バイデン政権はいつ増税・テーパリングを行うか?コロナデビュー投資家の予測できない動き。高止まりする相場で私が狙う銘柄

論点は明確だ―バイデン政権はいつ増税・テーパリングを行うか?

今週の株式市場は一時、不穏な空気が流れました。バイデン大統領が富裕層へのキャピタルゲイン課税を強化するかもしれないという報道が流れたのです。これによって、株価は一時下落しました。

【参考】米大統領が富裕層キャピタルゲイン増税提案へ、2倍に-関係者(Bloomberg)

民主党のバイデン政権には、貧富の格差をなくしたいという思惑があります。コロナ禍によって格差は拡大してしまっていますから、ものすごく儲かっている富裕層に対して増税を行うことは、民主主義的には多くの支持を得られることが考えられます。

一方で、資産の大部分を占める富裕層への課税を強化することは、株式市場から資金を撤退させる誘引となり得ます。税金が上がる前に、これまで得た利益を確定してしまおうと、一気に売りが出る可能性があるのです。

もっとも、これはバイデン大統領自身が発表したものではなく、実行するには議会も通さなければならないことですから、簡単ではありません。直近では、税率は現在の2倍の43%と打ち上げられたところから、28%程度で落ち着くのではないかという見方が出ていることから、一旦は株価も回復しています。

しかし、これによって明らかになったことは、バイデン政権の姿勢です。 大統領選のときから言っていたことですが、富裕層や法人への増税は避けられない流れとなるでしょう。現実的に考えても、コロナ禍でばらまいたお金をどこかで回収しなければならないからです。

金融政策的に考えても、難しい判断を迫られます。このまま景気が回復すると想定されるのはインフレです。インフレで打撃を受けるのは貧困層ですから、格差のさらなる拡大を避けるためには、どこかで金融緩和の終了、すなわち「テーパリング」を行わなければならないのです。テーパリングが起これば、これまで金融緩和によってばらまかれたお金が引き揚げますから、多くの投資家はこれによる株式市場の下落を懸念しているのです。

すなわち論点は明確で、これからバイデン政権が、いつ、どのような形で増税やテーパリングを行うのかというのが、投資家の最大の関心時なのです。

「コロナデビュー投資家」「AI」―常識は崩れるか?

これまでの相場の常識で考えるならば、少しでも増税やテーパリングの兆候が見らたら、いよいよ株価は下がりはじめます。しかし、それに対抗するのが、コロナ禍で力をつけてきた新興勢力です。コロナ禍で大きく利益を上げてきた個人投資家は、株はずっと上がるものだと思っていますから、少しでも下げたらすかさず買いを入れてくる傾向があります。

これは個人投資家だけではなく、AIもそのような動きになっている気がしてなりません。これらの動きが続くならば、これまでの常識に反して、テーパリングの兆候が見られたとしても株価は下げることなく、上がり続ける可能性があるのです。

ただし、これらの勢力は、相場のトレンド転換を経験したことがありません。もし、下げが継続するということになれば、今度は逆にパニックを引き起こす可能性もあります。ここの動きがどうなるかは、一歩引いて、興味深く観察してみたいところです。

もっとも、我々バリュー投資家としては、新興勢力の動きに付き合うつもりはありません。

株式市場で最も大切な言葉の一つに、「今回だけは違う」というものがあります。毎回大きな株価の上昇が起きるたびに、今回だけは「ビッグサイクルだ」「もう株価は下がらない」なんて言葉が聞こえてきますが、一度としてそれがその予言が当たったことはありません。これだけ大きく上がった株価は、やがては下落を迎えるというのが、世の常です。

私が狙うのは「シクリカル銘柄」

もっとも、まだバブルのように上がっている状況ではありませんから、下落こそしないものの、ずっと横ばいということは、十分に考えられます。

そんな中で私たちがすべきことは、「良い株を安く買う」ということに尽きます。今、金融相場によって、多くのハイテク株の株価はかなり高い水準にまで押し上がっています。 確かにこれらの企業はまだ成長余力があるのですが、株価はそれを十分に反映しているのです。

一方で、株価が実態を反映していないものがあるとするならば、景気連動性の高い銘柄(シクリカル銘柄)だと考えます。

株価は経済を経済に先行して上昇しましたが、経済が本格的に回復してくるのはこれからです。 景気連動性の高い銘柄の業績はこれから伸びていくことが考えられますが、昔ながらの機械、素材、自動車、建設といったシクリカル銘柄は、まだその未来を反映していないように見えます。私が狙いたいのはこのあたりの銘柄です。

もちろん短期的な株価はどうなるかわかりませんから、相場が下落すれば、これらの銘柄もあわせて下落する可能性があります。しかし、業績に対して安いということであれば、やがては、あるべきところに向けて上がってくるものです。

そして、それらの銘柄が単に景気に左右されるだけではなく、長期的な成長性を見据えているのであれば、今買っておいて、何ら問題がないということになります。

決算発表シーズンがやってくる。あなたはどう動くか?

足元では、企業の決算発表が始まりつつあります。現在の投資家の業績予想は、かなり楽観的な水準となっています。実際の数値がこれを下回るということになると、ショックで売られる可能性があるでしょう。

しかし、そうなったときにこそ、狙っている銘柄の買いのチャンスになります。

私たちがやるべきことは、株価が企業の実態を十分に反映していない銘柄を買うことです。これを徹底すれば、長期で見れば損をする確率は低く、そして企業の成長に従って株価は伸びていくものです。

ぜひこのやり方を徹底して、腰を据えた長期投資を行ってください。

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