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以下、文章化したものです。
※2021年3月18日撮影
足元で銀行株が大きく上昇していて、多くの投資家の注目が集まっています。
この銀行株は果たしてこれからも買えるのか、あるいは持っている人はどうしたらいいのかという事についてお話ししたいと思います。
銀行株の株価が上がってきたワケ
このグラフは半年のチャートで、青が三菱UFJフィナンシャルグループ、赤が三井住友フィナンシャルグループ、緑がみずほフィナンシャルグループです。
特に2月に入ってから大きく上昇し、足元でもぐんと上がっているという状態です。
半年の上昇率は三菱UFJ関しては30%を超えるという状況になっています。
これはもちろんコロナからの回復という事もありまして、例えば2年のチャートで見ますとようやくコロナ前を回復したという段階なので特に驚くような状況でもありませんが、少なくともコロナ後のような異常な状態を脱したという事が出来ると思います。
上昇の要因の一つとなっているのが長期金利の上昇です。
銀行のビジネスモデルというとお金を貸し出す事ですが、金利が低いと当然その貸出金利というのも下がってしまいます。
特に今みたいな限りなくゼロ金利に近いという事になると、通常預金金利と貸出金利の差額、これを利ざやと言うのですが、この差額で銀行は儲けるビジネスモデルを行っているのですが、金利がゼロに近いという事になると、当然預金金利というのはゼロ以下には下げられませんから、利ざや自体が削られてしまうという事になります。
日本では長い間ゼロ金利政策が続いているので、金利が低い中で銀行の収益もなかなか伸びないという状況がこれまで続いてきました。
まして世界中で金融緩和が行われて金利が引き下げられる中で、銀行のビジネスモデルはかなり厳しい状況にありました。
ところが足元でこの金利が上昇した事によって、その銀行のビジネスモデルにも少し光が差してきたとも言えます。
この10年金利のチャートを見ますと過去1年分ですが、ずっとゼロ付近できたものが、2月から上昇を始めまして一番高いところが0.15パーセントというところにまで上昇しました。
これが金利の上昇によって逆にマイナスの影響を受けてしまう、ハイテク株なんかとは大きく違うところです。
また、足元で起きているのは今説明したようなハイテクのようなグロース株から、銀行のようなバリュー株への資金の流れの転換です。
これまでハイテク株が調子良く上げてきたのですが、そのラリーというのは落ち着いて、ある程度割高ですし、金利も上がってきたという事もあって投資家の関心が離れつつある中で、これらのバリュー株が出遅れているのではないかという事で資金が流れているといった状況なのです。
更には米国で景気が回復しつつあるという事から、世界全体も景気が回復するのではないか、そして銀行というのはこの景気回復の恩恵を受ける業種ですから、それら3つの要因によって株価が上がってきたという事が挙げられます。
更なる上昇はあるか?
割安さという観点についてはもう少し深掘りしてみたいと思います。
ここにあります通りPBRは三菱UFJが0.48倍、三井住友フィナンシャルグループが0.49倍、みずほフィナンシャルグループは0.47倍と横並びでおよそ0.5倍という数字になっています。
これ自体にはかなり割安感がありましてというのもPBRというのは、1倍を割ったら割安と言われるのですが、銀行というと資産が基本的には貸出金や有価証券になりますから、これはかなり保全価値の高い資産なんです。
したがって会計上の純資産というのもかなり確度の高いものなのです。
例えば100億円の貸出金があって90億円を預金で賄っているとすると、ざっくり言うと純資産が10億円という事になるのですが、その10億円あるはずの銀行が今は5億円で取引されているというそういう状況にあります。
したがって絶対的な割安感という面は強いですし、これまでは株価が上昇する前は更にここが0.3倍ぐらいに下がっていたので、過去の歴史的な水準から見ても総体的には割安感非常に強かったところがあります。
ここで株価がおよそ1年前に戻ったという事で、ここから更に上昇余地があるのかという事について見て行きたいと思います。
先程言いました通りコロナによる過去の歴史的な水準から見た時の割安感に目を付けて買った人にとっては、もうそこまで回復したというところですから、ひとつ売りのタイミングになり得るとは思います。
ただし、PBRを1倍を下回るという観点にしてみればまだまだ割安感があるという風に見えます。
米国株、例えばアメリカのバンクオブアメリカ、シティグループ、あるいはJPモルガンといったところはPBRはおよそ1〜1.5倍という数字で取引されていますから、1倍まで少なくとも戻るという事を考えたら、上昇余地はまだ2倍ぐらいあるのではないかという風に見える訳です。
ただし銀行という事であまり将来性は感じられない銘柄です。
今から業績がぐんぐん伸びて成長し続ける、例えば10バガーになるとかそういった銘柄でない事も確かです。
したがってそういう期待をする銘柄ではないのですが、何かの拍子に金利が上がったりするような事があれば、この低いPBRがもっと評価されるという事は十分に考えられると思います。
また収益が伸びないと言っても今各銀行が行っているのは、リストラです。
ATMをどんどん減らしたりとか、行員をこれ以上増やさないようにしようというような形でコストの削減が続いています。
これによって大きく成長をしないまでも、利益はある程度維持し続けられるのではないかというのが一つの見立てとしてあります。
実際に業績のグラフを見てみますとこのように低金利が続く中でも、この売上高に関しては右肩上がりを続けていましたし、利益に関しても直近が落ち込んでいるのですが、それまではほぼ横ばいというような形でなんとか維持しては収益は上げ続けてきた企業です。
したがって金利そのものがもうこれ以上下がりようがないという状況で、利益を出してきたという事、業績の安定感はかなりあるという事、そして業績が安定しているという事は配当も継続的に出やすいという事が考えられます。
もっとも銀行に投資する上で忘れてはいけないのがテールリスクです。
景気がものすごく悪化して、貸出先が次から次へと倒産するような状況が発生すると、かなり厳しい状況になるのではないかという事が考えられます。
銀行は貸し倒れ引当金というものを積んでいるのですが、引当金が足りなくなると、損失を被って、場合によってはこの財務自体がかなり厳しくなってしまうという状況すら考えられます。
そうなるといよいよ経営が怪しくなってしまいますから、景気がものすごく悪化して大恐慌になってしまうというような時にはやはりあまり持っていていけない銘柄だという事が考えられます。
一方ではこのコロナで貸し出したお金が回収出来ない懸念というのはもちろんあるのですが、その多くは政府保証が付いていたりします。
政府保証が付いているという事は倒産したらその一部は政府が払ってくれるという事になるので、銀行の財布自体はほとんど痛まないという風なある意味モラルハザード的な部分もあります。
もっとも金融というのは非常に難しい世界で、ヤバい時には本当にヤバイのでやはり逃げる準備というのは怠ってはいけないのではないか思います。
目的を持った銘柄選びを
結論として、割安感が強いという事で下落余地は小さいし、これが何らか評価されるような時代があればまだ倍ぐらいは上昇余地があるという風に考えられます。
一方で上昇するかどうかというのは、コントロール出来ない金利が上がるか下がるかという事に依存してきますし、企業自体が成長を続けるわけでは必ずしもありませんから、長期間持ち続けて上昇し続ける事を期待する銘柄ではないという事は確かです。
あまり株価の変動を気にせずに配当利回りという意味では、いずれも4%以上という非常に高い水準となっているので、ここに期待して持ち続けるな有りだという風に思います。
ただし景気が悪化して大恐慌に陥るような事があれば、かなり銀行という業態が厳しくなるので、その時に備えてそうなりそうだったら逃げる準備というのも必要になります。
私自身はこの銀行株は持ってはいないのですが、言われているような悪い銘柄でもないと思います。
あとはどういう目的でこの銘柄を持つかという事で、大きな収益を期待せず、安定的に配当を持って、そして景気の回復や金利の上昇という事を恩恵を受ける銘柄という風に考えれば、持っていても悪くはない銘柄という風に考えます。
このように、持つ目的というのを明確にした上で投資を進める事で、よりシャープなポートフォリオを組む事が出来ます。
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