【6 18 ドット・チャート・ショック】株価なぜ下落?FRBの思考を理解せよ!真の長期投資家になるための必読書

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以下、文章化したものです。

 


撮影日は2021年6月22日ですが、先週のダウ平均は金曜日に大きく下がりました。

それを受けて週明け月曜日の日経平均も1000円近い値下がりとなりました。

その後大きく反転上昇している状況ですが、なぜこの株価の動きが起こるのかということを解説していきます。

これを見れば今後しばらくは株価の動きに対してそんなに気にする必要がないのだとご理解いただけると思います。

ダウ平均なぜ下がった?

先週から5日間のダウ平均株価の推移ですが、6月18日金曜日に一気に500ドル前後値下げということで大きく下がりました。

その後月曜日には反発上昇しているという段階で、日経平均もこれを受けてアップダウンを繰り返しているという状況です。

では先週何故株価が下がったかというと、FOMCといって、アメリカの中央銀行が金融政策を話し合う会合が6月の15、16日に開催され、ここで議論された内容が株価変動に大きな影響を与えました。

どういうことが話し合われたのかというと、この会合では中央銀行が銀行に貸し出す時の金利をいくらにするかということを主に話し合うのですが、FOMCという委員会に参加する委員の意見は様々で、どのような意見が示されたのかというのを示すのがドットチャートと呼ばれるものです。

これは2021年の金利はどうすべきか、そして来年、再来年これらの金利をどうすべきかということを委員が意見を出して、最終的な制作決定に繋げていくわけです。

これが2021年の当初における将来のあるべき金利の水準というところを示したものです。

2021年は中間値0.125となっていますけれども、ほとんど上げなくて良い、来年再来年に少しずつ上げてもいいかなという委員がいる中で、まだこの時は経済がコロナ禍でしたから、そんなに上げるべきではないという意見が大半でした。

しかし先週のFOMCで話されたドットチャートを見ますと、比べると少しわかりにくいかもしれませんが、ゼロ金利にした方が良いという人が減って、もう少し上げた方が良いという人が少し増えました。

2022年度も増え、2023年も増えたというような形になっています。

これが市場の予想よりも金利を引き上げるべきという委員が多いなという風に感じて、これが実際に利上げが早まるということになると、金利が上がるということは株式市場にとっては一般的にマイナスですから、これを受けて株価が下がったということになります。

是非このドットチャートというのは目先の株価を動かしている大きな要因となりますので、覚えて頂ければと思います。

要はFRBにおいて金利の引き上げが議論されるということになると、株価が下がりやすい傾向にあるということです。

金利を上げる理由とバーナンキショックのトラウマ

では何故FRBは金利を上げようとしているのかということについても改めて触れてみたいと思います。

そもそも金利を下げるというのは世の中に沢山お金を回すということなので、経済は潤い易いです。

今新型コロナでどうなっていくかわからないといった時には、低い金利で借りれた方が良いだろうという向きもあります。

しかしこれは当然副作用があります。

すなわち市場にお金が出回りすぎると物の価格が上がる、要するにインフレになってしまいます。

インフレになると中所得者、低所得者は物価が上がってしまうので、日々の買い物に非常に困ってしまいます。

年金生活者なんかも物価が上がったとしても年金は上がらないので、生活が苦しくなって、これが酷くなると場合によっては社会不安というのも引き起こしかねません。

低金利でお金をばら撒き続けるとこういった副作用がどんどん大きくなってしまいます。

FRBとしてはそれを見定めて、金利の状況を平常の状態に戻すかということを議論しています。

そして今回この金利の想定値が引き上がったというのは、目先のインフレ予想にあるわけです。

このインフレの数値を見ますと予想値において、2021年当初は今年のインフレ率2.4%ぐらいだろうと予想されていたのですが、どんどんアメリカの経済が回復するにしたがって、物価や人材を雇うのにはかかるお金というのがどんどん上がってしまいました。

現在の予想値は3.4%というところまで上がっています。

FRBの目標とするインフレ率は2%とされているので、3.4%というと高い数字になっていて、これ以上上がるようだとかなり引き締めていかなければならない水準となってきています。

今回のFOMCの会合の結果を受けてパウエル議長も『経済活動の再開が続くとともに、需要の変化は大きく急速なものになり得る、そしてボトルネックや人材採用における困難といった制約は、供給の適用ベースを今後も制限する恐れがあり、インフレがをわれわれの予想より高く根強いものになる可能性を高める』という風にインフレを非常に警戒しています。

だからこそFRBは経済を落ち込ませてはいけないというところもありながら、一方ではこの金利の副作用を大きくさせない為に金利の引き上げ時期というのを探っています。

しかし下手に今すぐいきなり金利を引き上げるみたいな話をすると、それはそれで株式市場にまた大きなショックを与えてしまうということもあります。

そのトラウマになっているのが2013年のバーナンキ・ショックです。

2013年というと、2008年にリーマンショックが起きて、その後金融緩和が続いて低金利の状態が続いていました。

しかしこれも同様に経済が回復してきたら、やがては金利を引き上げなければならないというのは当然FRBの頭にはありました。

そんな時に当時のバーナンキ議長という人そろそろ金利を引き上げる議論を始めようかと2013年に言いました。

するとそこまで早期の利上げというのを想定していなかった市場は、金利が上がるなら株を売らなきゃいけないということで、慌てて株を売りました。

これがテーパータントラムとも言いますし、バーナンキショックとも言われています。

金融緩和、量的緩和の縮小を示唆し、長期金利が急騰、そして新興国通貨が下落するなど金融市場が混乱しましたということがありました。

FRBとしてはこれを繰り返してはいけないということで、市場とは上手くコミュニケーションを取っていかなければならないと考えているわけです。

このバーナンキショックはチャートと見ましても、議会でそういった話をした時には2.5%の下落、それからその時のFOMCでは5.1%も下落しました。

これがFRBのせいになったということで、もうたまらんということで市場とのコミュニケーションを何とかでギリギリのところでやっているというところになります。

今回もこういった金利の引き上げが早まるのではないかということを少し示唆されたことで、一時的に株価が下がりましたが、昨日のアメリカ、そして今日の日本市場はまた再び株価大きく上がっている状況です。

これはすなわちFRBの市場とのコミュニケーションが上手くいったと言えるのではないかと思います。

買い時ではない今、どれだけ準備ができるか

ショックを最小限に抑えた結果、2022年来年再来年の利上げというのが、すでに株価に少しずつ織り込まれるようにやっているということになります。

したがって私としてはこうやってFRBが上手く市場とのコミュニケーションを続けて、バーナンキショックの二の舞を起こさない限り、こういった金利の環境による暴落というのは起きないのではないかという風に考えています。

むしろ市場が暴落するというのはもっと予想しなかったことが起きた時です。

例えばまさに昨年のはじめのコロナショック、それが新型コロナウイルスというわけの分からないものが出てきたおかげで、この先どうなるかわからないと人々が不安に駆られた時に、株価は大きく引き下がりました。

今の株式市場を見ているとそういった要素は顕在化していないので、なかなか金利とか見える要因によって大きく下落する可能性は低いのではないかと思います。

一方でやはり予想しない出来事というのは起きるので、その時は株価大きく下がります。

例えばということで挙げるならば今インフレ率が3.4%予想ですが、これが一気に5%まで上がるようなことになると、急に金利を引き上げなければいけない、こちらは当然予想外の出来事ということになります。

今経済が活性化している言いましたけれども、一方では苦しい企業というのも多く出ています。

大きな企業が倒産したりして連鎖倒産が起きたりすると、今度はファンダメンタルズの方が崩れて、株が下がるということもあり得ます。

当然ここで予想することはあまり意味がないのですが、そういったことが起きる可能性というのは未だに十分にあると考えた方がいいと思います。

そして私たち長期投資家、あるいはバリュー投資家としては、逆に今みたいな好調な推移がまだ長く続くような状況は買い時ではないと考えます。

それは有名なバリュー投資家であるジョン・テンプルトンという人の言葉にも表れています。

『強気相場は悲観の中で生まれ、会議の中で育ち、楽観とともに成熟し、陶酔の中で消えていく』という言葉があります。

こちらはよく引用される言葉なのですが、テンプルトンという人の本まで辿り着く人は実はあんまり多くなかったりします。

実はこの言葉には続きがあって、『悲観の極みは最高の買い時であり、楽観の極みは最高の売り時である』という言葉ここまでセットでこのテンプルトンの相場感を示したものなのです。

よく引用される言葉でこの陶酔の中で消えていくというところが儚い言葉にも見えるのですが、実はもっと積極的に前向きな発言であって、悲観の極みは最高の買い時であるとい風に言っています。

私たちはこういった悲観の極みでこそを買って大きな成果を挙げられるわけです。

例えば2020年コロナショックで買えた人は今大きく資産を伸ばせています。

こういった時に買える準備をしているかどうか、それは目先すぐ訪れるわけではありません。

もしかしたら1年、あるいは数年待つかもしれません。

しかしそういった時に買えて初めてリスク少なく大きなリターンを得る、これは株式市場が変わってくる中においても、かなり確度の高い真実であると私は考えて、そういった投資を行っています。

さて今がどの段階にいるのかというとこの言葉を借りるならば、楽観とともに成熟した辺りではないかと思います。

こうやって金融緩和が続き、一方では経済の回復が続いています。

もはやそう悲観視するようなことはないように見えるスケールでも、1回下がると今度は不安要素が解消されたということで、上昇しやすくなりますから、もしかしたら今後当面再び大きく上昇する相場になるかもしれません。

しかしそうなってくると上がり続ける株というのもないので、いよいよ陶酔の中で消えていくといった時がやってくるのではないかと考えられます。

株式市場の言葉には『山高ければ谷深し』という言葉もあるくらいですから、突然の下落というのは上がれば上がるほどいつやってきてもおかしくないと考えるべきです。

そういった時に買えるかどうか、買える資金と頭の準備が出来ているのかというのは長期投資における成功の秘訣だと私は確信しています。

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