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以下、文章化したものです。
菅総裁が誕生しました。
菅総裁ですが、かつて総務大臣も務めていた事から、携帯電話料金が日本が突出して高いという事を、盛んに言って値下げ要求をこれまでも行ってきました。
その事から携帯電話会社に対して逆風が吹くという事も想定されていまして、これらの銘柄の株価が下がっています。
果たしてこのような携帯電話会社の株が、今買いなのかどうかという事について今回はお話しできればと思います。
値下げ圧力の影響は?
これは日経のニュースです。
菅さんは2018年、官房長官の時に、携帯電話料金の引き下げというのを会見で要求してきたのですが、先日のこの総裁出馬表明からもこの料金について言及しています。
これらの発言を受けましてドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社がいずれも株価を下げていて、発言の前後からするとおよそ10%程度を下がっているという状況です。
ではまず実際に菅さんの言うように、日本の携帯電話料金というのが高いのかどうかという事から考えてみたいと思います。
それで一つ総務省が示しているのがこの国際比較という事になります。
これは利用通信量別に並べたもので、一番左が東京です。
2ギガであまり使わない人にとっては、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、デュッセルドルフ、ソウルという中ではニューヨークとソウルに次いで3番目で、5ギガになるとニューヨークに次いで2番目、それから20ギガなるとニューヨークを抜いて一番高い料金となっています。
これから分かるように、特に通信量の多い時に高いという事が分かりましたので、これを受けて各社料金対策を行いました。
具体的に言うとギガホやギガライトなど、つまりたくさん通信量を使う人はある程度の通信量までは定額でやるという事で、通信量の多い所の引き下げを計りました。
その他にも通信料全体も4割安くして外見上そうなるというようなものを発表しました。
あるいは通信料と端末料金を分離する、つまり今まで通信料と端末料金の分割がごっちゃになっていて、どこが割引なのかよくわからないという事になっていましたので、この違いを明確にして割り引くなら端末料金ではなくて、通信料金から割り引くようにという事を言った訳です。
また最近では楽天が参入するという動きもありまして、3社体制から4社体制になるのではないかという事も見られて、携帯電話会社には値下げ圧力が止まないように見えます。
それで実際にどうなったのかというと、実はそれほど大きな影響はなかったと見られています。
ドコモこそこれらを受けて減収減益という直近の決算になっていますが、一方でKDDI、ソフトバンクは増収増益を直近でも達成しています。
ドコモに関しても携帯電話契約数自体はしっかりと伸びていますし、また端末の割引がなくなった事で、端末が安くなるから他社に乗り換えるという事が少なくなり、解約率が下がっているという傾向にあります。
これはドコモ、KDDI、ソフトバンクいずれも共通です。
ARPUというのは1契約あたりの料金の事ですが、確かにこの赤い部分で料金そのものに関しては先ほどの4割の値下げを行ったという事もあったので下がってきていますが、一方で端末の割引というのが無くなって、顧客間での流動性が無くなったという事によって割引をする必要がなくなってきました。
これはプラスからマイナスを引いたものなんですが、トータルで見た時には下落傾向が止まって上昇傾向に転じています。
つまり総務省が行ったこの料金施策というのは人々の解約意欲というのを失わせて、この3社に固定化される要素を作ったのではないかと見られています。
最近では携帯の進化というのも大きな変化というのはなくなってきたので、同じ端末あるいは同じ料金プランを使い続ける人も増えてきたのではないかと思います。
本来の競争をちゃんと働かせるという資本主義の原則に立ちますと、MVNO、つまり格安スマホなどに乗り換えさせるというのが一つの手だと思いますが、一部の人は乗り換えたと思うのですが、それ以外の人には、携帯を変えるというのは多少料金が高かったとしてもなかなか面倒な話です。
総務省の施策というのはその乗り換えのしにくさというものを加速させたという風に見えるのではないかと思います。
逆に言えば大手3社のキャリアにとっては、むしろこれから安泰な状況になるのではないかとすら考えられます。
一方で、総務省としても、先ほどの携帯料金の国際比較のグラフを下げれば、携帯料金を下げられたよと言う事が出来るので、各社取り組んでいるデータ容量が多いところの値下げをこれからも行えば、菅さんの顔も立てることが出来ますし、携帯電話会社にとってもそれほど痛手にならないという事からwin-winとなって問題は終わるのではないかという風に見られます。
5Gの追い風
またこれから携帯会社に何が起こるのかというと5Gへの移行です。
高速大容量通信という事になるのですが、これまでも3Gから4Gに人々が乗り換えてきたように、4Gから5Gへ乗り換えていくのではないかという事が考えられます。
そこにおいて4Gよりも高い料金を払うという事になるでしょうから、この乗り換えを促す事によって料金をトータルで見た時に引き上げる事が可能になる訳です。
一方で携帯料金が高いという人に対してはこれまで通り4Gを使い放題にしても、5Gがあるため今度は回線を圧迫する事がなくなります。
更に言えば、これまで携帯電話だけでしたが、これからは車や家電にも携帯通信というものがついてきて、IoTの時代になる訳です。
IoT契約数が増えて5Gで料金が上がって、使い放題とかは残った4Gでやればいいという事になるので、むしろ携帯電話会社にとってはやりやすい状況がこれからやってくるのではないかと見える訳です。
確かに政府が無理やり料金を引き下げろと言ったら、それはもうどうしようもないかもしれませんが、ここは日本です。
資本主義が根付いていますし、この各社の裏には、私たちのような株主がいます。
共産主義国ではないので無理やり料金を引き下げるというような事はやはり現実的ではないのではないか思います。
もしあまり上げられないとしてもキャッシュフローそのものは豊富な会社なので、そこから配当は確実に得られるという事が考えられます。
割安なタイミングではある。ただしドコモには難ありか
一番気になるのは今本当に買いなのか、あるいはどこを買えばいいのかという事についてです。
各社の株式の指標を見ますとPERがドコモが15.2倍、KDDIが10.6倍、ソフトバンク12.9倍と比較的割安な水準に抑えられているのではないかと思います。
配当利回りも4.2、3.9、6.4というこれもかなり高い水準に置かれていると思います。
この3社で比べますとKDDIの割安さが際立ちますし、またソフトバンクは直近で親会社のソフトバンクグループが株式60%以上を持っていた株式を40%に減らすと言っていますから、これまで懸念されていた親会社の売却による株式需給の悪化懸念というのも払拭されてくるのではないかという事が考えられます。
一方で少し気になるのがこのNTTドコモです。
直近のニュースで出ました銀行からドコモ口座に見に覚えのない現金が引き出されるという被害が出ています。
ドコモのセキュリティが甘かったという事が非常に問題になっています。
このようにドコモは携帯事業はともかく、その周辺事業に手を出そうとするとことごとく失敗しています。
かつてはインドの携帯会社を買おうとして大失敗に終わってしまいましたし、らでぃっしゅぼーやなどへの出資も、あまり実を結ばないで結局売却して撤退というような動きが続いています。
このように周辺事業が本当に下手くそです。
その能力がある人があまりいないのではないかと思います。
それが業績にも現れていまして、KDDI、ソフトバンクは売り上げ利益とも伸ばしていって、直近でも最高益を出していますが、ドコモに関しては売上はほぼ横ばいですし、利益も最近では少し増えましたが、また直近で大きく減らすというような動きとなっています。
それに対してPER等は必ずしも割安ではないというところがあります。
またこの10年のチャートを見ましても、ドコモは10年で株価は2倍にしかなっていませんが、KDDIは4、5倍になっています。
ここから見てもドコモは市場としては成長する可能性があると思いますが、ただその能力が十分にないのではないかと考えられる訳です。
その事から私は携帯会社は今割安だと思っていますし、仮に菅さんの圧力があっても十分にのらりくらりとやっていくのではないかと思っています。
配当も高く、すぐに株価は上がらないかもしれませんが、上がらないうちは配当を受け続けて、やがて来る5GとかIoTの時代が来た時に業績が上がれば、その時には株価も上がっていくのだと思います。
したがって今1つの買いのタイミングであると思いますし、ただ買うとしても今言ったようにドコモを敢えて選ぶ必要はないのではないかとも思います。
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