【中古車銘柄】上方修正が相次ぐ中古車業界…次の注目企業は?

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以下、文章化したものです。

 


今回は中古車業界についてお話ししたいと思います。
 
なぜ今取り上げるのかというと、コロナ禍において中古車価格が上昇していて、それを受けて中古車の販売店の業績も好調な推移を見せているからです。
 
一方で中古車業界というと日本国内においては成熟産業という風に見られています。
 
そんな中でどのような企業が気を吐いているのか、そして上方修正がありそうな企業も含めて紹介できればと思います。

中古車市場が好調なワケ

まずこれはNHKのニュースです。
 
今、コロナ禍で中古車の価格が上昇しているのです。
 
この記事には中古車販売店の仕入れ価格が1~2割上昇とあります。
 
前の年の同じ月と比べて13万円あまり、率にして18%上昇とあります。
 
そしてこの10年で見ると2012年3月に次いで2番目に高い水準だということです。
 
なぜこのように中古車価格が上がっているのかというと、一つは今年に入ってからよく言われるようになった半導体不足というところがあります。
 
この半導体不足には2つの要因があり、1つは1年前のコロナショックによって多くの工場が操業を停止し、そもそも発注から納品までにリードタイムがあるわけですが、一旦停止するとどんどん納期が遅れていくということがあります。
 
また半導体の需要に関しても、自動車に回すよりもむしろパソコンやスマートフォンなどの需要が高まったせいで自動車の半導体を作っている暇がないということもありました。
 
これによって自動車の半導体というのが後回しになった結果、今新車が作れないという状況になっているわけです。
 
一方で消費者としてはコロナ禍で人の密集を避けながらどこかに出かけたいと考えると、自動車が必要になってきます。
 
そういった人にとっては、納車がいつになるか分からない新車を今から発注するよりも今すぐ確実にある中古車を買った方がいいということになります。
 
そのためには少し高い価格であっても構わないという考え方をする消費者が多いということが挙げられます。
 
このように、中古車市場で価格上昇をもたらす要因はたくさんあります。
 
そしてこれを受けて、中古車販売店の業績は上昇しているというところにあります。
 
例えばこれは株式会社IDOM(ガリバー)のプレスリリースですが、7月14日に今期2021年3月期の業績予想を上方修正しています。
 
ここにおいて、上半期の業績については利益がおよそ4割上昇、さらには2022年2月期までの通期に関しても利益が従来の予想よりおよそ20%伸びるということで足元の好調な業績を表しています。
 
同じようなことが自動車だけではなくてバイクでも起きていて、バイク王カンパニーは上半期におよそ4割の増益、通期に関しても4~5割の増益を想定しているということです。
 
中古車販売が好調になるほどに新車の生産の遅れが深刻になっています。
 
実際に自動車メーカーにおいても納車の遅れで業績を下方修正せざるを得ないようなところも出てきています。
 
さて、このような業績の上方修正があると一般的に株価は上昇します。
 
ガリバーに関しては500円~600円というところで推移してきたものが880円というところまで、6割の上昇を見せているわけです。
 
同じようにバイク王に関してもじわじわと上がってきていて、300円というところから800円そして1000円と
いうところまで上昇しています。
 
そもそもこれらの企業は中古車なのであまり成長性がないという風に見られていたからこそ株価もずっと安く抑えられていたわけです。
 
例えばガリバーに関しては2000年ごろからのチャートで見ると、上がったり下がったりを繰り返しながら基本的にはあまり伸びていないという状況がありましたし、バイク王に関してもずっと地を這っていた状況だったわけです。
 
このコロナ禍で一転脚光を浴びて株価が上昇しました。
 
これを受けて私たち投資家としては2つの観点で物事を見なければならないと考えます。
 
その2つとは短期と長期の考えです。
 
短期的にはやはりこの中古車市場が好調ですから上方修正によって株価が大きく上がる可能性を秘めた銘柄が他にもあるかもしれないということをまず考えます。
 
一方で長期としては、やがてこの半導体不足や需要の高まりはコロナが終わればやがて終息していくということが考えられますから、そうなった時にまた減益となってしまうようだったらそういった銘柄は長くは持てないということになります。
 
一方でそもそもそれとは関係なく業績を伸ばしていた企業だったら、コロナ禍の好調によって短期的に上昇する可能性がありますしまた長期で見ても業績をさらに伸ばし続けるんだとしたらやはり持っていて良いということになります。
 
私たち長期投資家としては、瞬間的に上がっていつ下がるか分からない短期的な銘柄を狙うよりは、やはり長期で伸び続ける銘柄に目線を絞っておきたいというところがあります。

中古車市場の流れとその中での戦い方。注目起業は?

では、中古車市場はどういう流れになっているのかということを説明します。
 
中古車ですから一般の消費者から中古車を買って、また別の消費者に売るというのがビジネスになります。
 
しかし、実はその多くは買取店と販売店が別にあり、まず買取店が消費者から買い取ってそれをオークションに出すというのが割と一般的です。
 
自分が買ったからといってそれがすぐに売れるとは限りませんから、それを小さい店でやっていたのではどんどん在庫だけがたまってしまって目先の資金繰りが成り立たないことがある一方で、オークションで出してしまえば業者などの買い手がいっぱいいますからとりあえず売って目先の資金を確保することができるのです。
 
だからこそこの中古車市場は少ない資本で参入できるわけです。
 
少しロードサイドに行くとあまり聞いたことがないような中古車販売店があるのはこのオークションの仕組みがあるからこそなのです。
 
このオークションを通じて買取店と販売店をつないでそれをまた最終的に消費者に売るわけですけれども、一方オークションがあると当然その間で中間マージンが発生します。
 
買取店と販売店がオークションを介さずに自らのプラットフォームでやることができれば、規模の経済が働いて利益を出しやすくなるという側面もあります。
 
すなわち中古車市場の勝ち方にはこのようなやり方があります。
 
一つは規模の経済です。
 
買取と販売を一体化させることによって中間マージンをなくして利益を確保し、更にはより中古車を調達しやすくなって販売も行いやすくなるというところがあります。
 
一方でニッチという戦い方もあります。
 
大きなところにはかなわなくても、特定の車だけを集めて専門店として売れば比較的高い価格でも売りやすくなるというところがあります。
 
また、販売店とは別ですがプラットフォームとしての戦い方があります。
 
要するにオークションの運営会社です。
 
手数料ビジネスになりますが、小さな買取店、販売店にとってオークションは必ずなので、ここを抑えることによって安定した収益を得続けるということが可能になるわけです。
 
中古車業界の戦い方として3つ挙げました。
 
ではまず規模の経済から見ていきます。
 
中古車業界は小さな業者がたくさんありますが、その中で一つ気を吐いていたのがガリバーです。
 
ガリバーの名の通り大きい会社で、CM等もよく目にすると思います。
 
しかし今、このガリバーを倒そうというような形で規模の経済をとってきている企業たちが存在します。
 
ガリバーが3800億円の売上高に対してネクステージという会社が今ものすごく伸びています。
 
売上高は2400億円、勢いで見たらやがてガリバーを上回るのではないかという風に見られています。
 
そして、非上場ですけれどもこちらも今CMでよく見かけるビッグモーターがあります。
 
売上高は6000億とすでにガリバーを追い抜いていると見られています。
 
規模の経済を争うところに関しては特にこの3社が重要なところになってくると思います。
 
規模の経済なので当然1番を取ったところが圧倒的に強いということになります。
 
そう考えると、今売上高が一番高いビッグモーターがどんどん規模を拡大していて、今後も大部分を占めていくのではないかと考えられます。
 
私が以前中古車をインターネットで見積もりしてみた時には、ビッグモーターは他の会社に比べて大幅に高い買取価格を提示してきました。
 
オークションを介さない分、多少高い価格で買っても利益を出せるからです。
 
一方で、ガリバーの見積もりは安かった記憶がありますし、中古車の購入を検討した際にはかなり古いタイプの車を新車並の価格で売られそうになり、あまり良い印象は持っていません。
 
ガリバーはかつて広告宣伝などで伸ばしてきましたがもはやその手法は限界になっているのではないかと思います。
 
それがずっと株価が伸びなかった一つの理由なのではないかと思います。
 
直近で伸びたのは神風が吹いたといえるかもしれません。
 
もう一つ注目する会社としてネクステージがありました。
 
業績は非常に大きく伸びていると言いましたが何が特徴なのかというと、規模ではやはりビッグモーターやガリバーに直接的には敵わない部分がありますが、ただこのネクステージは一つの会社でありながらそれぞれの店舗を専門店として独立させるような形をとっているのです。
 
これはマネックス証券の銘柄スカウターですけれども、SUV、ミニバン、セダン、輸入車など店舗ごとに車種を絞った専門店方式や軽自動車アラカルト店舗とした販売ブランドを展開というふうにやっています。
 
要するに、ビッグモーターだったらどんな車でも取り扱いますよという形でビッグモーターとして売っていますが、このネクステージがやっているのは、店舗ごとにここはSUV専門店、ここはミニバン専門店という形で形でわかりやすく切り分けているわけです。
 
規模の経済とニッチをうまく掛け合わせた手法をとっているのがネクステージだと考えられます。
 
実際にネクステージの業績は見事に右肩上がりに伸びてきて、コロナ禍を受けてさらに上昇しているというところがあります。
 
では気になる目先の株価はというと、ガリバーの上昇を受けてこのように大きく上昇していて、1800円程度だったところから2200円程度というところになっています。
 
この状態でPERが22倍ということですけれども、実は決算期は11月で、業績予想に関しては今のところまだ上方修正を出していません。
 
2021年11月に関しては営業利益は横ばい、変化していないというところです。
 
しかし足元の業界の動向を見るとやはりここも好調である可能性が非常に高いという風に見えるわけです。
 
これが上方修正するということがあればPERはまだ22倍とさほど高くないところですから一段の上昇があってもおかしくないのではないかと思っています。
 
実際に過去のPERの推移を見ても平均的にはですねおよそ25倍ぐらいで見られているところですからまだ今ぐらいのPERだったら、上方修正があったとしたらその上昇分ぐらい株価が上がってもおかしくない環境にある、まだまだ上がりすぎたわけではないと思っています。
 
もっとも、実際に上方修正が無かったらハズレということになってしまうのでそれだけだとギャンブルに近い取引になってしまいますが、先ほど説明した通り、非常に大きく業績を伸ばしている会社なので長期的に見ればまだ伸ばしていく余地もあるのではないかと思うのでチェックする価値は十分にあると考えているわけです。
 
ただこの会社で一点気になるとしたら借金が多いことです。
 
緑で示されているのが有利子負債の状況です。
 
規模も拡大していますから借金もどんどん増えています。
 
しかもこの中古車事業というとまず車をかなり高い金額をかけて仕入れなければならないというお金のかかるビジネスです。
 
もしそこで車が売れなくなったり値引きしなければいけないというようなことになると一気に財務状況が苦しくなってしまう可能性があります。
 
中古車販売は薄利多売ですから利益が薄い中で価格が下がってしまうようなことがあると経営的にはかなり苦しくなります。
 
ましてどんどん拡大しているところですからリスクは当然高いということは認識しておかなければなりません。
 
とはいえ、うまくコントロールして業績規模を拡大していくようだったら、今売上高は2000億円台ですけれどもこれを1兆円というところを目指していますからもしそれが達成できるとしたら、リスクはありながらも面白い会社になるのではないかと思います。
 
次に説明するのはプラットフォームの会社です。要するにオークション運営会社です。
 
ご存知の方も多いかと思いますがUSSという会社があります。
 
これはまさに自動車オークション、それもインターネットや衛星テレビ回線を使って業者間でのインターネット自動車オークションをやるという会社です。
 
自動車オークションのシェアとしては日本国内の3割から4割ぐらいを占めるという風にに言われています。
 
基本的にはオークションに参加する人から手数料を取るビジネスですからかなり安定しています。
 
売上高はほとんど減らすことなく安定しています。
 
また、オークションの参加者が増加したりすることによってじわじわと業績を伸ばしています。
 
一方で今回のような中古車価格の上昇の恩恵は必ずしも受けられない会社ということもあります。
 
利用料を受け取る形ですから中古車取引の価格が上がったところで利益が一気に伸びるかというと決してそういうわけではありません。
 
インフラ的な立ち位置が強いといえます。
 
もっとも、3~4割というとても高いシェアをとっていて安定していますし、新会員の獲得によって業績を伸ばしていけると思いますが、一気に伸びるものではないということはご理解いただければと思います。
 
その状況においてはPERが18.7倍、利回りが3%弱と、非常にリーズナブルな価格水準ではないかと思います。
 
そういった意味で面白い会社の一つとして記憶にとどめておくと良いと思います。
 
プラットフォーム関連でもう1社紹介するとしたらオークネットという会社があります。
 
これもUSSと同じように自動車オークションをやっていて、むしろテレビオークションというところに関してはUSSよりも先に始めた会社です。
 
ところが規模に関してはこのUSSが一気に伸ばしたことによって置いて行かれている部分は少なからずあります。
 
ただこの会社の面白いのは車だけではなくて他の様々なものにこのオークションのノウハウを拡大させてきたところにあります。
 
このようにバイクはもちろんのことをブランド品や中古医療機器、そして今一番伸びているのはデジタル機器です。
 
中古市場というのは自動車はがメインの市場でしたが、今では多くの人がスマートフォンなどを次々に買い替えるという動きをします。
 
元々高価なものですから、中古市場も大きくなってきています。
 
そこに参入することによってしっかりと業績を伸ばしています。
 
いわば「多角化」というところです。
 
最近業績を大きく伸ばしているのも、ブランド品の買取サービスの会社を買収したから売上高が伸びているというところがあります。
 
もちろん、中古車市場の取引も活発になっていることで業績を伸ばしているというところもあります。
 
株価に関してもこの中古車市場の好調を受けて一部上昇しています。
 
特に私が好きなのがこの図です。
 
これは私がよく使うアンゾフの成長マトリックスというものがあるのですがそれにかなり近いものだと思います。
 
既存の例えば中古車市場から始まったところから海外あるいは他のブランド品やスマートフォンなどそういった部分に拡大させることによって成長を図る多角化宣言ということです。
 
これを持ってる企業というのは、一つの市場だけでやっていたら当然成長は限定的で競争も激化するというところがありますが、どんどん新しい分野に拡大していくことによって成長を図れるとともに、既に持っているビジネスのノウハウを応用することができますから成長戦略としてはかなり有効ですし、これを持って
いるからこそを投資したいという企業も私としてもあります。
 
オークネットに関しては、自動車から離れてしまいますけれど、多角化という側面で注目したいと思います。
 
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