【超高成長】和製グレート・グロース銘柄「リクルート」を分析

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以下、文章化したものです。

 


今回は日本の成長銘柄として代表格であるリクルートについてお話ししたいと思います。

成長銘柄、特にグレートグロースと呼ばれる大型であっても成長を続ける銘柄というとGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)などに代表される米国株にしか目が向いていない人が多いのではないかと思います。

確かに日本企業の中にはそういった規模が大きくて且つ成長を続ける銘柄というのは必ずしも多くありません。

しかしそんな中で気を吐いているのがこのリクルートということになります。

実はアメリカで稼いでいた!

まだ第1四半期の決算が終わっただけですが、早くも通期第4四半期までの業績予想を上方修正するということを行いました。

営業利益に関して、期初予想としての営業利益の予想が1800~2450億円だったところが、わずか3カ月で2700~3400億円と、何と39~50%も上方修正するということを行いました。

何故こんなにも上方修正を行えたのかというとその要因がindeedです。

このindeedという就職情報検索サービスがものすごい伸びたわけです。

それが特にどこで伸びたのかというと、米国市場における採用競争の過熱というところにあります。

このindeed、斎藤工さんと泉里香さんが出演するCMで有名です。

日本でCMをやっているのですが、実はメインの売り上げは米国というところになっています。

この米国が今景気が非常に好調です。

これは「ISM製造業景況指数」と呼ばれる米国の景況感を表すものなんですが、直近でおよそ60くらいあります。

この数値が50を超える好景気と言われていまして、一方で50下回ると不景気という風に言われています。

最近では昨年の3月ぐらいにコロナショックでものすごく下がったのですが、その後一気に持ち直し、今ますます景気の過熱感があるということになっています。

アメリカというと日本よりも早くワクチン接種が進んだので、それによってどんどん人々が動いて、さらには物の生産も活発になってきています。

物の生産やサービスが活発になるということは、当然そこに従事する人材が必要というところになります。

特にアメリカですと一時的に景気が悪化した時に、「レイオフ」と言ってすぐに人をクビにするところがあります。

それは逆に言うと必要な時にはいつでもすぐに採用したいという動きがあります。

それで人がとにかく今足りないから取らないといけないというところで使ったのがこのindeedというところになってきます。

リクルートがやっているアメリカの事業というと、あまりピンとこないかもしれません。

日本におけるリクルートというと、リクナビ、ホットペッパー、そしてじゃらんやゼクシィといったものをやっている会社だと認識している人が多いのではないかと思います。

しかし実際に最近の業績、第1四半期に限った業績を見てみますと、なんとHRテクノロジーすなわちindeedにおける利益がなんと第1四半期では一気に稼ぎ頭になってきました。

しかもそのうち売上の77%は米国におけるものという風になっています。

リクルートとはもともと日本国内を中心とする会社だったのですが、いつの間にかここで見る限り半分以上を米国で稼ぐような会社に様変わりしてしまったという風に言えます。

こういった動きを受けまして、多くのアナリストなどにとっても予想外の出来事でしたから株価が上昇しています。

この1年間を見ますとこれまでも上昇を続けてきたのですが、直近でもこのを業績予想の上方修正を受けて一気に20%ぐらいも上がるという動きになっています。

成長の所以

こういった米国のindeed事業が非常に好調だということで、意外性を持たれた方も多いのではないかと思います。

ここで改めてリクルートの歴史について振り返ってみたいと思います。

リクルートというと1960年に大学新聞広告社として創業しました。

これはいわゆる大学新聞に企業から広告を募って、人材募集をして、就職先を掲載しているといった事業から始まったものです。

それがやがては同じ情報誌を扱うということで、今で言うじゃらん、それから中古車のカーセンサー、それから結婚のゼクシィ、飲食のホットペッパーなど様々な情報誌を創刊することで勢力を拡大してきました。

さらには2011年から海外人材会社を相次いで買収とあります。

実はこれには契機がありまして、リクルートというと結構大きい会社だったのですが長い間非上場でした。

何故非上場だったのかというとリクルート事件というのがありまして、これは国会議員に上場直前の未上場株を渡す、いわゆる賄賂というものを配ったのではないかということが言われていましたから、そういったこともあってなかなか上場出来ない会社でした。

そのリクルート事件が起きたのが1988年なんですが、そこから20年以上を経まして、ようやくリクルートが上場するという機運が高まってきました。

上場するには拡大していかないといけませんから、2011年から海外の人材会社を相次いで買収するということを行いました。

その中の一つとして2012年には今説明してきたようなアメリカのindeed社を買収します。

これで人材検索サービスというものを手に入れました。

これらの買収なんかもありまして、成長戦略を描いた上で2014年に東証1部に上場したというリクルートの歴史があります。

つまりこの会社の特徴としては実は一つの物に留まっているのではなくて、次から次へとどんどん新たな事業に手を出して成長をしてきたというところがあります。

そしてこのindeedが非常に儲けているというのは、その内の一つが実を結んだ結果と言えるわけです。

もっと言えばそれを可能にしたこの資金力というのは、まさに古くからやっている情報産業に根差したものだという風に考えられます。

情報誌としては非常にシェアが高くて、例えば結婚式場というところになるとやはりゼクシィを買いますよね。

そういった中で利益率を高めてお金をたっぷり持っている中で、indeedだったり、海外の企業をそれなりの高い金額を払ってでも買うことが出来たわけです。

ではこれらを踏まえてリクルートの強みというところを改めて考えてみたいと思います。

特徴と強みとしてはまず情報産業に軸足を置いているというところがあります。

1960年創業ですから実に半世紀以上に渡って、情報、特にライフスパンにおける情報を扱ってきました。

もともと大学生の就職というところから始まったのですが、結婚や家を買う、車、日常に関していえばホットペッパー、旅行のじゃらんとそういったところに取り扱う情報というのを増やしてきました。

もっと言うとそれをより効率的により情報が力を持つ時代になったのが、このデジタル時代というところになってきます。

私が大学生の時はよく駅前で分厚いホットペッパーの紙をお兄さんたちが配って歩いていたのですが、それが今やスマホになってからコストは下げて、情報価値というものは上がってきたわけです。

デジタルシフトを早く進めたことによって、リクルートはさらに強みを増してくるとを同時に、お金もどんどん溜まってきたというところになります。

そしてここの素晴らしいのは人材教育です。

実はこの会社というと就活をしてる人なら聞いたことがあると思うのですが、リクルートに入ったからには、入ってから10年以内に辞めて独立しましょうというような空気があります。

実際にリクルート出身で独立して色んな企業を作ったという人は枚挙に暇がありません。

そういった風土があるので当然この10年間のうちに何かを自分で出来ることを見つけないといけないので、社内でやることは必死なわけです。

だからこそ新たな事業に手を出すということが出来るのです。

近年はこれが少し拡大しまして、今では10年ですぐ出て行けというほどではないようなのですが、一方で若い人に新たな事業を任せて、それをやがては社内の一つの大きなを軸として育てていくというそういった風土があるという風に言われています。

こうやって様々な事業に手を出すことで、リクルートは巨大な企業ですから、先にやっていた会社があったとしても、後から乗り出して言ってもすぐにその先行企業を上回るような力、財力、知名度、ノウハウというのもを既に持っているわけなんです。

もちろんそれだけではなくてリクルートで有名なのが”ビル倒し”という営業力にあります。

とにかくビルを一番下から上まで全部営業をかけるほどの強い営業に対する根気というものを要請されるとも言われます。

そういった中で様々な人材を中にも外にも抱えるというような状況になってきていました。

この強みというのは簡単に崩れるものではないという風に考えます。

さらにはですねM&Aが今や日本で指折りの上手い会社になってきたというところがあります。

実は最初から上手くいったわけではありません。

2011年頃に結婚事業を海外展開をしようとして失敗しました。

しかしその時の失敗を糧にグローバルでやるならM&Aを上手くやっていかなければいけないということで、失敗を糧に様々な企業を買収していきました。

これが今の成長に繋がっています。

特にそれを発揮したのが今回のindeedということになってきます。

この成長をどうやって見るのかというと一つ役に立つのがこのアンゾフのマトリクスというものがあります。

もともと企業が一つの分野で事業を始めるとして、それを軸足に一つは製品軸というのがあります。

例えばジュースを作っていたとしたら、次はお菓子を作ってみようかとか製品の幅を広げていくことで、自分が取り扱える市場を増やしていくという

さらには市場軸というのがあります。

これは例えば最初は大阪だけで初めていただけれども、それを東京に進出するとか、あるいは次は東京から世界へ進出するとかそういった地理的な拡大というのを目指して言ったりします。

リクルートこの流れにまさに沿っていまして、最初は就職情報から始めたところから、さらには国内の様々な情報というところでじゃらん、ゼクシィ、ホットペッパー、SUUMOといったものに進出していきます。

そして今度は国内だけでは留まらないということで、海外の様々な人材派遣会社を買収しました。

これは実はそんなに利益率も良くないですし、正直私も上手くいっているとは思っていないのですが、ただ海外の人材というところに足を置いたところが大きくて、単に人材派遣をやるのではなくて、そこに培ったデジタル技術なんかも生かして、indeedの買収に至ったわけです。

このindeedを上手く成長させたことによって、リクルートは大きく成長してきました。

もちろんindeedがすべてではなくて、この下にあるような国内事業はまさに”キャッシュカウ”「金のなる木」とも呼べる事業なので、これらのお金を作る力が海外の買収というのを支えているのもこれもまた間違いありません。

お金もあるし、技術もあるし、そして海外での買収が上手くなったということは、今後も同じパターンで成長を遂げる力があるという風に見えるわけです。

これがまさにアメリカのGAFAMがやっていることに他なりません。

例えばFacebookで言うならばFacebookを軸に、ワッツアップ、インスタグラムとか皆さんが知っているものをかなりの高いお金で買収することによって、自社の安泰というのを築いていきました。

Googleなんかも検索を軸にそこで得たお金を自動運転とかそういったところの買収したり、YouTubeを買ったというのも大きいです。

そういった買収を続けることによって軸足を置きながら、関連事業を拡大していくということに成功しているわけなんです。

日本の企業はなかなかそういったことが上手くないのですが、リクルート関してはそれをする素地能力があるという風に十分に考えられます。

買い?リクルートの今後は?

ではリクルートこれからどこに向かうのかというと、一つ私が期待しているのがこのAirです。

AirPAYを出しましたけれども小さめの飲食店に行くとオダギリジョーさんが持っているこの機械でカードを読み取ってもらったりしたことはないでしょうか。

これはコロナ禍でもまさに進んできたのですが、キャッシュレス決済において個人のお店だと導入するのはもともと高額な費用が必要だったりとなかなか容易ではありませんでした。

ところがこれをリクルートがAirPAYという形で、安く様々なお店に導入することによってそのシェアを広げています。

もともとホットペッパーとかで小さなお店との繋がりというのは深い会社でしたから、これを皮切りに経理システムとかPOSシステムとかそういったものにどんどん入り込んでいくことが可能になっているわけなんです。

これはまだ収益事業とは言えないのですが、ここからどんどん安定収益事業を生み出してくるのではないかということが想像出来ます。

まさにコロナ禍というのはキャッシュレス決済とかデジタル化を追い風に受けるというところで言っても過言ではないありません。

ではリクルートはこれからでも買えるのかということについてです。

株価に関して過去5年のチャートなんですが、およそ4.5倍になるほど大きく伸びてきています。

特にコロナで大きく下がった時からはもう2倍になっていると言うところです。

目先の上方修正がありましたから、その上方修正した業績に対してPER36.55〜44.7倍と若干高めには見えるのですが、一方でEPS一株当り利益の年率成長率はこれ15%程度となっています。

リクルートというと上場した時から高い評価を受けていまして、PERは30数倍辺りで推移していました。

今後も成長が続くとしたら30数倍のPERが維持されるとしたら、このEPS成長率が年率15%ぐらいが期待出来てもおかしくないかと思います。

もちろんどこかで躓く可能性もあるので確信を持って言えるわけではないのですが、良い会社であることは間違いありませんから、単純にPERが高いからといって敬遠するような企業でもないです。

今ほぼ上場来高値となっていますから、これより安い価格で買ったような人は利益確定するような状況ではないかなという風に思っています。

まだまだ余力が期待できる会社だと思いますし、株価の動向によっては私としても買いを検討したい会社であります。

もっとも、リクルートを買うというのももちろんアリですし、リクルートと同じような成長戦略を取っている会社を探すというのもアリかもしれません。

ぜひアンゾフのマトリックスというところはぜひ長期投資をされる方は意識して見ていただくと、新たな銘柄の発掘に繋がるかもしれないというところは申し上げておきます。

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