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以下、文章化したものです。
今回は中国株について考えてみたいと思います。
独裁化?中国のカントリーリスク
まず中国株はここにあります通りナスダック・ゴールデン・ドラゴン指数というアメリカの中国株をまとめたインデックスというものになっているのですが、なんと年初からの高値、これが2月だったのですがそこから下落率がおよそ50パーセントにも及んでいるということです。
特に直近の1週間というところでは一気にガクンと下がっている状況になっています。
日本株は比較的堅調、米国株に関しては最高値をどんどん更新するといった状況で、相場環境としては悪いわけではないと思われる中で中国株だけが大きく下がっています。
これはもしかしたら投資のチャンスかもしれないと逆張り派の人には見えるわけです。
何故下落したかというとその要因は明確にあり、個別の銘柄について見てみますと、中国を代表するハイテク銘柄アリババはずっと堅調な業績、株価を続けてきたのですが、この1年は19.4%の下落、年初に入って特に下落が起きています。
同じようにテンセントというゲームや「ウィーチャット」と呼ばれるこのラインみたいなサービスもやっているのですが、これもいまいち冴えない展開です。
それから特に極端に落ちているのがニュー・オリエンタル・エデュケーション・アンド・テクノロジー・グループです。
中国で教育サービスを行なっている会社ですが、なんと過去1年の下落率が86%、株価が50分の1になってしまっていてかなり極端な状況となっています。
また、滴滴は中国のウーバーみたいな会社ですが、それも6月30日に上場したのですが、そこから3割ほど下落しているというところで、やはりいずれの株価も冴えないというところです。
直近で一番インパクトが大きかったのは9割下落した教育関連銘柄です。
これに限らず教育関連銘柄が大きく下げているのですが、ここが一番インパクトが大きかったというところになっています。
一体何が起きたのかというと下落の理由としましては、中国政府が学習塾への規制を強化するということを行いました。
具体的には小中学生向けの学習塾を非営利団体、つまり利益を出さないような団体にすべきだということを言ったのです。
どういうことかというと、中国というと長年一人っ子政策が続いてきた結果、子ども1人にかける教育費というのがバカにならなくなっています。
その中でもちろん受験戦争もあるので、各家庭では教育費とか塾とかに多額のお金をつぎ込みます。
そこが一つ大きなビジネスの舞台となっていたのですが、一方で家計にとってはそこにお金を沢山払わなければいけないというのは負担になってしまうので、中国政府としてはそれは民衆にとって良くないという風に考えた結果、この学習塾を非営利団体にしようということになりました。
となると当然これまで利益を目的としてやってきた上場企業の教育関連企業というのは、利益を出していけないということになってしまうので、これはとんでもないことです。
先ほど株価が9割下落したというのもこれを見れば頷いていただけるのではないかと思います。
さらには中国でウーバーのようなフードデリバリーが盛んに行われていまして、銘柄としては美団というところがやっているのですが、ここの配達員に対して待遇改善すべきだという風に言いました。
これは最低賃金補償、作業負担の緩和というところです。
個人事業主扱いでかなり都合良く使えてきた配達員を使えないということになると、やはりこれは負担になるということは間違いありません。
ただアメリカや日本でも同じような状況になっているので、そんなに極端な話ではないかと思います。
一方で中国ですから政府の一言が全てになるので、政府がやるといったらかなり極端にやられてしまう可能性だってあります。
実は滴滴が直近で、ADR米国預託証券というのですが、アメリカ上場しました。
しかし今中国の政府はアメリカではなくて、香港市場に上場すべきだという風に言っています。
しかし滴滴はこれを無視してアメリカに上場しました。
すると中国政府は何をしたかというと、この滴滴に対して嫌がらせをしてきたのです。
またこれに限らず中国ではIT産業への規制がどんどん強まっているというところがあります。
中国でのアリババ、テンセントというのはものすごい大きくなってしまいましたから、何かするにつけて独占という問題が発生してきます。
中国ではこれをよしとしない政府の方針があります。
何故かというとこれらの企業が力を付けてくると、いつか中国政府が寝首を掻かれるのではないかということを心配してるのではないかと思われます。
実はこれに関してエピソードがありまして、アリババの創業者であるジャックマーがこのアリババの子会社であったアリペイをを上場させようと計画していました。
ところがそれと前後して創業者のジャックマーはある講演で中国政府を批判するようなことを言いました。
するとその後このジャックマーはしばらく行方不明になりました。
そしてアリペイの香港上場を目指していたのですが、それも取りやめになってしまうというぐらい中国政府に歯向かうような動きをするとかなりきつく取り締まられます。
逆に言えば中国政府はこの巨大IT企業を恐れているということではないかと思います。
中国株もアメリカ株と同様にハイテク株を中心に上がってきましたが、今後中国政府から成長や活動が疎外されるようなことがあると、そこの成長にブレーキをかけるということにもなってしまいかねません。
あとデータ保護という側面もありまして、こういったIT企業はアメリカなんかに上場されてしまうと、あらゆる情報を投資家に開示していかなければなりません。
ところが中国というと国内で隠しておきたいような事も結構あったりするかもしれません。
となるそれを投資家に開示するために、中国政府が何か不都合な情報が外に漏れてしまう可能性があるということを考えると、そういったリスクは中国政府としても排除しておきたいのではないかなという風に考えられるのではないかと思います。
このように個別の事象で言えば学習塾とか美団の配達員ですとか個別の銘柄に対して大きな影響を与えるものもありますし、またこの中国の民間企業ハイテク企業に対する締め付けというのは中国政府が恐れているからこそ一層強まっているという側面があります。
滴滴の米国上場についても説明しますと、中国政府は香港上場を推奨していました。
アメリカなんかに上場するのではなくて香港に上場しろよという風にかなり強く言いました。
何故かというと先ほど説明した通りアメリカに上場すると、アメリカに貴重な中国国内の情報を持って行かれてしまうのではないかという懸念があるのと、今香港は昔の香港ではなくなってしまいました。
中国本土と同様にキツイ締め付けのある場所になってしまいました。
すると多くの金融機関が香港から逃げてしまおうと考えます。
こうなってくると元々アジアの金融センターと言われていた香港の地位が危うくなってきます。
そこで中国としては新しい元気のある企業をアメリカではなくて香港に上場させることで香港の地位を維持しようという風に考えました。
ところがこの滴滴は中国政府の意に反して米国上場を決定しました。
これ何故かいうと実はこの滴滴はアメリカのウーバーもそうなんですが、利益を出していないのです。
なかなか利益の出づらいタクシー配車のビジネスモデルなのですが、その辺もあって香港には上場基準を満たさなかったので、この際アメリカに上場してしまおうという風に考えたのではないかと思います。
中国政府の意に反して上場するということになりました。
ちなみにこの滴滴にはあのソフトバンクのビジョンファンドも最大株主になっていますから、その意向も強く働いたのではないかという風に思われます。
6月30日には米国ADR上場しまして、公開価格が14ドルというところでした。
しかし7月2日に中国当局はこのディディに対してデータ保護をめぐり調査に入るという風に言いました。
この中国政府のデータ管理局が調査に入るということはもうほとんど出来レースというかクロが決まったようなものなんです。
何かしらいちゃもんを付けて悪いようにその企業を締め付けにかかるわけです。
実際にこの7月4日にはこの中国のアプリストアからディディのアプリの削除命令するというような事になりました。
データ保護に問題があったという風に言われているのですが、中国としては政府の意向を無視したのが許せないということではないかと思います。
そしてこういった事件がありましたからディディの株価は一度上がったもののやはりが大きく引き下がるということになります。
14ドルで公開しましたけれども今株価は8ドルぐらいで取引されています。
半分近いところに下がってしまいました。
アメリカ的感覚で言えばこんな上場直後に色んな問題が発生するというのは、あってはならないことですから、いかにもアメリカらしく集団訴訟が起きます。
滴滴としては株主からも訴えられて、そして中国政府から睨まれて、まさに八方塞がりというような状況です。
そんな中で7月29日のウォールストリートジャーナルの記事に、上場廃止を検討しているというものが出ました。
もう中国政府には抗えないという風にこの白旗を振ったのではないかという風にも見えます。
同じような記事が出ていまして『滴滴が米国駆け込み触れた中国共産党の逆鱗』ということでまさに滴滴は逆鱗に触れてしまって、ただ投資家にとっては中国政府がこのような民間企業に対する締め付けをより強めていることを強く意識させるような結果となってしまったということも間違いありません。
立て続けに教育とか配車サービス、さらにはフードデリバリーといったところも規制を強めていますから、中国の民間企業はますますやりにくくなるということが考えられます。
以上説明したように中国にはこのような国におけるリスク、カントリーリスクが存在しているということは間違いありません。
それは政府の意向により突然死、教育サービスを非営利機関にしろとを言ったら株価9割下落してしまうと、さらには自由な経営戦略の妨害、制限がされてしまう。
米国に上場するなと言われてみたり、アリペイに関しても上場が出来ないということにもなってしまいました。
当然発言や行動に関しても制限が加わってしまいます。
少なくとも今後国外にデータを持っていかなければビジネスが出来ないというような事業が困難になってくるのではないかと思います。
結果中国のIT企業なんかは中国国内に留まらざるを得ない状況になってくると考えられます。
当然中国の国の経済は大きいのでそれでも問題にならない部分もあるかもしれませんけれども、やはりそれだけでは済まない部分もあるのではないかと思います。
さらには政府を脅かし得る事業、巨大IT企業がこれ以上大きくなると、ますます政府にとって脅威になってしまう可能性がありますから、成長の天井が出来てしまうのではないかということが考えられます。
またジャックマーに代表される優秀な経営者にとっては、政府を批判後一時行方不明になって締め付けを食らうということがわかっていると、優秀な人ほど中国で起業しようとは思わなくなってくるわけです。
ある程度お金を持ったら海外に逃亡してしまった方が幸せな人生をおくれるという風にも考えるのではないかと思います。
そうやって優秀な芽がどんどん摘まれてしまうという可能性が十分に考えらます。
ここに書いていませんけれども確実にもう1個あるとしたら、中国の金融や不動産の問題です。
中国にはゾンビ企業と言われる、経営効率が非常に悪いのに政府とか地方政府の意向によって生かされている企業が少なからず存在します。
そこが倒産するようなことになってくると、今度は金融機関にそれが波及する可能性があります。
一方でも不動産というところもありまして、中国の不動産はバブル的に高くなっている部分があります。
私も2019年の12月のコロナ禍直前に中国に行ったのですが、大きいマンションが建っているのですがその周りは何もないようなゴーストタウンのような街が広がっていました。
これはいずれおかしなことになることは間違いないという風に感じたところであります。
金融や不動産は近寄ってはいけないというところがあります。
しかし一方で経済というのは無視出来なくて、何故なら2027年には中国が米国を抜いて世界一の経済大国になります。
これはもうほぼ確実です。
だからどんなビジネスをするにしてもやはり中国は避けられないし、先程中国国内だけの企業になってしまうというような話もしましたが、それでも世界最大の国を抑えていることは間違いないので悪くないのではないかという風に考えることも出来ます。
一方でそこから先の将来性に関しては疑問視されています。
中国これまで経済成長してきましたけれども、自浄努力、自由競争を用いたことによって、大きく成長してきたというのも間違いないのですが、もう一つ大きいのはこの人口の推移というのがあります。
人口が増え続けていて今14億人というところです。
これまでは生産年齢人口が増えてきて、特に近年は30代40代とどんどん働いてお金を持つような人たちが増えてきたので、だからこそ不動産マンションなんかも買う人がいたわけです。
これも私が実際に中国に行った時に感じたことですけれども、中国の電車に乗るとやはり40代50代の人が非常に多くて、おじさんおばさんの国だなという風に感じました。
この世代は一番お金持っていますから消費も激しくて、それが経済の拡大に繋がっています。
一方で時代が進むにつれて高齢化していきます。
しかも一人っ子政策でどんどん子供が生まれないのに、40、50代の層はどんどん年を取っていく、少子高齢化が日本よりも非常に極端に進んでいくということが考えられます。
となると必然的にこの経済成長率というのは下がってくることも間違いないという風に言えます。
だからこそ中国は一人っ子政策を撤廃して2人にして、つい最近は3人までOKというようなことも言うようになりました。
それほど少子高齢化を恐れています。
となると中国が経済力がなくなってしまうということになると、この国際的な立ち位置というのもやはり危ぶまれてくるということは間違いありません。
これも中国に行った時の話なんですけれども、HISの現地のガイドさんとお話ししたのですが、子供が一人いるということなんですが、うちは子供3人いるんですけれども3人目ということになると信じられないというようなことで、一人でとにかくお金がかかるからとてもやってられないよというようなことを言っていました。
だからこそ習近平はこの教育費を少しでも下げることで、なんとか2人目3人目の子どもを産んでほしいという風に考えています。
それが国家の力というところで繋がってきます。
習近平が何を考えているのかというと、実はかなり独裁化が進んでいます。
元々は中国の総書記というのも任期が決まっていたのですが、習近平に関してはずっと任期無しというところで、皇帝のようになっています。
つまりほぼ独裁政治と同じ状況です。
中国共産党の中でも権力争いがあるのですが、敵対する勢力をことごとく粛清しています。
粛清といっても殺すわけではないのですが、都落ちさせるようなことをやってきています。
この人は元々文化大革命の時に親父さんが不遇な目に遭って、ずっと田舎で苦労してきた人です。
だからこそ逆襲的なことで生きているという部分があるという風に感じています。
そうやって権力を握ることに活路を見いだしているわけです。
独裁者が最も恐れるのは実は外国の脅威ではありません。
表面的には対アメリカのような事をよく言いますけれども、実は本当に彼が恐れているのはそっちではないと思います。
何より民衆の蜂起を恐れています。
内側から中国が崩れてしまうことになると独裁者というのはその時は必ず殺されてしまいますから、何としてもそれだけは避けなければならないということになります。
この民衆の蜂起を恐れているからこそ香港のような異分子は習近平にとってはあってはならないことですし、また外国からウイグルの話はおかしいんのではないかという指摘を受けると、それ発端に反政府的な動きが広まると良くないので、私が中国に行った時はテレビでウイグルがいかに中国政府に豊かにしてもらっているんだということが、テレビでガンガン流れていました。
結局は中国が恐れているのはやはり内部の反乱というところになってきます。
それを抑えるためにはある程度IT企業を抑え込んで、経済が成長しなかったとしても、それよりももはや自分の政権が安定する方が重要だと考えているのではないかという節が見てとれます。
私の師匠であります経営コンサルタントの大前研一さんは、習近平のヒトラー化という風に言って、この独裁的な動きを強めているという風に言っています。
逆張りはアリ?中国に投資するなら…
さてこのタイミングでそんな中国への投資も考えてみようというところです。
何故わざわざそんなことをするのかというと、中国政府は難しい側面もあるのですが、一方でやはり経済というのはかなり強く、やがては世界一の経済大国になることはもうほぼ確実視されています。
さらにはこれだけ株価が下がるといよいよ買い時もあるのではないかという風に考えられます。
もし中国投資したい場合はどうしたらいいかということについて考えるのですが、とにかく個別企業に関しては今回のようにピンポイントで狙われる可能性があります。
なので特定の企業だけに投資しているのは、よほど中国に関して詳しくない限りやめた方が良いのではないかと思います。
資産を一気に失わないためには少なくとも4、5社以上に分散するのが大事なのではないかと考えます。
さらには国家の成長は鈍化してきますから、国全体の投資というと必ずしも上手くいかないかもしれません。
これまでの国全体が成長すれば何でも良いというところではないのではないかと考えられます。
特に中国の時価総額の大きな部分を占めているのは、未だに先ほど少し危険だという風に述べた、不動産や金融です。
それらはもしかしたら避けたほうがいいかもしれない、一方でハイテク企業に関しては成長性に対する割安感が強いとも見えています。
何故ならPERに関しては今アリババが23倍、テンセントが22倍と成長企業に対してはかなり割安な数字となっています。
この成長と割安の目安なんですがPEGレシオというのがありまして、PERを年間の成長率では割ります。
するとアリババに関しては昨年の1年の売上成長が40%もあります。
この23を40で割ると1を割る形になりますし、テンセントについても22と30ですから、これもPEG1未満というところで、かなり割安感強いというのは確かなんです。
もちろんピンポイントで殺される可能性があるので、もし何かあった時のダメージというのは大きいのですが、ただもしそうならなかった場合は結構単純に上手くいく可能性も高い投資ではあります。
したがってこの成長性に対する割安感を買うというのだったら、逆張りに検討する余地は十分にあるという風に考えます。
もちろん最初に言ったように個別1社とかで限定するとやられてしまう突然死の可能性があるので、分散する、あるいは投資信託とかETFとか銘柄分散を考えるというのは一つ検討すべきところなのかなという風に考えます。
そういう時にどれ買えばいいのかということなんですが、必ずしもおすすめするわけではないですが、私が取り上げるとしたらウィズダムツリー中国株ニューエコノミーファンドというのがあります。
これはアメリカのETFなので上場していて、アメリカ株を取引出来る証券会社から買うことが出来ます。
これは基本的には中国株のファンド投資信託なんですけれども、これを単純に中国のインデックスというところになると、先ほどご説明したような不動産とか金融とかそういう少し先行きが怪しそうな企業が結構入ってきます。
もちろんアリババやテンセント、その他ハイテク企業も大きく入ってくるのですが、そっちだけだと良いものとゾンビ企業的なものと両方入ってしまいます。
ウィズダムツリー中国株ニューエコノミーファンドというのはその中国の中から、国有企業とかを除いたファンドというところになります。
少なくとも長期投資なら中国全体にあえて投資するよりも、この国有企業とかを除いたもので構成されているところウィズダムツリー中国株ニューエコノミーファンド結構面白いのではないかという風に今回感じたところです。
構成銘柄としては説明したようにテンセントとかアリババなど、とにかくですね成長している企業が入っています。
これまでもこの中国のインデックスを上回るような業績を上げてきたというところがあります。
これがETFの推移です。
5年間で245%およそ2.5倍になっているというそういうものです。
この中でハイテク株の下落によって一時下落していますから、これは逆張りのチャンスと言えばそうかもしれないというところではあります。
もちろんETFなので個別の分析というのはなかなか難しいですが、少なくとも目をつぶって投資するなら、下手に個別株に投資するよりはこういったものに投資した方が安心感はあるという風に考えます。
経費率も0.32%ということですから、そんなに高くないというところになります。
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