トランプ大統領のコロナ感染で世界はどうなる!?
トランプ大統領が新型コロナウイルス検査で陽性だったことを受けて、世界情勢は混沌を極めてきました。
大統領はこれまでウイルスについて「大したことはない」と言って、自身もマスクを着けることはほとんどありませんでしたから、感染してしまったことは必然とも言えます。
しかし、市場にとっては「不確実性」が大きく高まる事態となりました。政治的な決断を個人的な感情に基づいて行う大統領ですから、自らの感染によってどう動くか選択肢が分かれるからです。
一つの可能性としては、「コロナは大変な病気だから、しっかりと感染対策をしよう」とこれまでの考えを翻すことです。こうなると、徐々に落ち着きを取り戻しつつあった感染対策のための経済抑制が再び復活する可能性があります。
当然、できる限りの金融・財政対策は行うでしょうが、すでに大盤振る舞いをやりきっていますから、ここからできることは限定的です。そうなると、経済抑制が勝り、株価は下落方向に動くことが考えられます。
もう一つの可能性は、コロナが軽症に終わり「やっぱり大したことない」と言って、ますます通常の経済への復帰を目指そうとすることです。もしそうなると、新型コロナで抑圧された人々の歓心を買い、劣勢が報じられる大統領選を土壇場でひっくり返すこともあるかもしれません。
こうなるとさらなる混乱を生みます。一部の人々はなりふり構わず動き回るでしょうから、冬に向けてますます感染が拡大することは想像に難くありません。トランプ大統領が軽症でも、一部の人にとっては死に至る病気です。米国の「分断」はますます深くなる可能性があります。
もっとも、このまま素直に大統領選が行われるかどうかも不透明です。大統領は、コロナ感染を理由に選挙の延期を持ち出してくるかもしれません。大統領権限でそれを行うことはできませんが、連邦議会で通れば延期が可能です。
郵便投票への反対や法廷闘争への持ち込みを示唆するなど、どんな手を使ってでもホワイトハウスに居座ろうとするトランプ大統領のことですから、新型コロナウイルスの感染は絶好の口実になるでしょう。選挙が延期となれば、先行きが不透明な期間がさらに延びることになります。
人間が嫌いな「不確実性」こそ投資の利益の源泉
大統領の新型コロナウイルスへの感染は、先行きが予想できない「不確実性」を一層増すことになります。
さて、この「不確実性」というのは、株式市場の動きにとって肝となる言葉です。
人間は、予想できないことを嫌います。原始の時代、予想の範囲内のことが起きるなら快適に過ごせる一方、予想できないことは命の危険を意味したからです。これは、文明が発達した現在も、私たちの遺伝子に根深く刻まれています。
そして、不確実性を嫌う性質が、株式投資で利益をあげられる理由のひとつとなっているのです。
例えば、10年間毎年「確実に」100円がもらえる証券があるなら、その証券の価値は100円×10年=1,000円ということになります。
しかし、現実にはその約束が破られるかもしれませんし、インフレによってお金の価値が下がってしまうかもしれません。これらが「不確実性」となり、実際の証券は1,000円よりも安く取引されることになります。そして、10年間何事もなければ投資家は割り引かれた分の「利益」を得ることができるのです。
「不透明感があり投資は控えるべき」と言う「専門家」は偽物
ここでどれだけ割り引けばよいかということは、厳密に決まっているものはありません。いわば人々の「気持ち」ひとつで決まります。世の中が混乱して先行きが予想できない時ほど、800円でも買いたくない、700円でも買いたくない…と、どんどん割り引かれることになります。
こうして、株価は不確実性の高まりとともに下落していくのです。
そして、人の気持ちは常に行き過ぎる傾向があります。不安になればその思考がどんどんエスカレートし、株価はますます下がります。さらには、株価の下落がさらなる不安を呼び、株価は一層の下落を生むのです。
一方で、その気持ちに打ち勝ち、上記の例の証券を500円で買うことができた投資家は、何事もなかったら結果的に500円の利益を得ることができます。これこそが、投資における利益の源泉であり、また私たちのようなバリュー株投資家が喜んで買う局面でもあります。
経済ニュースなどで「先行きが不透明なので、投資は控えるべきである」と言った言説を見かけますが、これを言っている人は投資の本質を何もわかっていません。本当の投資家にとっては「不確実性」こそ友であり、チャンスなのです。逆に言えば、これをしなければ私たちの運用成績は凡庸なものに終わるでしょう。
トランプ大統領コロナ感染を受けた投資戦略
問題はどのような戦略を立てて市場に臨むかです。
新型コロナウイルス感染によって、トランプ大統領の行動や選挙結果がどう動くかは、私には正直わかりません。ただし、確実に言えることは、不確実性は高まっているということです。
不確実性の高まりは、企業の業績に関係なく、株価の下落をもたらします。すなわち、状況が見えない限り、私たちにとってチャンスが続くということになるのです。もっとも、株価が下がった場合限定ですが。
そこで戦略としては、下げを見越して優良株に安値で指値しておくことをおすすめします。こうすれば、株価が下がったときには自動的に、自分の気持ちに左右されずに買うことができます。買うものを優良株に絞れば、後は株価の動きなど気にせず持ち続ければ良いのです。長期では利益がでる可能性が高いでしょう。
もっとも、トランプ大統領の動向に関係なく、いよいよ経済危機が発生して更に下がる可能性があります。こうなると、低迷は深く、長くなるでしょう。誰も株のことなど考えたくもない局面が訪れるかもしれません。
その時こそ私たちにとって真のチャンスなのですが、そこで資金が底をついていては元も子もありません。だからこそどう転んでも良いように、今買いつつも先の資金も残しておくことが必要なのです。キャッシュがあれば、精神を乱されずに動くことができます。これが資金管理の技術なのです。
投資の勝敗の大部分は、瞬時の判断よりもそれ以前の準備で決まっています。未来に起きることを想定し、それに対する戦略を作っておけば、何も焦る必要などないのです。あなたも自分がどう動くか、ぜひ考えてみてください。
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