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以下、文章化したものです。
ドコモが新料金を導入して料金を更に引き下げるという発表をしています。
これによってソフトバンクやKDDIの株価は値下がりしています。
今後の携帯料金の行方、これらの会社の株価の行方は一体どうなってしまうのかという事について解説したいと思います。
政府が求める”実感ある”値下げ
こちらは11月30日の日経の記事です。
KDDIやソフトバンクは、現在UQモバイル、それからワイモバイルという形で、廉価ブランドを導入しています。
そこにおいて20GBだとUQが3,980円、ワイモバイルが4480円という形でやっています。
ドコモが新設するサブブランドでは、20GBで3000円前後にするという事が報道されています。
またメインブランドの大容量に関してもKDDIが7,650円、ソフトバンクが7,480円のところ、ドコモは更に安くするのではないかという憶測が出ています。
この携帯料金の値下げですが、菅政権が誕生して、菅総理が官房長官時代から手掛けてきた内容ですから、政権肝いりの政策ということでやっています。
すでにKDDIとドコモが先に料金プランを出した事で、一旦は決着がついたのではないかとも思われていました。
しかし今必ずしもそういう状況ではないということが浮き彫りになってきました。
菅総理が就任当初から携帯料金が高いので何とかしなければいけないという事を言っていて、auやソフトバンクはサブブランドのUQやワイモバイルにおいて下げました。
20GBで3、4000円程度で使えるんだから十分安いでしょうというような形で打ち出していたのですけれども、一方でもう1社一番シェアの高いドコモに関しては沈黙を保っていました。
何故沈黙を保っていたのかというと状況がありまして、親会社であるNTTがそれぞれ上場していたのですが、ドコモを完全子会社化するという事で11月17日にはTOBが成立して完全子会社になる事が確実となりました。
この子会社化の状況が動いたのがまさに菅政権が誕生してすぐという事でした。
そこに政府の思惑が透けて見えます。
というのもこのNTTはもともとを国営企業なので、国の関与が非常に強い会社です。
現時点においても株式の33.9%保有しています。
この経営陣の中には当然政府の息のかかった人もいるので、それに対してドコモがこれまでもあまり値下げしたプランを打ち出していなかったりした事が、何をやっているんだというような見られ方もされていたみたいです。
しかも料金を引き下げないでシェアだけが奪われていくという状況にも、悶々としていたというところもあります。
ここで政府の息のかかったNTTに完全子会社化される事によって、あとはもはやお上の言う通りにというような形で、ドコモが料金の引き下げの先頭を走っていくのではないかとここでみられる動きがあります。
そもそもこの携帯料金引き下げの議論なんですけれども、あくまで私の観点ですが、出発点からかなりずれていたと言わざるを得ないと思っています。
この携帯料金の値下げというのが、菅総理が官房長官時代や、あるいは総務大臣時代から言ってきた事なんですが、このグラフが基礎になっています。
これ総務省の調査なんですけれどもデータ容量2GB、5GB、20GBといった形で国際都市の比較をしています。
2GBだとニューヨークよりは安くソウルと同じくらい。
5GBだとニューヨークよりも安くて、ヨーロッパの各都市に劣りますがソウル同じぐらいだという風に言われています。
ところが20GBになると急に跳ね上がって、ニューヨークよりも高い、ソウルよりも高い、世界一高いと言われる所以がこのグラフで明らかになっていて、日本の携帯料金は国際的に見ても高いという論拠を担っています。
ところがこの議論自体が実はかなり空虚なものだという風に私は思います。
何故かというと多くの人が実はこの20GBとかそんなにたくさんの通信量を使わないというところがあります。
実際にそれを裏付けるデータもありまして、皆さんが携帯でどのぐらいのデータ量を使っているのかという事を示したグラフです。
こうやってみますと実は30%近い人が1GB、そして20%近い人が2GB、15%近い人が3GBという形で、かなり人口比で見ればかなり少ないデータ容量の人が多いという事になります。
この折れ線グラフが累積で低い方からどんどん足し上げていった時の割合パーセントなんですが、こうやって見るとに20GBまでのところで9割超の人がそれ以下のデータ量で済んでしまっているという事がわかります。
つまり今議論しているこの20GBの容量の料金を下げるという事に関しては、実は9割以上の国民には関係がない議論という事になっています。
これに対してソフトバンクやKDDIが20GBの料金を下げました、データ上限のないところを下げましたと言っても、かなりこれ自体は多くの国民にとって関係なくて、実感が得られないものとなります。
ではどうしたらいいのかというところなんですが、実は今料金を安くしようと思ったらその手段はいくらでもあります。
格安スマホも平均値を比較いたしますと、大手のキャリアが7000円ぐらいなのに対して、格安スマホにすれば2000円ちょっと3000弱という形になります。
格安とまで行かずともサブブランドのUQやワイモバイルを使えば、4000円弱という形で半分近いところまで抑えられる訳です。
したがってあの公正な競争という観点では、決して国民にその選択肢がないという訳ではありません。
ところが先ほど9割超の国民と言いましたけれども、実は大半の国民は格安スマホとかサブブランドといったところにはあまり流れないといった現実があります。
何故かというと人の性質だと思いますが、多くの人は自分がいくら使っているか知らなかったり、格安キャリアは面倒くさい、ドコモかauかsoftbankどれか使っていればいいでしょうぐらいにしか考えていない訳なんです。
そんな中でそれでも料金が安い方が良いという、ここだけはしっかり言ってくるのが大半の国民です。
そんな中、武田総務大臣が言っていましたメインブランドの価格を下げてもらわないと国民に実感を持ってもらえないという事を言ってました。
現実問題としてメインキャリアを下げなければ、こういった面倒くさがりの国民はなかなか実感を得られるという事はありませんし、家計負担が軽減されたという実感を味わっていただける環境をつくってほしいと言っていますから、利用する通信量が低くて尚且つ格安キャリアに移行するのがめんどくさい人、こういった人達を手取り足取り料金を引き下げないといけないという事になります。
これが政府の肝になっています。
菅総理としては支持率を上げたり維持する為に、大多数の国民の恩恵が得られるようにという形で動いていかないといけないという事になっています。
私の義理の母も言っていたんですけれども、菅さんが料金を引き下げると言っていたので、自分も恩恵を受けられるのかと思っていたら20GBとかそういった話をしているので、関係ない話だと憤っていました。
この人達の関心を買う為にはギガ数が少なくて、移行するのが面倒くさいそういった人を対象になるような仕組みにしていかないといけないんだなという事で、この話はまだまだ終わりを見せそうにありません。
KDDI、ソフトバンクもドコモに追随”せざるを得ない”。株価は厳しいか
さてこうやってドコモが料金を引き下げるという事になると、KDDIやソフトバンクも傍観している訳にはいきません。
ドコモは資金力がありますから料金を引き下げるという事になったら、いよいよたくさんユーザーを呼び込まないといけないという事になります。
するとドコモにしたら通信も安心、尚且つ料金も安いよというような形で、どんどん広告も打つでしょうから、そうなるともうKDDIやソフトバンクが草刈場になってしまう可能性があります。
それを踏まえるとやはりKDDIやソフトバンクも追随して、料金を引き下げざるを得なくなる環境が整ってくるのではないかと思います。
そういった観点からこういった携帯会社の株価というのも、厳しいと言わざるを得ないと私は考えています。
実際にこの11月30日の発表があってから、KDDIそれからソフトバンクいずれも株価が大きく引き下がっています。
日経が上場する中で置いてかれているという状況になっています。
私もソフトバンクで持っていた物を既に売却しているのですが、今後も下がったからといってまだまだ買えるような局面ではないと思っています。
長期的に見てもあまり良い投資対象ではないという風に今考えていまして、何故かというと数年前に実は同じような経験をしています。
それがこのチャイナモバイルです。
中国移動通信と書かれていますけれども、この会社を2年ぐらい前に分析していた事がありました。
そんな中でこのチャイナモバイルはPER的な観点で見ても、非常に割安でしたし、携帯でしかも中国の人口が多いところ、更にはこれからまだ経済が成長する中で、5Gもあって通信の携帯の利用者は増えるだろうというところで期待される中で、何故こんなに割安なのかという事を真剣に考えた事があります。
するとその結論としては中国のチャイナモバイルは7割以上を国が株式を持っています。
中国の場合は国が株式を持っているかに関わらず、政府の意向は受け止めなければならないのですけれども、そんな中で中国政府は世論の動きを非常に気にしています。
世論の関心を得ようと思ったら税金的に取られているこの携帯料金というのは、一つの大きな肝となる訳なんです。
つまりこの料金を引き下げるという政策を政府が打ったという事になれば、支持率が必然的に上がって、安定した政治運営を行う事が出来る訳なんです。
逆に考えるとその割を食うのはこの携帯キャリアという事になりまして、そういった状況から私が見ていたのが2年ぐらいまでなんですけれども、株価はそこからすでに半分近くにまで値を下げています。
業績が悪くなっているかというと決してそんな事はありませんが、そういった国の重しがあるから株価が上がらないという事になります。
実際に料金を引き下げるという事になると、やはり利益が下がって株価もそれに追随して下がるという事は見込まれます。
日本は決して共産主義国家ではありませんから、あくまでこの料金の設定というのは各企業に任されているわけなんですけれども、今の菅総理の動きを見ているとどちらかと言うと共産主義的な、国の力で何とか引き下げさせようというような圧力を感じざるを得ません。
資本主義国家という前提でありながらやはりこの辺の力関係というものは、投資家としては常に意識していかざるを得ません。
そういった観点からこの携帯キャリアというのは、今は近寄らぬが吉なのではないかという風に考えています。
株価が割安だったり配当があるというところはあるんですけれども、業績が駄目になってしまってはどうしようもありません。
しかも大きな成長が見込めないという事になると、今敢えてこのような銘柄に手を出す必要はないのではないかというのが私の考え方です。
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