急速に早まる金利引き上げ観測
ダウ平均株価が5日続落しています。その主な要因は、FOMC(米金融政策決定会合)を挟んだ動きです。
アメリカでは、ワクチン接種が進むとともに、経済活動が活気を帯びています。FRB(連邦準備理事会)は、新型コロナウイルスによる経済悪化を懸念して金融緩和を行ってきましたが、経済が通常に戻るとすれば、その必要性は薄れてきます。
金融緩和は経済を活性化させ、同時に株価も上昇させます。しかし、全てが良いというわけではなく副作用が必ずあります。それが、資産バブルとインフレです。
資産バブルでは、お金が市場にあふれるがゆえに株や不動産の価格が実体以上に上昇します。それがさらに投機的な動きを呼び、もはや数字では説明できないほど割高になってしまうのです。しかし、バブルがいつまでも続くことはなく、ある時急落します。逃げ切れなかった人は多額の損失を被り、経済は停滞してしまうのです。
日本のバブル崩壊も、発端は金融緩和にありました。1985年の「プラザ合意」による円高不況を懸念し、政府・日銀は金利引下げを断行します。景気は回復しましたが、なおも金融緩和を続けた結果、日本は空前のバブルに突入したのです。そして、その後の無残な状況は多くの日本人が知るところです。これが金融緩和の最大の副作用です。
資産バブルと似たようなメカニズムで起こるインフレも人々を苦しめます。物価が上昇すると、年金世帯や低所得者層が打撃を受けます。FRBはインフレによる社会の混乱を恐れているのです。まして、貧富の格差が増大する中で社会的弱者を更に苦しめると、政治の不安定化を招きかねません。
経済再開が進むアメリカでは、あふれるお金に対して物資や物流、人材が明らかに不足している状況です。これは価格決定メカニズムにおける需給バランスが崩れつつあります。2021年の個人消費支出価格指数は、2021年は従前の2.4%から3.4%に大幅に引き上げられました。もはや、インフレは確実に起きると言えます。
過度なインフレになりそうなら、FRBは金利の引き上げや資産買い入れの縮小(テーパリング)をためらわないでしょう。以下が、直近のFOMC(15、16日)におけるパウエル議長の発言です。
経済活動の再開が続くとともに、需要の変化は大きく急速なものになり得る。そしてボトルネックや人材採用における困難といった制約は、供給の適応ペースを今後も制限する恐れがあり、インフレがわれわれの予想より高く根強いものになる可能性を高める
従来「2023年に1回」の利上げが既定路線と思われていましたが、今回の会合では「2023年に2回」「2022年中」という見方も強まりました。あとは、これがどれだけ早まるかの問題だけでしょう。
金利が引き上がるとなれば、株価は短期的にでも下がる可能性が高まります。ダウ平均の続落は、このような状況を反映したものです。
機関投資家は、ここまでの株価上昇で大きな含み益を手にしていますから、すぐにでも利益確定したい思惑に駆られています。このような状況で下がりだすと売りが売りを呼ぶ状況となりますから、いつ急落が来てもおかしくありません。米国株が下がれば、日本株も間違いなく影響を受けます。
もっとも、経済回復のスピードが想定を上回り、企業業績が大幅に回復するようなら株価は上昇に転じる可能性もあります。株価の動きとは結局その微妙なバランス感の上に成り立っているのです。
長期投資で絶対に守るべき「良い企業」「バリュエーション」「下落時の買い」
ここから先は戦略の話です。
微妙なバランスで上にも下にも動く株価ですが、いつまでも上がり続けたり下がり続けたりすることはありません。上がったらどこかで下がり、下がったらどこかで上がります。「山高ければ谷深し」です。
株価の動きではなく「企業を買う」ということを考えれば、明らかに有利なのは「安く買う」ことです。安く買って高く売ることが利益を出す方法だと考えれば当たり前です。
もう一つ確かなのは、業績を伸ばし続ける企業の株価は上昇を続けるということです。これに関しても疑う余地はないでしょう。
したがって、我々がやるべきことは、業績を伸ばし続けられる「良い企業」を見つけ、それらが安くなったときにしたたかに買う。これに尽きるのです。
目先、例えば半年くらいの損益に一喜一憂する人が多いように感じますが、企業業績を基準とする長期投資ではそれは誤差にすぎません。少なくとも、次の決算が出るまではその投資を評価することはできないでしょう。業績の進捗を確認してから、もう一度チェックし直せば良いのです。
もっとも、どんなに良い企業であっても、高値で買ってしまっては利益を出すのは難しくなります。したがって、少なくともバリュエーション(PER等)があまり高くない株を買うことを考え、さらに日々の株価変動によりそれらが少しでも安くなったときに買うことを心がけるのです。これさえ忘れなければ、長期投資で失敗することはほぼなくなるでしょう。
「良い企業」「バリュエーション」「下落時の買い」―長期投資を行う上では、この3つを忘れないようにしてください。
プレゼント①『株式市場の敗者になる前に読む本』
プレゼント②『企業分析による長期投資マスター講座』第一章
プレゼント③『YouTubeプレゼン資料』
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書籍を購入させていただき、またyoutubeも拝聴し、会員も検討中の株投資初級者です。
ひとつ質問です。現在高配当の銀行株を中心に持っていますが、先週金曜日の下落、また
金曜夜のNY ADRの銀行株の大幅下落を見て、今後米国金利が上昇するならばそのまま銀行株を保有が良いのか、一旦売って下落再上昇を見ながら再購入がよいのかアドバイスがあったら宜しく御願いします。
書籍のご購入、ありがとうございます。
配当目的で保有しているなら、配当が続く見通しがあると考えるなら、売るべきではありません。一旦売って買い戻すようなことは、なかなかうまくいくものではありません。
間違わないでいただきたいのは、株価の動きは予想できないということです。その中で、自分は何を根拠に株を買っているかを忘れないことです。配当が良いと思うなら配当の方向性に焦点を当てるべきですし、私の場合は企業の業績に焦点を当てます。