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以下、文章化したものです。
今、資産運用では米国株のインデックス投資だけを買っていればいいんだ、それを積み立て投資していればいいんだという風潮がよく見られます。
YouTuberなどを見てもオリエンタルラジオの中田さん、あるいは厚切りジェイソンさんなんかも、YouTubeでこのような内容を発信していたりします。
言っている事が必ずしも大きく間違っているとは思いませんが、そればかりを盲目的に信じてしまうと思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があります。
ここでは米国株インデックス投資に潜む現実というものを解説したいと思います。
またそれだけの一辺倒の投資になってしまわないように、私たちはどうしたらいいのかという事についても具体的な処方箋を示していきたいと思います。
米国株が好調な理由
アメリカ株S&P500の30年間の株価推移です。
見ると分かるように見事に右肩上がりを描いています。
年率のリターンとしては11.8%という事になります。
確かにこのグラフの中で積立投資だったり、米国株に投資していればほぼ多くの人が報われていたと言う事になります。
2020年12月9日時点ですが、S&P500過去最高値を更新しているところです。
では何故こんなに米国株が調子良く上がっているのかという事について、分解して話してみたいと思います。
その要因として3つあげる事が出来ます。
1つ目が経済、特にハイテクに関して強いという事です。
2つ目に、年金制度改革というのが実は30年近く前に行われました。
そして3つ目は政策金利がこの十数年、非常に低下しているという事になります。
まず1つ目米国の経済が強いというのは具体的にはGAFAMと言われる、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、そしてマイクロソフトというこの5社が非常に強いという事があります。
ナスダック総合指数というものがありまして、これはハイテク株を中心に売買される市場を表す数値ですが、先程S&P500の上昇率が年率換算11%という話をしましたけれども、ナスダック総合指数はなんと15%上昇しています。
年率で15%ですからこれが1年2年10年20年と積み重なっていくと、それは非常に大きな差となって現れます。
米国の経済が強いというのは一番大きいのはやはりシリコンバレーという効果だと思います。
シリコンバレーにアップルとかアマゾンとか、そういったハイテク企業がどんどん集まってきて、世界中の頭脳がここを求めてやってくる訳です。
アメリカ人だけじゃなくて、インド人、中国人など、飛び抜けて優秀な人達がこれらの企業を目指してやってきて、そしてどんどん大きくなっています。
インターネットの発達によってこれらの企業が世界展開をして、どんどん大きくなる素地というものがありましたから、これらが利益を稼いですごく成長してきたという事が、アメリカ株をけん引してきた訳です。
2つめに年金制度改革というのがあります。
これが実は一つ大きな要因となっています。
というのも1990年代後半に当時のクリントン政権が年金制度改革を強くを行いました。
具体的に言うといわゆる401確定拠出年金です。
これは個人それぞれが年金を国に預けて後から貰うという形ではなく、個人それぞれが株式や投信、定期預金それらのものに積み立てて、そして自分の年金として受け取るというものです。
あるいはIRA、退職年金勘定と言ってこれは税金のメリットがあって、特定の口座に積み立てれば税控除を受けられて、退職した時の資金として積立運用を行なってくださいよというものです。
アメリカは株式投資の国と言われていますが、昔は必ずしもそうではありませんでした。
この黒の折線グラフを見てください。
この1985年にはまだ4%程度しか資産に対する比率というのがありませんでした。
それが1990年代後半にクリントン政権がこの IRAや401Kなどを強く推進した事で、多くのアメリカ国民が年金を自らの運用で、そして株式に投資するという事になりました。
それによってこの黒の折れ線グラフがどんどん右肩上がりに伸びてきました。
これは古いデータなのですが、この時点で金融財産に占める割合というのは、16%にまで上昇しています。
今もまだまだ上昇していると思います。
この間株価の調子が良かったという事で、年金で運用している人の資産がどんどん増えていったという形になる訳です。
その結果増えているという事でどんどんお金が入ってきますし、お金が入ってくればまた株価が上がるという好循環に陥りました。
更にここで多くの国民が株式や投資信託といったものを持つ事によって、株価に対する国民的な関心がすごく高まりました。
すると今度は政治の方が株価の動きというのを非常に気にしなければいけなくなります。
今のトランプ大統領も株価の動きが支持率の生命線だという事で、株価を上げる施策というのをどんどんを行ってきました。
わかりやすいところでは減税というのがあるのですが、30数パーセントあった法人税率を21パーセントまで一気に引き下げました。
その事によって税率を引き上げ下げるという事は、株主の取り分が増えるという事なので当然株価上昇します。
またそれだけではなくて金利の操作というのも大きいです。
この20年間30年間というところではこの政策金利、アメリカのFRBが決める金利なんですけれども、長期で見ればやはり右肩下がりに下がっています。
これより以前はもっと高かったのですけれども、どんどん下がって特にリーマンショック後に関しては限りなくゼロに近いところに推移しています。
これも2016年で終わっていますけれどもここで少しだけ上げたのですが、また経済が悪化してきたり、あるいはコロナによってまた0%というところまで下げてきました。
金融の世界では金利が下がるという事は株価の上昇に直結します。
したがって政策的にもどんどん株価を上げるものというのが増えてきました。
金利が下がってる中でハイテク企業の業績がどんどん上がっていくという事になると、当然株価が大きく上昇するという事になりますから、この3つによって米国株は上昇をしてきました。
好材料が無くなれば一転下落要因に
しかしいつまでもこの絶好調の株価が続くという訳では必ずしもないと思います。
何故なら上昇の要因があるという事は、それが無くなってしまうと当然下落要因になり得るという事になります。
その最大の引き金になりそうなのがこのコロナという事になります。
コロナがおきますとまず経済成長がどうかするのではないかという事が考えられます。
今多くの人がステイホームという形でやっていますけれども、これでは経済は昔のように回りません。
自宅で大人しく過ごしている中で当然お金が回らなくなって、一部の産業が厳しくなるという事はそこで勤めている人達の給料も下がったり、失業してしまったりするかもしれません。
そうやって人々が財布の紐を締めていくと、やがて株式市場やお金持ってるところも、お金が回らなくなるという事になって、経済成長そのものがしぼんでしまうという可能性があると思います。
またハイテクの競争が激化するというのもあります。
IT化というのはどんどん進んだ訳なんですが、これまで流れとしてあったのですが、今やあらゆる会社がオンライン化しなければならないという世界になっています。
当然A社B社同じようなサービスをやるという事になると、そこで価格競争というのが発生します。
例えばWEB会議システムをとっても今zoomが絶好調で伸びていますが、そこに対してフェイスブックとかグーグルあるいはマイクロソフトが、無料だったりとか定額のWEB会議サービスというのをどんどんやっています。
そんな中で当然グーグルは無料で提供するという事にもなるでしょうから、ハイテク企業の取り分というのは削られていくという可能性があります。
もちろんプラットフォーマーとして伸び続けるという可能性も否定出来ませんが、日本語でも栄枯盛衰という言葉があるように、いつまでもこの青天井の成長を続けられるとは限りません。
更に金利上昇という事も言われています。
コロナで日本もそうですが、アメリカはものすごい政府支出を行いました。
政府の支出が増えるという事はつまり借金が増えるという事です。
借金が増えるという事はもしかしたら将来その借金を、返せなくなるのではないかという不安が一部の投資家では起こる訳です。
すると投資家は米国株を売るという行動に出ます。
米国株を売るという事は逆に価格が下がりますから、価格の定価は金利の上昇を意味します。
先ほど説明しました通り金利が下がるという事は、株高の要因になるのですが逆に金利が上がるという事は、株価を引き下げる要因になり得ます。
したがって今後この経済いわゆるファンダメンタルズや、あるいは金利の上昇という事があると、これまでのような株価の上昇というのは続かない可能性が十分にあります。
具体的に過去の例を用いて説明しますと、これが過去90年間のS&P500の水位なんですが、対数グラフと呼ばれるもので倍率に応じてこの軸を調整しているのですが、1929年から40年代に関しては世界恐慌とその後の低迷期という事で、株価が上がらない状態が続きました。
また株式の死、1970年代から80年代にオイルショックを機に始まったものですが、この間アメリカ株というのはほぼ上がらなくて、実はアメリカでも株式投資なんかやっているの馬鹿らしいと言ってる時代がありました。
結局このような事がまた起こらないとも限りませんし、過去のチャートを見ますと世界恐慌の前は実はとんでもない株式ブームが起きて、株価が上昇していたという事もあります。
またこの1950年代60年代の株価上昇というのも、第二次世界対戦が終わった後の高度成に支えられて上昇してきたという部分があります。
したがって大きく上昇した反対には必ず停滞、あるいは下落というものがあるという風に見てください。
そう考えるとリーマンショックから大きく上がって、コロナで一瞬下がったかと思いましたが、また更に上昇を続けています。
ここから過去の例にあったような大きな低迷が起きないとも限りません。
そんな中で今この上昇している高いところで株をたくさん買ってしまったとしたら、そこで買った株は長い時間に渡って含み損となってしまう可能性があります。
機械的ではダメ!頭を使うことが大切
ではそのような状況に対して私達はどうしたらいいのか、今正直私は感覚として米国株高いのではないかという風に思っています。
もっとも金融緩和の影響によってどこまで上がるかというのは想像も出来ないのですが、経済というのはそんなに爆発的に上がるものではありませんから、どこかで停滞とか反転反落を経なければならないという風に思っています。
それに備えてどうしたらいいのかというと、まずは分散投資ではないかと思います。
米国株自体も確かに米国のあらゆる企業に分散しているのですが、やはり米国という国の特性が反映されるものです。
米国だけではなくて例えば全世界をカバーしたような、世界株式インデックスのようなものに投資するというのは、米国株だけよりもまだ安定性が高いのではないかと思われます。
また株式と一般的には債券なんですが、今債券を買ったところでほぼゼロ金利ですから、そうではなくて現金で持っていくというのは一つの手ではないかと思います。
もちろん金とか不動産とかそういったものにも分散する事で、この大きな波を避けるという事は可能性として考えられると思います。
またタイミングを考えるという事もあります。
先程チャートでを示しました通りこのように上がっている時に買うというのは、高値づかみをしてしまう危険性があります。
逆に言えばこのような低迷期とか株価が下がっている時に株買う事によって、その後の大きな上昇を得る事が出来ると言える訳です。
実際に近年大きく株式で儲けて億万長者となったような人達も、リーマンショック後の低迷期に買い込んだ事によって、今そのような億万長者になっている訳です。
したがって買うタイミングというのはやはり考えなければいけなくて、今米国株にたくさん投資するというのは、必ずしも理にかなった戦略ではないという風に私は考えています。
3つ目は株式投資の大原則なんですが歪みを見つけるという事です。
投資で儲ける為にはただただ盲目的に何かに投資していればいいという事はありません。
むしろあらゆる良い材料というのはすぐに株価に織り込まれますから、なかなか市場平均を上回るような大きなリターンというのはあげにくい訳なんです。
しかし一方では何らかの理由で市場から見過ごされていたりとか、あるいは悪材料に過剰反応して株価が下がってしまうそういった事があります。
その実態と株価の乖離に歪みを見つける事で、利益を上げる超過リターンを上げるというのが投資家のやるべき事です。
実際私が投資顧問契約として行なっているものも、この歪みを見つけるという事を最大限に重視していまして、本当は良い企業なのに何故か市場から忘れられて割安に評価されていたりとか、あるいは悪材料が出た事によって本来あるべきところよりも株価が下がってしまうケースというのがあります。
そういう銘柄をコツコツ買っていればやがての上昇局面では、大きなリターンを得られる事が出来るという風に私は考えていますし、実際にそれを行っています。
例えばこのよく使っているお店を運営している会社のPERは、例えば10倍で放置されていてすごく良い会社なのになんでこんなに安いんだろうという事を普段から考えてみたり、あるいはそういったものを見つけたらもう少し下がったら買ってみようという事を考えます。
例として挙げるならばこのエレコムというのがあります。
エレコムはパソコン、あるいはスマートフォンの周辺パーツを売っている会社です。
売り場に行くと実はほとんどエレコムの商品だったりします。
その中で例えばスマホのカバーを買おうと思ったら、気が付いたらエレコムの商品を買っていたという事も少なくありません。
そんな中で見事に株価はこの5年前からおよそ4倍という数字になっています。
細かいところでなくても例えばニトリなんかは、私の経験でいうと大学生の時あまりお金がなかったのですが、一人暮らしの家具を揃えようと思ってニトリに行ったら、こんなに使いやすい物が、こんなに安い値段であるんだという風に驚きました。
そこで家具は買ったのですが株を買えなかったというのは、一つ惜しむべきところではないかと思います。
そういった日常のところに株価と実態の歪みというのは潜んでいるという風に考えています。
米国株に関しては色んな人が国民全体がもう投資家として参加している訳なので、実はこのような歪みを見つけ出すのはあまり容易ではなかったりします。
そもそもアメリカに住んでいなければなかなか発見する事は出来ませんし、発見していたとしてもすでに株価に反映されているという可能性が高いです。
それに対して日本の株というのは結構見過ごされている株が少なくないという実感は持っています。
実際にそのような形で株式投資で利益を上げてきたという事もあります。
したがって特にこの個別株をやるのだったら、米国株も良いですけれども日本株というのもやはり目が離せないなという風に思っています。
ウォーレンバフェットも今まさに日本株を買ったという事がありますから、国としての経済成長はさすがにアメリカに劣ってしまうかもしれませんけれども、この歪みという観点では日本株も捨てたものではありませんし、むしろ個別の企業の乖離に関しては日本株の方が大きくて、利益を出す可能性も十分にあるという風に思っています。
今回の話をまとめますと米国株だけの投資というのは考えものです。
30年50年という単位では十分に年率で10%とかそういったリターンが取れるかもしれませんけれども、その30年に達するまでの間に株式の死みたいな全く上がらない局面、あるいは下がり続ける局面というのも経験する可能性はやはり十分にあるという風に考えます。
それを避ける為にも分散という事は必要だと思います。
米国株だけではなくて他の資産も知っておいて、それらを少しずつでも持っておくというのもありますし、それが難しいようだったら例えば現金持っておいて、いざチャンスに備えると株価が下がった時や良い物を見つけた時に買う為にとっておくという事は必要ではないかと思います。
何より頭を使うという事が絶対大切です。
この米国株にとにかく積立投資をしていれば良いという論調は、何も考えなくてただ機械的にやればいいからやっているというところがあります。
こういう人達は結局は何も考えたくないからやっている訳なんです。
けれどもそういったものには必ず落とし穴があります。
今後株価が低迷するようだったらそういう人達が痛い目を見るという事になりますし、米国株に集中投資していたとしても、もしこうなりそうだったらいつでも動ける準備というのはしておかなければなりません。
そういった意味で頭を使うというのはやはり投資においては、絶対条件だという風に考えています。
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