増すことも示唆されていて、デリバティブを使った取引がソフトバンクGのものであるという信憑性が高まります。
【参考】ソフトバンクG、アマゾン株1000億円保有 6月末時点(日本経済新聞)
【参考】ソフトバンクG、100億ドル超の上場株投資目指す-関係者(Bloomberg)
「ロビンフッター」と「ソフトバンクG」―彼らこそが相場の上昇を牽引してきた「新たな参加者」の正体だったのです。
「その時」は近いか?備えを怠るな
もっとも、ここまでわかったところで相場の見通しが確定するわけではありません。さらなる参加者が現れるかもしれませんし、現れないかもしれません。
それでも確かに言えることは「上がり続ける相場はない」ということです。上昇が続くと、いつか買い手がいなくなります。誰が最後になるのか、それがいつ起こるのかはわかりませんが、何が起こるかははっきりしています。急落です。
株価は上がる時はじわじわ上がりますが、下がる時は急速です。なぜなら、人はリスクに対してとても敏感なので、それを感じたら一目散に逃げるからです。急落し始めると売りが売りを呼び、株価は垂直に落下します。
「歴史は同じようには繰り返さないが韻を踏む」(マーク・トゥエイン)という言葉があります。これはそのまま相場にも通じるものです。多くの人が株価の上昇に浮かれた時こそが天井で、やがて彼らは相場からいなくなりました。
ロビンフッターなどの情勢を見ると、そろそろ「その時」も近いかなという印象を持っています。
もちろん、私の感覚などあてにしてはいけません。相場を読むのは不可能だと考えています。ただし、経済状況が相変わらず最悪な中で、いつまでも続く相場ではないとも感じています。
大切なのは相場を当てることではなく、何が起きても大丈夫なように備えておくことです。目下、猛烈な台風が日本列島に接近しています。テレビでは最大級の警戒と避難へ準備を呼びかけています。
台風への備えが非常食や懐中電灯だとしたら、相場への備えは「心」「頭」「資金」です。いつ急落が来ても慌てないように心を整え、株価が下がったときに買いたい銘柄を頭でリストアップし、いざ買えるように資金を準備する。これが私たちにできる準備の鉄則です。
慌てず焦らず、しかししたたかな行動を心がけましょう。
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とてもいいコメントです。ありがとうございました。