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以下、文章化したものです。
今回はソニーについてお話ししたいと思います。
ソニーが11月12日にPS5を発売してこれが予約待ちで、なかなか手に入らないという状況になっています。
この状況を受けまして株価も大きく上昇しています。
そして振り返ってみるとなんとソニーの株価というのは、この7年程で10倍、「テンバガー」を達成しています。
果たしてソニーは今買いなのかどうかという事について考えてみたいと思います。
ソニーの事業構造と沿革。多角化で可能になった”選択と集中”
ソニーの直近半年程度の株価ですが、みるみる上昇して、今1万円に届こうかというところです。
特にこの一ヶ月伸びは凄まじく、7500円程度から1万円近いところまで大きく上昇しています。
それは一つにはこの11月12日に発売されたPS5が新たに出てきたという事が材料として挙げられますし、またソニーの業績としても非常に好調です。
何故かというとの新型コロナの環境はもちろんあると思います。
皆さんが外に出られない中で何とか生活を楽しもうと思った時に、ゲームというのは大きな選択肢なりますから、これまで発売していたゲームも売れています。
またソニーが行っている音楽事業というのもプラスに働いています。
そこでPS5が新たに発売するという事になると、当然投資家の期待も高まります。
実際に商品を求める人々が殺到しているというような状況です。
これでこの波に乗っておいて良いものかどうかという事について考えたいのですが、その前にこれまでのソニーについて少し振り返ってみたいと思います。
ソニーと言うと皆さん知っているかと思いますが、意外にその事業構造について理解している人は少ないのではないかと思います。
直近2019年度の営業利益の内訳です。
1番はプレイステーションに代表されるゲームで、次にきているのがセンサーです。
これは後ほど解説いたしますけれども、スマホのカメラに埋め込まれている画像認識センサーです。
これが大きな利益を稼いでいるという状況になっています。
それから音楽、そして金融、更には電気、映画となっています。
皆さんが知っているようなテレビ、あるいはウォークマンといった事業は今や利益の9.2%に過ぎないものとなっています。
いつの間にかソニーという会社はこうやってゲームやセンサー、音楽、金融というイマイチ直接的には馴染みのない分野で占められている訳です。
ソニーの歴史について振り返ってみますと、1955年に日本初のトランジスタラジオを発売しました。
これがアメリカでとてもよく売れました。
日本製という事で当時為替の問題もありましたから、非常に安くトランジスタラジオ買う事が出来、その事によって1970年には日本企業で初めてニューヨーク市場に上場します。
1979年にはウォークマンを発売、これも革新的で、大ヒットしました。
更に言えばバブル期という事になりますが、1988年アメリカのCBSレコード、現ソニーミュージックエンターテインメントを買収します。
そして1989年にはコロンビアピクチャーズ、これはソニーピクチャーズエンターテインメントで今で言うとスパイダーマンや、バットマンとかそういった素晴らしいコンテンツを持っている会社も買収します。
更には1994年にプレイステーションを発売してゲーム事業に参入します。
1996年VAIOブランドでPCも発売しこれもヒットしまして、2004年には今度は金融事業ソニーフィナンシャルを設立します。
そして2005年にテレビのブラビアも発売します。
この沿革を見てるとソニーの華々しい歴史を説明しているように思えます。
ところが直近の業績を見てみましょう。
これは直近10数年の業績なのですが見てください。
2009年から2015年にかけて黒字となっているのは、わずか1回その他は全て赤字となっています。
実はソニーはこの10年間非常に苦しんで苦しんで、もがいてきた10年という事になります。
何が起きてしまったのかというと、当然業績がこれだけ悪いという事になると、株価も大きく値下がりして2000年頃には16000円ぐらいあった株が、なんと2013年には700円程度にまで下がるという1/10どころかそれ以下に下がってしまっていました。
何故このような状況になってしまったのかというと、ソニーというと思うこの時期は例えばパソコンのVAIOだとかテレビのブラビアだとか、そういったものを販売していました。
しかし、これはソニーに限らないのですが、このような安く良いものを作るというのが日本企業のお手の物だったんですが、それは高度計財政長期までで、やがては韓国やあるいは中国といった企業が、より安く良い製品を作れるという事で台頭してきました。
したがってこれらを高い価格で売る事が出来なくなって、利益が出ないという状況に陥って非常に苦しい時期を過ごしました。
更にはソニーの十八番であったウォークマンですが、AppleがiPodを発売しました。
その事によってウォークマンは一気にシェアを奪われてしまいました。
更にはスウェーデンのエリクソン社とソニーエリクソンという形態事業をやっていて、このガラケーのソニーエリクソンが記憶にある方もいるかと思います。
デジカメもやっていまして、ビデオカメラなんかもやっていたりしました。
しかしこれらの事業というのもある事によって、大きく変わってしまいました。
それが、iPhone発売です。
このiPhoneの発売によってそもそも携帯というのがガラケーから、スマートフォンに移行しましたから、ガラケーが売れなくなってしまって、ついにはどんどん赤字を垂れ流すような事業となってしまいました。
更にはデジカメもスマホでもはや簡単に取れてしまいますから、デジカメもなかなか売れなくなってしまいました。
こうなるともうソニーは稼ぎ頭を失ってしまって、完全に路頭に迷ってしまいます。
今のソニーがこれだけ復活したというのも有り得なかったのではないかと思うのですが、ここで捨てる神あれば拾う神ありという事で、思わぬ追い風が吹きます。
それがCMOSセンサーと呼ばれるものです。
これはデジカメの画像認識センサーで半導体なんですが、これが非常に高性能でして評判は高かったです。
これがiPhoneのカメラに採用されました。
その結果この事業が非常に大きく伸びて風前の灯だったソニーの業績を、立て直す原動力となりました。
その間にこれまで全く利益を生まなくなっていた、パソコンのVAIO事業を外部に売却しますし、またその他様々なリストラ策を進めました。
一方で伸ばしてきたのがこのプレイステーションだったりとか、ソニーフィナンシャル、そして映画事業です。
かつて買収しましたコロンビアピクチャーズなんですが、スパイダーマンやソニーミュージック音楽配信事業なんかも安定した利益を出すようになってきます。
そんな中で達成出来たのが今の好業績という事になります。
業績に戻りますとここで大きな赤字を計上したのですが、どんどん利益を伸ばしてきて、ついに2019年3月期には最高益を達成するところにまで到達しました。
一方でこの売上高を見ていただければわかるのですが、8兆円、7兆円というところから大きくが増えていません。
しかし様々な事業に手を出していた事によって、選択と集中を行う余地が生まれてきました。
その結果は儲からないエレクトロニクス事業を売却して、一方で映画やゲーム、音楽、そして金融事業というものを伸ばす事によって、立て直しを図って見事にそれが成功しました。
何故電気の会社がこんな事が出来たのかというと、創業者の盛田昭夫氏の言葉があります。
1958年の事なんですがソニーが世界に進出していくにあたって、わかりやすい名前を付けないといけないという事で、ソニーという名前は最初に決まっていたのですが、銀行などはソニーのエレクトロニクスとかを電気の会社だという事を、わかるように名前を付けてほしいという風にお願いしたらしいのですが、この森田さんは「ソニー」というだけの名前にこだわりました。
何故かというと「ソニーが将来エレクトロニクスの会社であるとは限らない」と、この時点でこれほど先進的なことを言っていました。
その結果今の現状を見てみますともはやエレクトロニクス電器の会社とは必ずしも言えなくなっていて、むしろコンテンツとかそういったところに舵を切って成功しています。
ソニーにはこういったDNAがあったからこそ、苦境から立ち上がる事が出来たのだと考えられます。
株価も見てみますと大赤字を継続していた頃からすると、すでにテンバガーを達成してしまっているという状況です。
いかにしてソニーがここまで成長してきたのかよくわかっていただけると思います。
今ソニーの社長を務めているのは吉田憲一郎氏という方なんですが、この人もその旧ソネット、ソニーが発足させたインターネット接続の会社に一時期いました。
その事からすでに電気にはこだわらない考え方というのは出来てると思いますし、これからどんどんネットが発達するにしたがって、物作りからコンテンツへという流れは加速していくのではないかと思います。
因みになのですが今の社長の吉田憲一郎氏は東大経済を出ているのですが、その前の経歴を振り返りますと鹿児島県の鶴丸高校の出身なのです。
実はこの鶴丸高校から東大の経済学部という経歴は私と同じです。
なので非常に親近感を感じています。
是非吉田さんとお会いできる機会があったらいいなと思っているところです。
もう一つこのソニーの特徴的なエピソードとしましては、実は今株価絶好調であるエムスリーも、このソニーないしソネットから生まれた会社です。
そこからスピンオフして今の成長がある会社なのですが、それほどソニーのDNAには関連事業エレクトロニクスにこだわらない、周辺事業を育てる力があったという事が証明出来る訳です。
今となっては割安ではないが、安定した伸びとPS5に期待するなら投資はアリか
さて問題は今買いかどうかという事に関してです。
今持っているゲームはもちろんそうですし、映画音楽金融といったところこれらは、淡々とやっていく事によって、安定して伸ばし続ける可能性がある事業という事になるので、まだ成長余地は十分にあるという風に考えます。
ただしかつて10倍株になったという話をしましたが、今そんな状況ではありません。
かつてから10倍になったあの何故かというと、とにかく売り叩かれて必要以上に割安になっていたからというところがあります。
それからすると実質的な特殊要因を除いたPERは20倍程度ですから、割と妥当な水準なのではないかと思います、
しかし10倍株という事はないにしても後は成長企業の成長利益の成長に従って、伸びていくという事が考えられますから、そういった観点で見れば全然割高な水準ではないという風に思います。
このPS5が最終的にどれだけ売れて、どれだけ利益に貢献するかという事はまだわかりませんが、それにかけるならば買って悪くない投資対象かと思います。
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誤字
中盤、石田さんではなく吉田さんでは?
その通りです。ご指摘ありがとうございます!