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以下、文章化したものです。
今回お話しするのはトヨタ自動車についてです。
直近で決算が発表されましたが、その決算を受けて株価はなんと上場来高値を更新するという非常に好調なところです。
何故このコロナ禍で上場来高値を達成するような状況になっているのか、その決算の詳細を分析するとともに、これから一体どうなっていくのかということについても見通しを示したいと思います。
自動車は”高級化”へ
株価チャート見ますと、上場来高値を更新するというところです。
実はここ最近ずっとレンジ相場で6000円から8000円といった辺りをうろうろしていたのですが、ついにそれを抜けつつあります。
何故このようになっているのかというと、業績が好調だということがあります。
直近で発表された業績は減収だったのですが、これはコロナ禍なのでやむを得ない部分もあって、すでにそれは織り込み済みということで大切なのはこれからです。
トヨタが発表した予想によると、売上高はほぼ最高水準ということで、利益もほぼ最高水準です。
ちなみにトヨタというと業績予想はかなり保守的な数字を出すということが知られているので、この保守的な予想が少しでも上振れするようならおそらく最高益を達成する可能性が高いということを、予期するものでした。
それを受けて株価上昇して上場来高値というところになっています。
では何故このコロナ禍で最高益に近いような水準を達成出来るのかということを見てみたいと思うのですが、実は減収となった今期の決算を見ればその予兆というのが読み取れます。
販売台数は895万台から764万台と14.6%と減少しました。
ところが売上高を見ますと29.8兆円から27.2兆円に減りはしたのですが、8.9%の減少に留まっています。
台数が14.6%の減少に対して売上高8.9%の減少に留まったということは何が言えるのかというと、1台当たりの販売単価が上昇したことになります。
実はそれと同じ事が日経の記事も書かれていまして、1台あたりの純利益は22.6万円と、これは2年前から4.8万円も上昇しているというところになります。
つまりトヨタが売っている車の価格が1台辺りでどんどん上昇しているということが言えます。
では一体どんな車が売れているのかというと、今流行っているのがSUVです。
トヨタで言いますとラブフォーやハリアーといった、高級感があり、その一方でスポーティなモデルが非常に大きく売れています。
そして、これらの車は普通の乗用車に比べると少しお高めの水準になっています。
こうやって高めの車が売れることによって、販売台数はそこそこながら売上の単価が伸びているということになります。
すなわちこれは高級化が起きているということになります。
トヨタの高級化がどれぐらい進んできているのかというと、次のグラフを見ればわかります。
先ほどもお示ししたものなんですが、1台あたりの純利益がベンツ売っている会社のダイムラーが35.3万円、それからBMWは32万円、そしてテスラが20.1万円、フォルクスワーゲンが15.4万円というところになっています。
トヨタ販売台数では世界で1、2を争うフォルクスワーゲンの15.4万円というところに近かったのですが、この単価が上場したことによってどんどんダイムラーやBMWなどの方に近づいていっているということが出来ます。
実は同じような傾向が読み取れるのがここでは一番低い数字となっているのですが、フォルクスワーゲンも同じような傾向が読み取れます。
フォルクスワーゲンは実は色んな車のブランドを持っているのですが、それぞれの売上高と利益の推移比較です。
普通のフォルクスワーゲンと名のついた乗用車に関して、売上高では圧倒的に一番多いのですが、実はほとんど利益を出せていません。
一方で大きな利益を稼いでいるのが、売上高では3番手となるポルシェです。
このポルシェが実はフォルクスワーゲンの利益の半分ぐらいを叩き出しているということになります。
次に多いのがアウディです。
こちらもSUVが中心のどちらかというと高級化路線ということになります。
すなわち、車を売るにあたってこれから利益を上げていこうと思うなら、どちらかと言うと高級路線に舵を切った方がいいのではないかということが想定されます。
皆さんも自分の立場になって考えればわかるのではないかと思います。
今、車を持つというのはもはやステータスになりつつあります。
都市部に住むお金のない若者は車なんか買わなくてやっていけます。
そんな中でわざわざ高いお金を払って買うような人はやはりそれなりの見栄えのするものを買いたいと思うわけです。
だからこうやってポルシェが売れますし、実際にはそんなにお金を持ってなかったとしても、見栄でポルシェを買うという人も少なくないかもしれません。
東京の街中に行くとポルシェなどは結構な数が走っています。
それだけ車に求められるのはもはやステータスということになります。
足元ではこの自動車業界は電気自動車の波が訪れていると言いますけれども、もちろん環境に優しいということはありますが、それだけで買いたいとはなかなかなりません。
例えばテスラが売れているのは単に電気自動車だからということではなくて、やはり高級感といったところも少なからずあると思います。
逆にどうしても生活の足として自動車が必要だという人は、軽自動車などを買うことになるのでしょうけれども、そこはいよいよ価格競争の世界になってきますから、そこで利益を出すというのはなかなか難しいです。
しかし一方ではこれ世の中的にEVを沢山作って電気自動車を普及させなきゃいけないというところになってきていますが、一方で電池の価格が高いというところでそれを難しくしているという側面もあります。
となるといよいよ利益を稼ごうと思ったらやはり高級化路線になります。
技術というのももちろんなんですが、いかにかっこいい物を売るか、雰囲気・空気をいかに売るかということにかかってくるのではないかという風に考えます。
それでトヨタというとガソリン車はもちろん、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド、そして電気自動車これからどんどん出していくという計画もしています。
これらに単なる技術競争ではなくていかにかっこいい雰囲気という付加価値を付けられるかどうかが、トヨタの今後の鍵を握ってくるという風に考えています。
あらゆるタイプの自動車を出していますけれども、ここを見ても何となく感じると思いますけれどもやはり高級化、クラウンだったりアルファードだったり、SUV のあたりでもそうですが、この辺のラインナップをどんどん増やしていくのではないかと考えられます。
トヨタ株まだ買える?
さてこのような高級化路線が上手くいったとして、トヨタの株価は上場来高値を更新しましたが、まだ買えるのかということについてです。
今後の業績をシミュレーションした場合に、台数自体がそんなに増えないと思われるので現状の30兆円ぐらいではないかなというところです。
それに対して現状8%という営業利益率が高級化によって10%ぐらいまで上がったとします。
すると営業利益が3兆円、そして持ち文法利益なんかもありますので、経常利益3.6兆円でこれに対する純利益2.7兆円ぐらいという推測が出来ます。
これに対してPER10倍で時価総額27兆円、15倍で40.5兆円という数字が出ます。
PERに関してフォルクスワーゲン12倍、ダイムラーが10倍、BMWが9倍、GMが9倍、ホンダが10倍と大体10倍から15倍程度をというところになります。
現状トヨタの時価総額というとここにあります通り、28兆円というところになってきます。
PER10倍ですから考えられる範囲の中には入っていると思うのですが、今後上手く業績が伸びてきて、さらに今自動車業界はPER10倍程度ですから、わりと慎重に見極められているのだという風に思います。
当然それは電気自動車の普及によって競争が激しくなっているからだというところになりますが、そこをこの雰囲気だったり安全性などは旧来の自動車会社が勝ってくるわけです。
この辺が評価されるようになると、今の28兆円というところから3、4割のところまでは十分に想定出来るような状況ではないかと思います。
もちろん今後の競争のことですからどうなるかは分かりませんけれども、持っておいて悪くないような状況であるという風に考えています。
今後の自動車業界ますます目が離せませんので注目していたいと思います。
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