なぜ私が長期投資をするのか?答えは「遅鈍で面倒くさがり」だから
株式投資には様々な手法があります。短期から長期、成長株から割安株、テクニカルからファンダメンタル…。それぞれの中間や組み合わせも無数に存在し、どれを選んだら良いか多くの人が決めかねています。
どの手法が最も良いかという議論に結論が出ることはありません。なぜなら、株価はランダムに動くものですから、統計的に優劣をつけようと思っても、対象となる期間などによって結果が全く変わってしまうからです。
例えば、足元のコロナ相場では、バリュエーションを無視して成長株に一点張りすることが最も効率が良かったと言えますが、下落局面では全く逆のことが起こります。パフォーマンスにおいて「絶対」はないのです。もしそんなものがあったら、今頃バフェットのような数兆円プレーヤーがゴロゴロ出てきておかしくありません。
そんな中で、私は「長期」「割安」「ファンダメンタル」という選択をしています。その理由は、必ずしも一番パフォーマンスが良いからではなく、最も「続けられる」方法だと考えているからです。
私について自己分析をするなら、瞬発力に乏しいことが言えます。どちらかと言えば、石橋を叩いて渡る、いやそれでも渡らないことの方が多いくらいです。だから、今日明日上がりそうな株があったところで、結局買うことができないまま時が過ぎ去ってしまうでしょう。
利益を取り逃すだけなら大きな問題にはなりませんが、問題は売るときです。「スイング投資」や「高バリュエーション投資」の肝は「逃げ方」です。これらは上昇にはとことん付き合いますが、流れが変わったと思ったらすぐに逃げることが必要です。そうしなければ、みすみす資産を失ってしまうことになります。
また、短期での売買を繰り返す場合は、そんなに多くの銘柄に投資することは難しいものです。そのため、リスク分散も図ることができず、資産の変動は大きくなります。何より、相場変動を気にしていつも株価を見ていなければなりませんから、時間的にも精神的にも落ち着く暇がありません。
遅鈍で面倒くさがりかつ慎重な私にとって、これはとても実践できる方法ではありませんでした。
長期投資のエッセンスは「良い企業」「安全域」「複利効果」
一方、長期投資ならどうでしょう。長期投資の大原則は、良い企業に投資することです。そうすれば、目先の株価はともかく、長い目で見れば株価は安定して上昇する可能性の高いものです。それを少しでも安い価格で買っていれば、あとは何もすることなくただじっと待っていれば良いのです。
しっかりと優良企業を選択することができれば、その「価値」は簡単には減じることがありません。たとえ株価が下がったところで「逃げる」必要はありませんし、むしろやがて戻ると考えたら絶好の買いのチャンスが訪れたことになります。安く買うほど、上昇余地すなわち「安全域」が大きくなるのです。
優良企業ならそれなりの配当があります。ゆっくりとでも成長していたらやがて増配や自社株買いが期待できるでしょう。それが株価が上がるきっかけにもなりますし、株価が上がらなくても配当が増えればそれで問題ありません。
長期投資で何より大きなのは複利効果です。配当と成長をあわせて年10%のリターンがあげられるなら、10年後には2.6倍、20年後には6.7倍になります。投資としてはかなり成功と言える部類ではないでしょうか。
一方で、集中投資やレバレッジをかけた投資をしていると、積み上げた利益が一気になくなってしまう可能性があります。そうなるとまた1からやり直しです。短期投資で成功し続けるのが難しいのはこの1回の失敗が致命傷になりうるからです。(まさに「コツコツドカン」という形になります。)
短期投資と長期投資の「心の有り様」
何を言いたいのかと言えば、短期投資と長期投資では、心の有り様が全く違うということです。
短期投資では、いつも株価を気にして、何かあったら瞬時に取引しなければなりません。これではなかなか安心して眠ることもできないでしょう。
一方の長期投資では、普段やることはほとんどなく、しいて言えば良い企業を探すことです。そうやって買いたい銘柄のリストを増やし、いざ相場が崩れて株価が下がったら、狙っていた企業を強かに買います。株価が下がるほど「安全域」は大きくなりますから、時間が経つごとに上がる確率も上昇するのです。
多くの個人投資家は、他にやることがたくさんある「兼業投資家」です。そんな人が、「短期投資」が向いているか、「長期投資」が向いているか、心の持ち方や時間の使い方を考えれば自ずと結論が出るのではないでしょうか。
もっとも、短期投資を否定するつもりはありません。短期投資でも勝ち続けて大きな利益を出す人はいますし、何より刺激的ですから好きな人にとってはたまらないでしょう。しかし、そのスリルにはまってしまい、やがて「コツコツドカン」で資産を減らしてしまう人が数しれないことは頭に留めておくべきです。
スリルを求めず、安心・着実に資産を増やしたいと思うなら、やはり優良株への長期投資はうってつけだと考えます。
「無事これ名馬」こそが最強の投資法!
もっとも、私は決して高いリターンを諦めたわけではありません。むしろ、長いスパンの中ではこの投資法が結果的には最も高いリターンをあげる可能性が高いと考えています。なぜなら、大きな失敗をする可能性がほとんどないからです。「無事これ名馬」に通じるものがあります。
長期投資で鍵を握るのが、以下の公式です。
将来資産=元手×銘柄選択×期間
元手と期間は、自らの努力で増やすことができます。今元手がない人でも、給与の一部を積み立て、それを長く運用し続ければよいのです。あとはここに、銘柄選択(企業とタイミング)のエッセンスを加えることで、将来の資産が大きく増えます。(もっとも、少なくとも銘柄選択でマイナスになってしまわないことが大切です。)
なお、銘柄選択について「ベスト」はありません。選択肢は星の数ほどあり、どれが一番良いなんてわかりっこないからです。その中から、「ベター」な選択を行い続けることになります。それが私にとっては「良い株を安く買う」すなわちバリュー株投資ということになるのです。
銘柄は自分がよく知っていて、持続可能性の高い事業を行っており、経営陣の成長意欲のあるものが望ましいと言えます。この選択をすることができれば、強い安心感を持って投資に望むことができるはずです。
安心して投資に臨むことは、上記の公式における「期間」を伸ばすことにつながります。最終的にはここが最も肝になる部分になると考えます。
安心して長く続けられる長期投資―このキーワードをモットーにこれからも投資とアドバイスに励んで参りたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
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おっしゃる通りと思います。ただ、初心者は貴方の指す時間軸が数年、数十年を超えるじっと見つめて待つという事が出来ないのです。最高の投資法の一つであるのは明白です♪思いもよらない投資法なのです。価値がわかった時点で余命幾ばく、それが一般人の人生です