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誰もが二番底を警戒する中で、株価はまさかのバブル後高値更新
今週が2020年最後のレポートです。今年は特に色々なことがありました。
新型コロナウイルスの蔓延により、2~3月にかけて大きく株価が下落しました。しかし、大多数の人が「二番底」を警戒する中で、株価は一転上昇を続け、日経平均株価はまさかのバブル後最高値を記録しました。これを見るにつけて、つくづく相場の予想は難しいと感じます。
このような相場で、自分自身が適切な行動を取れたかどうか、改めて振り返ってみる必要があります。私もまだまだ未熟ですから、失敗だらけです。ここでの振り返りが今後の自分、そして皆様の投資のお役に立てればと思います。
良かった点は、コロナ・ショックで買い向かえたこと
良かったことを挙げるならば、2~3月に株価が大きく下げた局面で狼狽することなく買い向かえたことです。バリュー株投資では「1円でも安く買うこと」が最も重要ですから、暴落時は絶好の買い時となります。したがって、かねてからこのような状況を想定し、どう動くかをイメージしていたことが行動に結びつきました。
会員の皆様へも、以下のような発信を行いました。
私としては市場がこのような状態になるのを待ち望んでいて、ついにその時がやってきたのです。今週もたくさん買いました。ここから下がるようなら、どんどん買い進めることになるでしょう。
3月21日会員レポートより
これができたのは、株価の動きではなく企業の価値に重きを置いていたからです。まさにバリュー株投資の本質と言えます。
その後運よく株価は上昇に転じ、このときの買いが報われる結果となりました。会員の皆様の投資にも少しでもお役に立てたかと思い、ほっと胸をなでおろしています。
マイクロソフトはわずか30株。なぜもっとたくさん買わなかったのか…
しかしながら、圧倒的に反省点の方が多いことは間違いありません。
最大の失敗は、上記のようなまさに絶好の場面で、必ずしも大きく買えなかったことです。例えば、このとき初めてマイクロソフトを買ったのですが、米国株は1株から買えることもあり少額ずつの発注になってしまいました。その結果、わずか30株(購入価格32万円)にとどまってしまったのです。
その後株価は購入価格から50%の上昇となりました。コロナ禍の状況と銘柄の素晴らしさから自信があっただけに、もっとたくさん買えなかったことが今でも悔やまれます。
マイクロソフトのみならず、既存のポートフォリオでも底値から2倍になったものもありました。投資予算も300万円から500万円に増額したにもかかわらず、結局増額分はほぼ使い切らないまま今年が終わってしまいそうです。
なぜ大きく買えなかったのかと言えば、多くの投資家と同じように「二番底」を警戒しすぎたためです。「買い」とはいいながら、やはりどこかで相場を読もうとしていました。しかし、それは全くの逆を行き、株価はあっという間に上昇してしまったのです。
相場の予想は、長期投資にとっては意味がないばかりでなくときに邪魔にさえなります。ファンダメンタルズがよく、価格が十分に安いと思えるなら、相場の見通しに振り回されずにそれなりの規模を買うことが利益を増やすためには必要です。
「ロットの管理」は、来年以降の大きな課題となりそうです。
ロイヤル・ダッチ・シェルは80年ぶりの減配。高配当株について思うこと
株価下落時の反省点で言えば、配当銘柄に固執しすぎてしまったことがあります。当時はパイロット運用で「配当枠」を設定していたことから、株価下落で予想利回りが一時20%まで上昇したロイヤル・ダッチ・シェル(RDSB)を主力として買い進めました。
しかし、新型コロナウイルスはやはり私たちが経験したことのないものでした。これまで80年間も減配なしを誇っていたRDSが、なんとここで減配を発表したのです。あまりに想定しない出来事だったため、私は即売却することを決めました。
減配そのものの予測は難しかったと思いますが、一方で「高配当株」への投資には疑問を感じる様になりました。確かに安定しているのですが、配当利回りが高いということはやはりそれだけのリスクを抱えているということです。
例えば、石油やたばこといった代表的な銘柄は、常に衰退のリスクがつきまといます。それでもキャッシュ・フローは手堅いというのが高配当株投資の趣旨なのですが、それにビクビクしながら投資するよりも、前向きに成長を目指す企業へ投資したほうが、精神的にもパフォーマンス的にも良いと考えるようになったのです。つばめ投資顧問にとって大きな転換点となりました。
高配当株投資にも合理性があり、決して否定するものではないのですが、私としてはこれから長期的に成長する株に焦点を絞っていきたいと思います。そういった銘柄のほうが、10年後の配当も大きくなるでしょう。
1つでも多くの銘柄を知り、良い企業にあたりをつけ、安くなった時には自信を持って買う
その他にも、コロナ・ショックで株価が下がる前に成長株へも目を向けるべきだったことなど、反省点を挙げればきりがありません。ただし、これらの大半は知識と経験の不足からくるものだと考えます。
銘柄に関してもっと深く知っていれば、下落局面では自信を持ってたくさん買うことができたでしょう。また、もっと多くの銘柄を知っていれば、買うべき銘柄を広い視点で探すことができたかもしれません。
どれだけの量を買うべきかという点に関しては、一概にたくさん買えばよかったとも言えません。今年はたまたま大きく上昇しましたが、これがさらに下落を続けたら目も当てられない状況になっていたでしょう。ここはバランス感覚が求められるところであり、経験を積みながら身につけていくしかありません。
この1年は貴重な経験をさせてもらったと思います。来年がどのような相場になるかわかりませんが、間違いなく言えることは、今年の経験が生きるということです。1つでも多くの銘柄を知り、良い企業にあたりをつけ、それが安くなった時には自信を持って買うこと。これがどんな相場においても確かな真理です。これをモットーに、引き続き研鑽を続けて参りたいと思います。
今年1年、大変お世話になりました。また来年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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