日銀の「ステルス・テーパリング」がはじまった。「下がったら買い」はもう通用しない?突然の急落に気をつけろ

金利上昇で株価下落!バイデン政権のトランプ政権との違い

今週の株価は一進一退となりました。米国長期金利の上昇によって高PER株が売られ、ハイテク株で構成されるナスダック指数は年初からの上昇が取り消しになりました。

同様に、ファーストリテイリング(ユニクロ)など、高PER銘柄が牽引してきた日経平均株価も3万円台からあっという間に28,000円台にまで戻りました。

ここまでは金利上昇により想定された事態ですが、問題はここから先どうなるかです。

米国の雇用統計は改善し、景気回復期待がさらに高まっています。それに伴い、今度は金融緩和の終了(テーパリング)がはじまることが懸念されている状況です。FRBのパウエル議長も、金利上昇を牽制する強いメッセージを発することはありませんでした。

【参考】パウエルFRB議長、ハト派メッセージ発するも市場は失望感(Bloomberg)

これがトランプ政権時代なら、金利上昇に端を発する株価下落に対して「今すぐ金利を上げないことを約束しろ!」とばかりにTwitterで脅していたかもしれません。しかし、バイデン政権はトランプ政権ほど株価に対して敏感ではなく、むしろコロナ禍の株価上昇で資産を増やす富裕層に敵対心を抱く層の支持を得ようとします。

したがって、これまでのように減税や利下げによって株価が持ち直し、上がり続けるということはないかもしれません。そうなると、とにかく「下がったら買い」というここ数年の常識が崩れ去る可能性があります。

日銀の「ステルス・テーパリング」がはじまった!

これは日本についても同じことが言えます。

アベノミクス以降、日銀は株価が下がったらETFの購入を通じて株価を下支えする「官製相場」を主導してきました。これは1年前にコロナ・ショックで株価が下げたときも淡々と行われたのですが、ここにきて変化が見えつつあります。

これまで、TOPIXが前場で0.5%下げた後場にETF購入するという「0.5%ルール」と見られる動きがあったのですが、最近は0.5%下げても出動しないケースが目立って来ました。直近では2月26日に1.9%下げた際にようやく出動したところです。

【参考】日銀のETF購入「1%ルール」復活か 株急落時に重点(日本経済新聞)

そもそも、日銀はどれだけ下がったらETFを購入するという明確な基準を示していません。したがって、この購入額減少は、明言を避けた「ステルス・テーパリング」ではないかと言われています。

日銀が購入額を減らす理由にも妥当性があります。アベノミクス初期はリーマン・ショックと東日本大震災で日本株だけが世界に取り残されて低迷を続けていました。そこで積極的なETFの買い入れによって株価を押し上げ、経済の活性化と政権維持率の向上に一役買ったのです。

ところが、現在の状況は当時とは異なります。経済はコロナの影響で厳しいのに、株価だけが上昇しているのです。多くの人がこの状況に違和感を覚えていますから、ここから更に株価が上がったところで政権の支持率に影響はなさそうですし、むしろバブルを懸念する声が大きくなってくるように思います。

日銀としても、これまでかなりの量のETFを購入し、その保有額は東証一部時価総額の7%(約50兆円)にも達しています。安いところで買っているのでかなりの含み益が出ている状況ですが、現在のような株高の局面で買いすぎると「高値づかみ」によって損失を出す可能性が高まります。

保有量の多さと含み損益は、明確に「出口戦略」に影響します。日銀は株を持てば持つほどリスクを負うことになりますから、どこかで保有量を減らしていかなければならないのです。出口戦略を容易にするため、今は買いを控えることは至って合理的です。

すなわち、これから起こりうることは、株価が多少下がったところで日銀が出動せず、底が抜けたように急落する可能性があるということです。これは日銀の買いそのものではなく、市場関係者全体の行動に影響します。これまでは「日銀がいるから買え」となっていたのが、「日銀は来ないから逃げろ」となるのです。

私たちは、これまで以上に突然来る急落に気をつけた方が良いかもしれません。

ギャンブルの必勝法「マーチンゲール法」を応用した投資

もっとも、私としてはそれを望んでいるところでもあります。

現在の株式市場はバブルとは言いませんが、明らかな優良企業ほど割高な傾向があり、買いが難しい状況です。少しでも下がってくれないと、長期投資家にとってはなかなかチャンスを見つけられません。

一方で、下がり始めたらどこまで下がるかわからないという恐怖感もあります。そこでおすすめしたいのが「投資金額を増やしながら買い下がる方法」です。

今から少し下がった時点で、優良銘柄をまず買います。しかし、その金額は最小限に抑えます。すぐに上がったらハッピーですが、そこから更に下がる可能性があります。そこで、更に下がった際には最初より金額を増やして購入するのです。こうすれば、購入単価を大きく下げることができ、なおかつ安い=有利な価格でたくさん買えることになります。すると、少しでも上がった時点で利益が出やすくなるのです。

実はこれ、ギャンブルの考え方に基づいています。

ギャンブルには「マーチンゲール法」という必勝法があります。コインの裏表で負ければ没収、勝てば2倍。これに勝つまで掛け金を2倍にし続ければ、勝った時点で必ずプラスになるというものです。

【参考】マーチンゲール法(オンラインカジノ初心者ナビ)

マーチンゲール法ってどんな攻略法?

バリュー投資もこれに似ていて、下がるごとに賭金を増やせば、反発した時点での勝率は極めて高いというわけです。私はこれからの相場にこの方法で挑みたいと思います。

ここにたどり着いた理由は、コロナ・ショックの反省があります。当時も株価の下落に備え、下がったら買うということを繰り返していたのですが、買う金額を引き上げることはありませんでした。ある程度は買えたのですが、反発し始めてからも下落を警戒していたので、十分に買えなかったという反省があります。

結局、投資予算を増額したにもかかわらず、それを消化しきることはできませんでした。

では株価が反発する中で買えたかというと、これも心理的になかなか難しいと感じました。どうしても前回の安値まで待ってしまいがちで、慎重な投資としてはそれで仕方がない面もあります。

そこで、買い下がりながら投資額を増額する方法なら、予算が続く限り「安く、たくさん」買うことになるので「十分に買えなかった」という失敗を防ぐことができると考えたのです。

とはいえ、この方法にも弱点があります。それは、予算が尽きたらもう何もできないということです。すなわち、最初から買いすぎると、あっという間に買いが終了します。そうなると、更に株価が下がったとしてただ指を咥えて待っていなければならないのです。

だからこそ、自分の予算をしっかりと管理し、計画的に資金を投じていく「資金管理」が重要になるのです。

ぜひこの考え方も参考に、これからの相場に挑んでみてください。もちろん、会員の方には具体的な銘柄・株数をお伝えし、実践しながら学んでいただきます。

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