群集心理の一部になるべからず
強気相場は
悲観の中に生まれ
懐疑の中で育ち
楽観とともに成熟し
幸福感の中で消えていくジョン・テンプルトン
私はそもそも、マーケットの先行きを考えて投資するタイプではありません。長期投資で成功する唯一の秘訣は、成長する企業を安く買ってそれをひたすら持ち続けること、ただそれだけに尽きると考えます。
その中で、あくまで「サブ」として相場に対する見方を示すならば、上記の格言が最も役に立つと考えています。
企業の業績などから成り立つ価値はそう簡単に変動するものではありません。しかし、株式市場は日々頻繁に、なおかつ非常に大きく動きます。これを動かしているのは人々の心理、群集心理に他ならないのです。
群衆心理というのは、右にも左にもとても大きく動きます。例えば、東京オリンピック誘致の時には日本中が歓喜に沸いたわけですが、今や国民の2/3は開催に反対という立場をとっています。様々な要因はあるにせよ、株式市場に対する人々の見方というのもこのように動くのです。
そんな中で、自分もその群集心理の一部になってしまうと、判断を誤ってしまうことになります。なぜなら、群衆心理によって引き上がった株価は本来の価値を上回っている可能性が高いのに、気持ちは買いたくてしょうがなくなっているからです。
長期投資で利益をあげようと思うなら、これとは逆の考え方をしなければなりません。すなわち、人々が悲観的になっている時に買い、楽観的になっている時に売らなければならないのです。上記の格言は以下のような続きがあります。
悲観の極みは最高の買い時であり
楽観の極みは最高の売り時である
現在の相場環境はジョージ・ソロスの「再帰性理論」で説明できる
さて、今の相場は上記におけるどのタイミングに該当するでしょうか。
目下、一時の瞬間的な下げを乗り越えて、ダウ平均株価は史上最高値を更新しています。少なくとも「悲観」や「懐疑」でないことは明らかです。「楽観」か「幸福感」にしか議論の余地は残っていないでしょう。
群集心理で厄介なのは、株価の上昇それ自体が上昇要因となり得ることです。つまり、なぜ上がっているのかと聞かれたらその答えは「株価が上昇しているから」ということになります。今はまさにこれが起きている状態だと考えます。
「イングランド銀行を潰した男」として有名なジョージ・ソロスは、上昇が上昇を呼ぶこの動きを「再帰性」と名付けました。再帰性が続く限り、株価はどこまでも上がり続けます。
しかし、それはある時突然転換点を迎えます。その時に投資家は現実に返り、割高すぎる株価に恐れを成すようになって、突如売りに転じます。この際も再帰性が再現され、下落が下落を呼ぶ状況になるのです。
なお、ジョージ・ソロスは再帰性理論を唱えながら、バブルに乗るよりもその崩壊による空売りで利益を上げることを得意とします。これは、再帰性がその逆転現象を生むことを確信しているからこそかもしれません。
ジョージ・ソロスも上記のテンプルトンと同じような株価の説明を行なっています。これによると、現在は第3段階と第4段階を繰り返している局面と言えるでしょう。
<第1段階>
第一幕、つまり初期段階では、このトレンドはまだ理解されていない。<第2段階>
続いて訪れるのが、加速段階である。その時にトレンドは理解され、市販的なバイアスによって強化される。この時点で、すでに株価は均衡水準から懸け離れてしまっている。<第3段階>
その後、試練の段階がやって来て、株価は一時的に下落する。<第4段階>
確立期。もしもバイアスもトレンドもこの試練を克服すれば、どちらもかつてないほど強くなり、結果的に均衡から懸け離れているはずの株価が、しっかり確立してしまう。<第5段階>
だが、いずれは誇張された期待を、もはや現実が支えきれない正念場がやって来る。<第6段階>
次が「黄昏(たそがれ)の期間」で、ゲームに参加し続けている者たちも、自分たちのやっていることの危うさに気づいている。<第7段階>
とうとう転換点に到達し、トレンドは一気に下向きになり、バイアスも逆転する。<第8段階>
その後に発生するのが「暴落(クラッシュ)」として知られる、破局的な下向きの加速だ。『ソロスは警告する』
いずれにしても、私たちがやるべきことは成長する企業を安く買うことに尽きるのですが、今マーケットがどの位置にいるかを認識しておくことは、大きな失敗を避けるためにも役に立つでしょう。
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