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以下、文章化したものです。
東京都の小池都知事が2030年までに東京都でのガソリン車の販売をゼロにするという意欲的な目標を掲げました。
世界でも脱炭素という事でガソリン車から電気自動車への流れが進んでいます。
そんな中で自動車業界の王者であるトヨタが電気自動車を未だに販売していない事から、一体どうなっているんだという声がありますが、そこにはトヨタが虎視眈々と状況を見守っている王者の風格というところが感じられます。
今回はその電気自動車の流れについて、あるいはトヨタのその中での戦略という事について解説していきたいと思います。
電気自動車の開発と環境整備
日経の記事に「東京都30年までに新車販売全て電動車に」とあります。
ガソリン車の販売を下げるという目標は東京都に限ったことではなくて、国も同様の政策を掲げようとしています。
日本に限らず各国で同じような動きが進んでいます。
この表にあります通り、東京都が30年までと言っていますが、政府としては30年代半ばまでに販売ゼロの方針です。
英国でも30年、それからアメリカのカリフォルニア州では35年、中国も35年、カナダも35年、そしてフランスが40年までというような形となっています。
アメリカでトランプ政権は脱炭素の動きからは完全に一線を画していたので、バイデン政権が誕生する事になると、脱炭素、そして自動車の電動化、ガソリン車の撤廃というところに進んでいくのではないかという事が考えられます。
では一体何が起こるのかという事をこれから考えなければなりません。
まず端的に考えられるのは急速充電器の普及です。
電気自動車の課題として航続距離が必ずしも、ガソリン車よりは長くないというところです。
ガソリン車で言うと満タンにすると800キロとか1000キロとか、それくらい走る事が想定されるのですが、一方で電気自動車は今良くて400キロぐらいなので、走っている途中で動かなくなってしまうという事になっては大変です。
ですからスポットスポットでガソリンスタンドがあるように、この急速充電ステーションというのを設けなければなりません。
これが産業振興策にもなり得ますからこの記事にある通り、東京都が急速充電器の普及を後押ししているように、日本、アメリカ、そして中国なんかでもこれらが進んでいくのではないかと思います。
そういった観点からこの充電器を作っているメーカーというのも注目なのですが、それはまた後日のものといたします。
今回は自動車メーカーというところに焦点を当てていきたいのですが、このステーションの整備の他に環境車を導入しようと思ったら補助金を創設したり、あるいは規制を強化するというこの2つのアメとムチの側面があります。
ヨーロッパでは燃費規制が年々厳しくなっています。
そんな中でなんとか対応しようという事で各社やっています。
このような動きの中で特に電気自動車に舵を切っているのが日本でいうと日産が挙げられます。
日産と言うと来年2021年にこの新型アリアを、完全電気自動車という形で販売するという事を発表しました。
日産といえばすでにリーフを発売しているので、電気自動車に関しては他のメーカーに先駆ける一日の長があります。
ゴーン氏もいなくなり、その後日産はこのアリアなどの電気自動車に社運をかけていると言っても過言ではありません。
また国別で見ると中国がどんどん電気自動車に舵を切っていまして、世界最大の電気自動車メーカーのテスラに次ぐ、第2位の自動車メーカーがBYDという会社になります。
また中小様々な自動車メーカーが中国で電気自動車を作るという事に躍起になっています。
動かぬトヨタ。次の時代は電気自動車じゃない!?
一方でその他の既存の自動車メーカーというのはあまり動きがありません。
欧州のメーカーでもどんどん電気自動車化しようとしているというところはありますが、販売全体に占める割合というのはまだわずかなものですし、特に動きが鈍いのがトヨタです。
トヨタはハイブリッド車では先駆けていますけれども、未だに電気自動車を発売していません。
2021年の前半に発売すると言われているんですけれども、足元では水素で動く燃料電池車なんかも発売していますが、電気自動車というところに関してはあまり動きが見られません。
この動きから見るともしかしたらトヨタは電気自動車を、この次世代の環境車の本命として見てないのではないかという事が考えられます。
それが2017年に2月に示したロードマップからも読み取れます。
マイルストーンによりますと、今ガソリン車からどんどん環境車には切り替わっていくという事ですけれども、2030年の時点で およそ半分で、2030年の時点で一番環境車の中で高い割合を占めるのがハイブリッド車なのです。
プリウスに代表されるハイブリッド車、そして続くのがプラグインハイブリッド車になります。
そこにわずかに燃料電池車、それから電気自動車FCVという形が入っているに過ぎません。
すなわちトヨタは実はハイブリッドを次世代車の本命として見ている訳です。
何故そのような戦略を取っているのでしょうか。
ここで考えなければいけないのが電気自動車のデメリットという事です。
電気自動車といえば航続距離が短いとか、電池が劣化してしまうという事などがあげられます。
この電池の劣化とか航続距離に関しては技術革新によって、かなり良いところまできたという風に言われています。
一方で何より最大のデメリットと言われるのがとにかく値段が高いというところになります。
何故高いか、それは電池の値段が高いからに他なりません。
電気自動車になるとガソリン車に比べて部品定数自体はおよそ3分の1になると言われていますが、一方ではほとんど電池の塊みたいなものになる訳です。
この電池というのが希少金属なども使っているので、価格自体は需要が増えれば増えるほどむしろ上がってしまう可能性すらあります。
ですから逆に言えば、一般の消費者は環境というところは抜きにして、この電気自動車を導入するメリットって何なのかというところを考えると、一つには自宅で充電出来てガソリンスタンドに行く必要がないというところが挙げられると思います。
ただし自宅で充電する為には自宅の電源設備をコストをかけて、多少改修をしなければならないというところもあるので、買ってすぐに電気自動車に乗れるお家というのは、まだ多くないのではないかという事が考えられます。
となると一番電気自動車を売っているテスラは何故売れているのかというところを考えると、これは何よりカッコイイからというところが一番大きいです。
とにかくエコでしかも自動運転なんかもあるので、先進的でスタイルもカッコイイという事になるとちょっとお金を持っている人だったら、買ってみようかなというところをテスラは上手くくすぐっているというところがあります。
逆に言えば現時点でそれ以上のメリットというのがなかなか見えません。
そこで政府が何とか環境の為に電気自動車を普及させようと思ったら、とにかく環境車に対する補助金や減税措置なんかを行って、価格を下げるというところが必要になってきます。
単純に同じ土俵で勝負したらガソリン車、あるいはハイブリッド車になかなか勝つ事は出来ないので、そこで自動車メーカーとしてはアリアなどもそうだと思いますがテスラのようにカッコイイけど高い車を売るか、あるいはひたすらコストを下げる方向に行くわけなんですが、これは電池というところに限界があるという事になります。
しかも例えばアメリカからするとこの電気自動車に積極化しすぎるというのは、国際関係の中で裏腹に出る可能性があります。
というのも中国では先ほど申し上げたような BYDやCATLといった、電気自動車に使われるリチウムイオン電池を量産する企業というのは非常に力をつけています。
ここで電気自動車ばかりに舵を切るとBYDやCATLが、ますます力をつけてしまうという事になります。
そうなるとこの経済の覇権というのがどんどん中国に取られてしまいかねないので、そう一筋縄にはいかないと思います。
そんな中で例えば環境車に対する減税とか補助金を出すという事を考えると、このハイブリッドというのも現実的な選択肢として残る事になります。
実際に中国が電気自動車を中心に進めていましたが、最近ではトヨタに代表されるハイブリッド車というのも環境対応車という事で、その補助金の枠内に入るという形になりました。
これでは環境車の枠内に入ってそして補助金を受けられるという事であれば、当然販売価格は電気自動車よりも安く抑えられます。
消費者として安いほうが良い訳ですからますますこのハイブリッド車の普及というのが、進んでこのトヨタの思惑に沿った形になるのではないかという事が想定されます。
トヨタは今デファクトスタンダードが何になるのかというところを、様子見している段階なのではないかと思います。
実はこの電気自動車というのは決して新しい物ではなくて、ガソリン車が作られたのと同じような時期から物自体はありました。
それが最近のリチウムイオン電池のイノべーションなどによって、何とか使える代物になってきたというところなんですけれども、技術的には決して難しくありません。
もちろんそれをトヨタが作るのは決して難しい事ではないでしょう、ただ一方では先ほど申し上げたデメリットも考えている訳です。
そんな中で水素自動車やFCV、あるいはの昨年の報道にあったようにリチウムイオン電池よりも使い方に優れ、コスト削減も可能ではないかという風に見られている全固体電池、これらの開発を進めています。
トヨタの技術を考えるとどれがデファクトスタンダードになったとしても、いつでもそこに軸足を移せるような体勢になっているという風に見えます。
トヨタの哲学の一つとしてあるのが、Wait&Seeつまり待って状況を見極めて、そこに確かな動きが見えた時に一気に投資をするというものです。
もしこれがデファクトスタンダードがハイブリッド車という事だったら、これまでのようにプリウスのようなハイブリッド車をどんどん量産し、量産するという事は単位当たりのコストが下がるので競争に勝ちやすくなりますし、これが電気自動車にどうしてもなるのであれば今度はそっちに力を注ぎ、世界最大級という力を失わないように、また量産を行っていくのではないかという事が考えられます。
そういった観点から巷で言われているようなトヨタは電動化で終わってしまうとか、そういった話にはなかなかならないのではないかという風に考えます。
トヨタの株価というとこの5年程度ずっと停滞を続けてきました。
これは自動車の電動化という事で負けてしまうのではないかという懸念があったからこそなんですけれども、一方では今説明したようなトヨタにおける盤石な基盤というのもあります。
それに対して過去5年程度の利益に対するPERというのは、今10倍程度という事が見えます。
盤石の基盤を有していてPER10倍程度という事は、決して割高ではなくてむしろ場合によっては、買いのチャンスも潜んでいるのではないかという風に考えます。
技術という事を考えると日本メーカーもまだまだ捨てたもんじゃないという風に思っています。
これからのトヨタの動き、あるいは自動車業界の動きという事にますます目が離せない状況となっています。
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