ワクチン接種で出遅れる日本に対する海外投資家の視点
ここ最近の相場は一進一退が続いています。日経平均株価は、3万円の壁をなかなか超えることができません。一方で、ダウ平均株価はじわじわと上昇を続けています。これは、コロナ感染状況の差が明確に表れているものと言えます。
日本では、欧米に比べてワクチン接種が遅れたため、経済活動の再開に手間取っているのです。OECDも世界全体の成長率予想を上方修正した一方で、日本の成長率を下方修正しています。このような状況では、日本株の売買高の7割を占める外国人投資家はどうしても買いづらい状況です。
今持っている株が下がっていると感じている方も少なくなでしょうが、この状況ではやむを得ません。一方で、確かに欧米に遅れたとはいえ、日本でもワクチンの接種が確実に進みつつあります。これが進めば、やがては日本の経済状況もコロナ前に戻ってくることが考えられます。
長期目線で見れば特に心配することはなく、むしろ仕込みどきである可能性も含んでいると考えます。株価というのは、経済状況が上向いているというだけで上昇するほど単純なものではありません。コロナの経済回復は既に株価に織り込んでいると見られますから、今焦点となっているのは中央銀行の動向です。
これを左右するのが、アメリカにおけるインフレの状況です。経済活動の再開により、資源不足・人手不足が顕著になりつつあります。あまり物価が上昇しすぎると、FRBはそれを抑えるために金利を引き上げ、テーパリング(金融緩和の終了)を行わなければならなくなります。そのタイミングがいつになるかということに投資家は気を揉んでいるのです。
もちろん、金利の動向が全てではなく、昨年のコロナのように、予想しない材料が突然現れることも珍しくありません。そうでなくても中央銀行の動きすら確実に予想することは不可能ですから、結局相場のことは確かな予想などできないのです。
私が反省すべきこと
この一進一退が続く相場で、私には大いに反省すべきことがありました。すでに保有しているある銘柄で、少し値段が下がったからといって、つい安易に手を出してしまったのです(下図①)。その銘柄の長期的な成長には期待しているので、今買っても問題はないと考えているのですが、バリュエーション的に見ればそこまで安い水準とも言えませんでした。
さらに、買った価格からまた下がり、ナンピン買いをしてしまいました(下図②)。まさに、「下手なナンピン」と言わざるを得ません。ナンピン買いをする以上は、バリエーションが十分に安いことを確認してからでなければいけなかったのです。
銘柄に固執するあまり、中途半端な価格で買ってしまったことは、感情に流された良くない投資だったと大いに反省しています。こんなことをしていては、市場平均を上回るパフォーマンスを上げることはできません。
私の長期投資戦略としては、あくまで明らかに安い成長企業を買うことです。そのような銘柄はゴロゴロ転がっているわけではありません。一方で、数少ないチャンスを見つけたら、そこに集中的に投資することによって、将来、大きなパフォーマンスを上げられると確信しています。
絶好のタイミングに絞って、虎視眈眈と買うべきなのです。昨年3月のコロナ・ショックは、まさにそのタイミングでした。このときに、先ほど挙げていた銘柄をもっと集中的に買うことができれば、今もっと高いパフォーマンスを上げられていたのです。
これは、下手に高いリスクを取ったというわけでもなく、その銘柄に関してはよく知っていましたから、むしろもっと強気に出るべきだったのです。会員向けのレポートでも「明らかに安すぎる」と言っていたくらいですから、それだけ確信があったのです。
パフォーマンスを上げるにはメリハリが必要
このように、銘柄には仕込むべきときと、そうではないときが明確に存在します。そうではないときには、ちょっと下がったからといって、下手に手を出してはいけないのです。そんなときは、同じ銘柄にこだわるのではなく、より確実な新たなチャンスを探し求めていくべきなのです。
このチャンスというのは、セクターローテーションの中に眠っていたりもします。このセクターローテーションとは機関投資家の動向によって、セクター全体として上がったり下がったりを入れ替えながらが動いていくことです。
今で言うならば、例えば半導体は上昇局面にあります。これらはずっと上昇を続けそうにも見えますが、実はそう簡単ではなく、上がったものはどこかで下がります。
私たちが注目すべきなのはむしろその反対、下がっているセクターに注目し、その中で一番素晴らしいと思える銘柄を十分に割安な価格で集中的に買うべきなのです。この動きによって、今度はそのセクターが盛り返してきたときに、大きなリターンを得られます。
今の話をするならば、安くなっているセクターの一つに、消費財関連があります。これらの銘柄の多くは、今やコロナ・ショックの安値水準よりも下がっている銘柄が少なくありません。
ここ数年、若干割高な傾向にあったこれらの銘柄ですが、今やその割高感も薄れつつあります。この中で、成長していて、かつ十分に安いと銘柄があるならば、ここで集中投資すべきと考えます。
もちろん、今後の相場に関しては予断を許しませんので、すべての資金を使い切ってしまうのはNGです。しかし、ここから目を離さずに見ておけば、きっとチャンスが眠っていると考えます。
投資はこのようにメリハリが大切です。買うときは買う、そうでないときは、落ち着いて見守る。これを徹底しなければ、パフォーマンスの向上はありません。自戒を込めて、今後も長期投資に励んでいきたいと思います。
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