日経平均3万円はバブルか?10万円を超えたファーストリテイリング(ユニクロ)から見える割高感

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YouTubeに動画をアップロードしました!

以下、文章化したものです。


日経平均株価が3万円を超えて、30年ぶりの高値となっています。

その日経平均株価の上昇に大きな影響を与えている銘柄が一つあります。

それがユニクロを運営するファーストリテイリングです。

今回の動画では日経平均株価の株価の歪みを説明するとともに、このゆがみを是正した時に日経平均株価がどのぐらいの数字になるのか、また今後どのような動きになるかという事について解説したいと思います。

”歪んだ”指数「日経平均株価」

日経平均株価の過去1年の推移です。

新型コロナショックで昨年の2月、3月は大きく下がったのですが、そこから逆に今度は大きく上昇して今や3万円を超えるという状況になっています。

30年ぶりの高値という事になっていまして、長年バブルの崩壊から上昇が起きなかった日経平均株価がついに本格的な上昇に入ったと見られています。

ところが株式投資をされている方の実感として思うかもしれないのですが、日経平均株価はこれだけ上がっているのに自分の持ち株は上がっていないと感じている人も少なくないのではないかと思います。

というのも東証全体を表す指数でもう一個TOPIXというものがあるのですが、TOPIXに対して日経平均株価は更に大きく上昇しているというところがあります。

例えばこのチャートで示す通り、過去1年の推移を見ると、赤で示したTOPIXは十数パーセントしか上がっていないのに対して、日経平均株価は30%ぐらい上昇して上昇率にして2倍近い差が出ています。

何故このようなことになってしまうのかというと、日経平均株価というのが歪んだ指数であるという事が挙げられます。

TOPIXというと「時価総額加重平均」と言って、時価総額が大きい企業ほどTOPIXの数字に影響してきます。

したがって相場は全体を表す指標としては非常に妥当なものと言えます。

一方で日経平均株価は単純計算で成り立っています。

株価というと100円の物から1万円の物など様々あります。

色々と複雑な計算はあるのですが、ざっくり言えばこの株価を単純に足して割ったものが平均株価という事になります。

したがって株価が高い採用銘柄ほど指数の変動に大きな影響を及ぼしてしまうという事になります。

この株価が高い銘柄の事を証券用語で「値がさ株」と言うのですが、その筆頭となっているのがユニクロを運営するファーストリテイリングなのです。

こちらは日経平均ヒートマップをストックブレインというところからお借りしているのですが、この四角の枠の一つが日経平均に与える影響の大きさです。

これを見ますとソフトバンクグループとか東京エレクトロンなどが大きいのですが、その中で異彩を放っているのがこのファーストリテイリングです。

これだけ大きな四角を描いていましてこれがなんと日経平均に占める割合中12.79%と、一社で日経平均の12%を占めているという事なります。

ファーストリテイリングの株価というとここにきてなんと10万円を超えてきていますから、それが日経平均を大きく動かしているという事になります。

それが見事に表れているのがこのファーストリテイリングの株価で、コロナの時は一時期4万円ぐらいまで下がったのですが、それがぐいぐい上昇して、ついに10万円になりました。

ちなみに株式の取引というのは一般的に100株単位という事になるので、10万円という事は一旦買うのになんと1000万円もの資金が必要になってきます。

この上昇で業績に対する株価、すなわちPERがどれくらいになったのかというと、なんと直近の予想に対して66倍というかなり高い数字になっています。

これがコロナで一時的に業績が悪い所に対して株価が66倍という事ならば、一時的な現象という事も出来るのですが、このベースとなっている利益は今年度8月期の過去最高益に対する利益なのです。

過去最高に対するPER66倍ですからこれは一時的にPERが上がっているという事ではなくて、それだけファーストリテイリングに対して投資家の高い評価がかかっているという事になります。

ではファーストリテイリングの業績どうなのかというと、このように確かに右肩上がりに成長しています。

青で示した売上高はコロナで一時期落ち込んだとはいえ、右肩上がりが続いていますし、赤で示した営業利益もどんどん上がっていて、2021年8月期過去最高水準の予想となっています。

これだけ成長しているならPER60倍は高いけれども、許容出来る範囲なのではないかと思う人もいるかもしれません。

ところが詳細に噛み砕いてみると必ずしもそうとは言い切れない数字が出てきます。

過去5年間ユニクロがどうやって成長してきたかというところを見ると、売上高は5年で1.23倍になりました。

これは年率換算にすると4.2%の成長という事です。

売上高以上に変動幅の多い営業利益は5年前と比較すると1.92倍になっています。

これは年率にすると13.9%という事になります。

但し5年前というと極端に落ち込んだ時に対する成長率という事にもなります。

これだと少し歪みが出てくると見られますので、一つ戻して落ち込んでいない時の利益とも比較してみますと、6年で1.49倍という事になります。

これは年率換算すると6.9%という事です。

何が言いたいのかというと、ユニクロもすでにかなり大きな規模になっているので、1年で2倍とか3倍とかになる企業ではありませんし、ビジネスモデルとしてもどんどん店舗を構えて服を作り続けないといけないので、倍々ゲームで増えるような会社じゃなくて年率10パーセントぐらいの成長率というのが妥当なのではないかというところになります。

この年率10%の成長は「72の法則」というのを知っている人はわかるかと思うのですが、72をこの年率成長率で割ると複利で計算した時に何年でその数字が2倍になるのかという事がわかります。

72を10で割るのでおよそ7年でユニクロの業績は2倍になるという事が出来ます。

仮にユニクロが成長してこれから利益が2倍になった時のPERは、利益が2倍ですから今66倍のPERに対してこれが半分になって33倍という数字が出てくるのですが、この33倍というのが過去のユニクロのPERにおける平均的な水準とほぼ一致します。

どういう事かと言うと、ユニクロの株価の成長というのは、業績が2倍になるという事を既に織り込んでいて、これにかかる時間が7年なので、逆に言えば今後7年間成長せず株価が上がらなくてもおかしくない業績が今の株価に織り込まれていると言えます。

この7年間株価が横ばいでもおかしくない、逆に言えば今株価が半分であってもおかしくないというそういう数字になっています。

これを割高と言わずして何と言うかというところです。

なので想定されるシナリオとしては今後7年間ファーストリテイリングの株価全く上がらないという事も想定されます。

それはすなわち日経平均も横ばいをたどる可能性が高いというのもシナリオとしてあります。

また何らかのショックなどによってファーストリテイリングの株価も適正水準にまで戻って、株価が半分になってもそれもまたおかしくないという事になります。

では今この瞬間に仮にユニクロのファーストリテイリングの株価が半分になったらどうなってしまうのかという事を計算すると、単純計算ですが今構成率12.79%ありました。

これが半分になるという事ですから日経平均が半分の6.4%無くなってしまうという事です。

すなわち日経平均が6.4%下落とするという事ですから、今の数字から計算すると28300円になるという事になります。

この28300円という数字を見ると現状の相場全体の感覚と非常に近いのではないかと思います。

つまり今、日経が3万と騒がれていますけれども、実態としてはこの28,000円ぐらいの数字というのが皆さんの実感としてあるところではないかと思います。

どうしてここまで上がったか

では何故こんなに日経平均を大きく動かす、ファーストリテイリングの株価だけがこんなに上がってしまったのかという事を解説したいと思います。

結論から言うと一番大きいのはやはり新型コロナに端を発する金融緩和です。

世の中にお金がジャブジャブに出回って、投資家の手元にも沢山お金が残るという事になりました。

コロナの初期はこれらをDX、デジタルトランスフォーメーション銘柄に投資していれば、間違いなく伸びるという事が考えられましたから、これらの株がどんどん上がりました。

相場というのはこうやってアップルとかエムスリーなどがガンガン上がりましたが、相場というのはこれらのテーマがどんどん循環していきます。

DXやスーパーなどもコロナ禍では良いみたいな話があったのですけれども、いつまでも伸びが続く訳ではなくて、色々入れ替わります。

そうこうしているうちにどこのテーマが結局盛り上がるか分からないけれども、これだけお金が溢れているのだったら、いよいよ指数全体、インデックスを買っていればいいのではないかという風に思う訳です。

そして日本のインデックスは何かというと、やはり歪んだ指数ではありながら一番有力なのは日経平均株価なのです。

すなわち、投資家はこうやって指数を買おうという風に考えるようになります。

そして日経平均を買うからには自動的にファーストリテイリングを沢山買うという事になりますし、また逆を見越してみんなが日経平均を買うなら、そもそもその日経平均の一番占めているファーストリテイリング買っておけば、他の人も買ってくれるよねというような考えが働いた結果、日経平均ないしファーストリテイリングの株価が大きく上昇したという結果になりました。

すなわちファーストリテイリングや日経平均は、こういう金融緩和に大きく動かされたある種、プチバブル的な様相を呈しているのではないかというのが私の考え方です。

バブルは金融緩和と共に終了か。長期投資家はいつ動く?

ではこれがいつ終わるのかというところまで考えたいですが、この日経バブルで間違いなく言える事は、今の金融緩和の終了があれば終わる可能性が高いという事です。

お金がジャブジャブでしたけれどもその条件が無くなってしまうという事は、徐々にこういったリスク資産から資金が引き揚げていくという事になるので、この金融緩和の終了=テーパリングと言うのですが、この議論が始まった時点でそれを織り込んで株価は下がり始める可能性が非常に高いと考えています。

また先程テーマが循環すると言いましたけれども、DXなどがもう一回盛り上がるという事もあって、その場合はユニクロはDX銘柄ではないのでそっちに資金が動くという事もあるでしょうし、そもそも今はコロナが中心ですけれども、世の中の状況が変わってコロナ以外のテーマが盛り上がるかもしれません。

そういった事があればファーストリテイリングからまたお金が出ていく事も考えられます。

またファーストリテイリング自体も悪材料が出る可能性も十分にあります。

例えば創業した柳井さんに何かあったら、柳井さんなくしては今のユニクロ成長というのはありえないので、ここが悪材料になるような可能性というのももちろんあるでしようし、今ESG投資なんかも言われていますが、かつてユニクロはバングラデシュの工場で劣悪な条件で労働者を働かせているというような問題になった事があります。

そういった問題が仮に出てきたとしたら悪材料とみなされて、ファーストリテイリングの株価も下がるという事もあり得ると思います。

いずれにしても言える事は今ファーストリテイリングとか日経とかの株価は上がりすぎていて、もちろんその中にはまだ成長性に対して割安な銘柄も含まれてはいるのですが、全体観として見れば今無理に投資する局面ではないのではないかと考えます。

私を含め、長期投資家が一番買いやすい、利益を出しやすい局面というのは多くの人が不安に思っていて絶望に苛まれている時にこそ買いのチャンスがやってくるという事なのです。

そのタイミングをこの上昇で焦る中でじっと堪えて、下落のタイミングを待てる投資家というのが、長期投資では生き残っていける可能性が非常に高いと考えています。


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