【銘柄分析】スーツ事業が壊滅的なAOKIホールディングス。快活クラブで一発逆転なるか?

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以下、文章化したものです。


今回はアオキホールディングスについてです。

アオキというとあのスーツのアオキですが、この新型コロナ禍でかなり厳しい状況に置かれている事は間違いありません。

一方でこのアオキが以前から進めてきた多角化事業の方が、この衰退を上手くヘッジ出来ているのではないかという風に見えます。

その中身ついて、これからアオキの事業あるいは株価はどうなってしまうのかという事についてお話ししたいと思います。

着なくなるスーツ。頼みの綱は「快活クラブ」

アオキホールディングスというと、スーツを販売していて、価格が抑え目なので若年層の最初の就活、あるいは新入社員の時に利用した方、そうではなくてもサラリーマンだったら今でも利用されている方多いのではないかと思います。

ところがこの新型コロナショックで大きく情勢が変わってしまいました。

在宅勤務が多くなってしまってスーツを着る機会が極端に減ってしまいました

緊急事態宣言下では店自体も開けられないという状況が続きましたし、今後も在宅勤務が続いていくと、スーツはますます売れなくなる事が考えられます。

そうでなくてもスーツと言うとクールビズによってネクタイがいらなくなるとか、ファッションがどんどんカジュアル化していく中で、市場自体もどんどん衰退してきていました。

その中でアオキは業界2位の規模を持っていて、残存者利得というべきかもしれませんが、スーツは必要ではあるので、その中で上手く生き残ってきて、それなりの利益、業績を残し続けてきました。

ただ上手くやっていたとしてもこのコロナショックと、それによる社会の激変という荒波はなかなかかいくぐるのは難しいのではないかと思います。

アオキと同じように業界首位の青山商事も業績、株価を大きく落としています。

しかしこのアオキに関してはその救世主となり得る存在があります。

それが快活クラブです。

この快活クラブはネットカフェなのですけれども、皆さん一度は目にした事があるのではないかと思います。

実は私もよく利用しているのですが、アオキホールディングスは紳士服のほかに快活クラブの拡大というのも力を入れてきました。

それがわかるのが次のグラフです。

アオキが550店舗前後をうろうろしていたところ、快活クラブはどんどん店舗を増やし、2020年3月期はアオキが519店舗などに対し、快活クラブは449店舗という事でもはや祖業である紳士服と並ぶぐらいの店舗数にまで増えてきているという事になります。

業績で見ましてもこの赤の部分が快活クラブを始めとするエンタメ事業、青の部分が紳士服のファッション事業という事になります。

売上に関しては半分とはまで行かないのですけれども30%ぐらいを占めています。

利益に関しても直近ではのスーツの利益が減ってしまったという事もあって、ほぼ半分の利益をこのエンタメ事業を快活クラブから上げています。

さあこの快活クラブは特にロードサイドに多くありまして、私の家の近くにもあります。

私自身をよく利用していまして何故ここを利用するのかというと、非常に快適な環境が揃っています。

リクライニングシートフラットシート、個室の漫画喫茶というのは普通かもしれませんが、女性専用エリアを設けていたり、一方でオープンシートもありますし、それだけではなくてカラオケやダーツ、ビリヤードといったものがあります。

それに加えて最近はこの鍵付き個室というのもありまして、一人から多人数まで楽しめるエンターテインメントがこの1施設に詰め込まれているものとなっています。

ここではで食べ物にも力を入れていまして、ここのポテトに関しては、TBSでやっているマツコの知らない世界で一番美味しいポテトというような形で取り上げられたという事もあります。

実際快活クラブのファンも多くて私もその一人です。

1回利用すると、ここに住みたいなという思えるほど素晴らしい施設です。

そんな中で店舗数を大きく伸ばしてきまして、今やこの漫画喫茶、ネットカフェと言われるところのチェーン店に関して、快活クラブ448店舗と、2位の自遊空館160店舗を大きく引き離して、ダントツの1位という事になっています。

見て頂ければ分かります通り、アオキホールディングスはもはやスーツが主業とよりも、快活クラブが主な業態とも言えるほど業態転換を図ってきています。

実際にこの出店の見通しというのもありまして、ファッションのアオキとか、あるいはオリカワと言ったところが退店の方が多くなっているのに対して、この快活クラブに関しては昨年度85店舗、今年度50店舗と積極出店を進めています。

目下コロナでこのファッションの紳士服の需要がないという事もありまして、設備投資に関してはもっと堅調な形になっています。

ブライダル事業のアニヴェルセルへの投資はそこそことなっていますが、このエンターテイメント快活クラブへの投資というのが大きくなっています。

この事から、方針としてもますます快活クラブの店舗数を増やし続けるのではないかと思います。

もっとも直近の業績というとこれは苦しくて、緊急事態宣言やコロナ禍がありまして業績は赤字に転換しています。

業績予想で20億円の営業赤字、53億円の最終赤字という形になっています。

影響を受けたのはこのスーツだけではなくて快活クラブ自体も、営業停止自体は行わなかったのですが、やはり店舗を訪れる人が減ってしまったという事がマイナスになってしまっています。

更にブライダル事業は結婚式を開けませんでしたから、そこが大きく足を引っ張っているという状況です。

一方でプラスの兆しも見えています。

テレワークが進むと皆さん自宅でやられるわけですが、自宅だとは集中出来なかったり、十分に場所がなかったという事もあります。

一方でこの快活クラブに行けばオープンスペースから、先ほどあったような鍵付き完全個室というようなところで、仕事に集中できる環境というのも整っています。

その事から快活クラブはテレワークの場として、マーケティングを推し進めています。

テレワークだけではなくて、当然もともとのコンセプトのリラックスするというところがありますから、ドリンク飲み放題、更に食べ物が美味しい、そして個室もあって仕事も出来るというような事になると、今後も景気どうこうに関わらずここのファンというのは、ますます増えていくのではないかと思います。

実際に私が行く近くの店舗も常に駐車場が満杯になるほどを賑わっています。

これが進めばアオキの業績もスーツは厳しいながらも、なんとか拡大していく可能性があるという風に見ています。

快活クラブをどう増やしていくか

もちろんそれだけではなくて懸念点もあります。

このスーツ市場は急速な縮小を遂げています。

先ほど言いました通り、クールビズや在宅勤務によってスーツがほとんどいらないという事になりますから、店舗は縮小させていかなければならないと思います。

スーツの在庫というのもやがては不要になってしまうのではないかと考えられるので、どこかのタイミングで大きな損失を出すのではないかと考えられます。

したがっていつ損失を出すかというところを関しては今後注意が必要なのですけれども、一方でアオキの店舗を閉鎖して、そこに快活クラブの店舗を入れるといった事も進めています。

そうなるとまだ店舗の場所が確保出来ていないライバルに比べると、ある意味優位性があるという事が出来ます。

アオキというとビジネスマンが通うようなど真ん中にあったりしますから、そこが快活クラブになる事によって、需要もある程度見込めているのではないかという事が考えられます。

またコロナ禍での財務力というのもあります。

当面コロナが続く限りスーツは持たないでしょうから、日々の赤字が垂れ流されていく状況ではないかと思います。

一方でこれまで健全経営を進めていって現金はそこそこあり、財務自体はそんなに不安のない状況であると私は考えています。

問題はどこまで続くかという事ですけれども、少なくとも現時点今後1年くらいを見た時には、さほど大きな不安はないという風に私は見ています。

またこの快活クラブは実はそれほど利益率は高くありません

営業利益率で見た時に5%程度です。

一方でこのファッション事業が結構利益率が高くて、良い時には10%ぐらいありました。

すなわちアオキが全て快活クラブになったとしても、利益率は単純に半分になってしまうので、利益も半分になります。

したがって会社全体として大きくなろうと思ったら、たくさん出店していく必要があります。

快活クラブは見たところまだ直営でしかやっていないようです。

これをフランチャイズにもする事があれば、利益率の向上や店舗の急拡大というのもを見込めるのではないかと思いますが、今現時点でそれをやっていないように見えます。

今後どのような方針で店舗を増やしていくのかに関して、よく見ていく必要があるのではないかと思います。

伸びるまで待ち続けられるかがカギ

最後に株価について見てみましょう。

このコロナ禍で株価はおよそ半分以下に下がってしまいました。

今底値の400円くらいからちょっと反発して500円という所にあります。

PERで見た時に過去5年の平均利益に対するPERは7.5倍ですから、かなりの割安感があると言えるのではないかと思います。

ここからこの快活クラブが上手くいって業績を伸ばしてくるようであれば、十分にその業績の伸びに従って株価が大きく伸びる可能性があります。

あるいは大成功するようだったらそれこそ何倍にもなるような力を秘めている状況なのではないかと思います。

もちろん先ほど言いましたように今反発したからといって、すぐ上昇トレンドに乗るかというと決してそんな事はなくて、今後も紆余曲折が想定されて、かなりの苦難を伴うと思います。

しかしそこから先にちゃんと成長する意欲を失わずに続けていく事が出来れば、きっと株価が上昇している状況が見えてくるのではないかと思います。

そこまで見守っていられるかどうかということが、最終的に長期投資では鍵を握ります。

このアオキホールディングスからますます目が離せません。

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