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以下、文章化したものです。
今回お話しするのはニトリについてです。
今年に入ってからニトリの株価が不調で今も安値を更新する水準となっています。
何故ニトリの株価が調子が悪いのか、そして今買い時なのかどうかということについて中身を分析してみたいと思います。
コロナ特需を超えるのは難しい。しかし長期戦略は盤石
今年に入ってからのニトリの株価の推移ですが、年初には2万3000円ほどあったものが今19000円割り込むというところまで値下がりしています。
年初来の下落率は11.25%となかなか冴えない展開です。
ニトリというとコロナ禍で在宅ワークが増えて、様々な家具を買い足すということで、業績としては絶好調でした。
それに伴って株価も上がってきたのですが、今ピークを越えて値下がりの谷に入ってしまっているというところです。
数字にもそれが表れていまして、これがニトリの月次売上高の推移です。
特にニトリのようなの小売業というのはこのように月次の売上高を開示しているところが多くて、投資家もこれを見て機敏にその投資行動に反映してきます。
どこを見るのかというと、この既存店の売上高を見ることが非常に多いです。
これを見ることによってその会社、そのお店の好不調がよく分かります。
これを見ますと3月が94.2%です。
100%を下回ると前年割れということになりますが、3月が100%割れ、4月は超えましたが、5月がまた100%割れということで前年より振るわないというところがあります。
これは一つには前年が少し高すぎたというのがあると思います。
コロナ禍で在宅ワークが増えて慌てて家具を買い足さなければならないといった中で、売り上げが伸びていたということがあります。
今年もコロナは続いているのですが、昨年ほど慌てて買い足すような状況ではなかったということが一つにあると思います。
5月の水準まで出ていますけれども、これから6月7月8月と入っていきます。
昨年の売上高の推移ですが、この6月7月8月というところを見ますと、6月が147.5で50%増、7月が122、8月が115とかなり特需的に売上高が伸びてきたことが分かります。
しかし先ほども言いました通り今年も同じだけの需要が見込めるかというと、必ずしもそうではないという風に考えます。
そしてこの6月7月8月も月次の売上高が出たということになると、おそらくほぼ確実に前年割れというところになるわけです。
そして株価は短期的に見れば前年割れということになれば、やはり株が売り浴びせられるというケースが非常に多いわけです。
これから先の状況というのを想定しますと、前年割れで株が売られて株価が下がるパターンというのを多くの投資家が想定しているのではないかと思います。
もちろん売上高だけではなくて利益のほうにも反映してきまして、こちらはニトリの今期の業績予想の上期分なのですが、上期に関して前回が調子が良すぎたというところもありまして減益予想となっています。
これを受けて年初決算が出た頃から大きく下がり始めているというところがあるわけです。
さらに目先の話でいうと材木価格の上昇というのがあります。
ニトリの家具というとやはり木材を使った家具が非常に多いと見られます。
これで木の価格が上がってしまうと原材料費が上がって、利益が減ってしまうということが考えられます。
一部ニュースでは伝えられていますが、材木価格がアメリカでの一軒家の需要は非常に増えたということで、材木が足りない、さらには物流も混乱していますから、物流費も上がって、このように材木価格が非常に大きく上がりました。
今はピークほどではないのですがやはり1年前に比べたら3倍程度も上昇しているというところがあります。
これで原材料費が上がってニトリの利益が削られるということになると、それもまたネガティブな要因として挙げられるのではないかと思います。
ただしこれらは目先の話というところになります。
ニトリというとこれまで非常に素晴らしい経営を続けてきた会社でもあることは間違いありません。
業績を見てみますとこちらは過去十数年に渡るものですけれども、見事に右肩上がりで、この中でも増収増益ですけれども、もっと過去に遡るとなんと34期も連続で増収増益を達成している企業なんです。
これほど増収増益を連続で達成している企業というのは日本の上場企業では他に無いです。
そこで35期がどうかというところになると、少しこれに関しては暗雲が立ち込めてきたとも言えるのではないかと思います。
というのもコロナ禍で利益が一気に30%ぐらいの伸びました。
ニトリというともう日本中に店舗があるぐらいなので、かなり大きな会社であることは間違いありません。
その企業がいきなり30パーセントも利益が特需によって乗ってしまうと、その次も伸ばし続けられるというのはなかなか容易ではないという風に思います。
まして家具は毎年毎年買い足していくものでもないので、一旦部屋の状況が整ったら数年は買わないと考えられます。
したがって、これまで34期連続増収増益ですけれども、35期はどうやら厳しいのではないかというのが投資家の見方なのではないかと思います。
私もその可能性が高いと思っています。
もしそうなった時には一部ピークを過ぎたということで売る投資家も出てくるということが考えられます。
もっともニトリもただ手をこまねいているわけではなくて、例えば昨年通販事業というのが前年比で6割増という形で伸びました。
販売チャンネルが増えれば店舗の増加だけではなくて、新たな顧客を開拓することも可能になって、売上の増加に貢献するということが考えられます。
今売上高は全体の1割ぐらいですが、これから割合が増えてくればそれは成長の余力ということになり得ます。
また、デコホームという、よりホームセンター的な立ち位置で展開しようとしている部分もあります。
これまで家具だけだったものが、食器なんかもやりますし、エクステリアのものなんかも販売しようとをしている戦略があります。
その戦略の一つとして、島忠を買収してホームセンター事業に本格的に進出するということにもなっています。
これらが功を奏せばまだ業績伸ばし続けられる可能性も十分にあると思います。
目先は厳しいという風に申し上げましたが、そこから先はなお明るい経営を行っているのではないかという風に考えます。
下がった今は買い時か?
それでは投資家としては今の株価は年初来安値水準ですけれども、これが割高なのか割安なのかということについて見ていきたいと思います。
あくまでファンダメンタルズ的な観点で見ていきたいと思います。
ファンダメンタルズというと企業の業績とかそういった観点で見るのですが、ここにあります通りマネックス証券の銘柄スカウターというところで取れるものですが、過去のPER、利益に対して株価が何倍かという指標が表されているものです。
ニトリの過去4年、5年のものを見ると、最小値が20倍程度、最大値が35倍、平均が27倍ぐらいというところになっています。
赤線が今の株価、PERの指標ですが、過去の推移で見ますと実はこのレンジのかなり下の方にあります。
21.7倍というところです。
これだけ見ると過去の水準に比べても安いのではないかという風に見えるかもしれません。
ところが1株当たり利益873.9円というのは特需があった昨年の業績に、さらに業績予想を上乗せしたものです。
コロナの特需にさらに上乗せした業績が達成出来るかというと、そこにはやはりこれまで解説した通り疑問が残るところではあります。
もし達成出来ないというところになったら、実質的なPERは上昇するということになります。
そこでこの特需の無い場合の業績も考えた方が良いのではないかと思います。
一つ参考になるのが2020年2月期のコロナ直前までの業績です。
この時の1株当たり利益が635.4円ということでした。
これを元にPERを計算しますと29.8倍ということになります。
実質的なPERとしておそらくこの873円というのはかなり楽観的な予想で、一方でコロナ前に戻ってしまうということを考えると、635円というところではないかと思います。
なので実質的なPERというのはこの21倍から29倍の間ぐらいになるのではないかという風に考えます。
そしてそれは平均値からはやや下ぐらいというところをではないかと思っていまして、けして割高だというところではないのですが、すごく割安かというとそうでもないというのが私の見解ということになります。
もっとも業績を今後も伸ばして続けるとしたら、少なくともこれぐらいのを株価水準だったら、業績の上昇にしたがって長期的には伸びる可能性の高い水準ということになります。
ただその伸び率というのはやはりすでに会社が大きいということもありますから、年率10%弱ぐらいかなというのが過去の業績推移からも計算出来るわけです。
したがって、ニトリの今後の長期戦略に期待している方なら買って問題ない水準だと思います。
ただ、それなりの大きなリターンを得よう思うなら、絶好のチャンスとまでは言えない株価だというところにもなっています。
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