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以下、文章化したものです。
今回お話しする銘柄はパン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングスです。
聞いても何のことかわからないと思うかもしれません。
要するにドン・キホーテです。
ドン・キホーテは32期連続増収、そして営業増益を記録している優良企業と言えます。
この企業は果たして長期投資目線で買いなのかどうかということについて見ていきたいと思います。
買い物を「エンターテインメント」に
まず業績を見てみましょう。
見事に右肩上がりという風になっています。
これが32期連続増収、営業増益ということになっています。
これほどの好業績を続けている会社といえば、私の知る限りは日本企業ではニトリ以外ではここぐらいです。
当然これだけ業績が上がっていると株価も上昇していまして、過去5年について見ると2.5倍ということになっています。
もっと長期で見ればもちろんもっと伸びているということになりまして、当然業績が伸びれば株価も伸びるということになります。
これが長期のチャートで、過去10年程度で見ても6倍ぐらいにはなっているという非常に有用な銘柄ということが出来ます。
ではどんな形でこれまで成長を遂げてきたのか、その歴史を見ていきたいと思います。
1980年に創業し、1989年に府中市にドン・キホーテ1号店を構えます。
そしてどんどん店舗数を増やしていって、98年には東証2部、そして2000年には東証1部に上場しました。
そこから2004年にようやく100店舗を達成した後、ここからはM&Aを積極化していきます。
2007年にはホームセンターのドイト、そして百貨店の長崎屋を子会社化しました。
そして2015年に300店舗を達成。
そして直近の動きとして2019年にアピタやピアゴといったスーパーを経営するユニー買収しました。
これによって一気に店舗数が600店になるという状況になりました。
さらにこの買収戦略というのは国内だけに留まらず、海外に展開を進めて2021年にはアメリカのプレミアムスーパーマーケットチェーンのジェルソンズという会社を買収しました。
ではドン・キホーテどうやってこれだけ業績を伸ばしてきたのか、皆さんドン・キホーテのお店訪れたことがあるのではないかと思います。
私も学生時代、大学が渋谷にも近かったので行ったりしたのですが、安くて品ぞろえが豊富で行って楽しいというところがありました。
沢山物が積まれてそこの中から宝探しをするような感覚がありました。
これこそがドン・キホーテの強みとなっていまして、『圧縮陳列』と呼ばれるものです。
店舗に行かれた事ある方ならわかる通り本当に色んな商品がうず高く積まれています。
これによってドン・キホーテが達成したのが、ワクワクドキドキ感という感覚を消費者に植え付けることが出来て、また行きたくなるように買い物にアミューズメント性を見出したというところが、ドン・キホーテの勝ち筋ということになっています。
もともとここのコンセプト、ドン・キホーテになる前は泥棒市場というぐらいの名前でしたから、とにかく掘り出し物を見つけるような感覚でした。
さらに最近では特に中国などからのインバウンド顧客が注目され、ここからの売り上げが非常に多かったということで、コロナ禍になる前の5年ぐらいはそのインバウンド需要というのもありまして、非常に大きく伸びてきたわけです。
そして改めて成長要因としてまとめますと、この圧縮陳列にエンタメ感の演出というのが非常に重要になってきました。
この”買い物のエンターテインメント化”というのは、長期で続く流れだという風に私は考えています。
何故かというと必要なものだったらで正直ネットで買ってしまえばいいですよね。
なんならAmazonで定期購入もあるぐらいです。
わざわざ足を運んで店舗で買うというのはそれだけで手間で、それならネットで決め打ちで買ってしまえばいいということになります。
一方でとにかく時間を潰すというのもそうですが、行ったら楽しいという感覚が得られるのがこのエンタメ感で、これが買い物に求められるという時代ではないかと思います。
私も千葉の比較的田舎に住んでいるのですが、例えば休日にやることがなくて、でもどっか行きたいなーという時はイオンモールとかに行ったりします。
それも一つのエンターテインメントになるのではないかという風に思います。
ドン・キホーテもその範疇にあるということです。
またこの圧縮陳列というのが新規出店やコスト削減にも寄与しているのではないかと考えられます。
ドン・キホーテはカテゴリーでお店を分けていまして、一つは郊外店で、郊外店というと店舗が広く、出店もそんなに沢山のお金もかかりせんが、都心の店舗に関しては賃料が高いわけです。
そんな中で圧縮陳列をすれば小さいスペースで沢山の物を置くことが出来ます。
それが一般的にはマイナスに働くのですが、ドンキホーテはそれを逆手にとって、それをエンターテイメントに昇華させてしまったというのは勝っている要因ではないかという風に思います。
当然賃料も抑えられますから、コスト削減にも寄与するというところになってきます。
なんならダンボールのまま置かれていたりするので、それも余計なコストをかけていないということになります。
さらにM&Aも活用した店舗拡大というのがあります。
ドイトや長崎屋に始まり、直近ではユニー、そしてアメリカのスーパーマーケットを買収して、M&Aで店舗数を増やしてきました。
それが今では600店舗というところになってきているのですが、成長意欲旺盛な会社でして、店舗数を拡大させてきたこれが一つの大事なことになります。
小売店の良いところは、小売店じゃないところだったらなかなか拡大戦略は限界があるというところがあるのですが、小売店に関してそのお店が流行っている限り、次から次へと同じ戦略で同じような店舗を展開することで、拡大の上限がないというのがあります。
そこに拡大意欲というのがあれば長期に渡って、勝利の方程式が揺らがない限り成長を続けられるといった状況になっているのではないかと思います。
すなわちこの買い物のエンタメ化に成功し、そしてそこをテコに積極的に拡大戦略を取ってきたというところになってきます。
ドンキのこれから。拡大を続けられるか!?
これからを見通す上ではまず足元を見るということになります。
国内のドン・キホーテに関しては郊外店はあまり影響はないのですが、特に都心の店舗に関しては大幅なマイナスとなりつつあります。
というのもこのコロナ禍で繁華街にそもそも人が少なくなっています。
さらにはインバウンドは全く無くなってしまいましたから、その2つの需要が一気に剥ぎ落ちてしまって今かなり苦しい状況になっています。
しかし先ほど32期連続増収、増益と言いました。
それを達成しているのが買収したGMS(旧ユニー)のスーパー事業のということになります。
皆さん巣ごもりでスーパーで食材を買う為にこのお店を訪れますから、これが今プラスに働いて結果イーブン以上ということになっています。
しかももともとこのユニーというのは非常に経営効率が悪くて、もともと利益が低かったのですが、そこに経営改善を図ることで立派に利益を出してきているのです。
それが今ドンキがコロナ禍でも持っている理由の一つとなっています。
それに海外進出もやっていて、スーパーマーケットチェーンのジェルソンズを買収して、店舗数27店舗ということなんですけれども、着実に海外への軸足を置こうとしています。
2021年6月期にはアジアに8店舗を出店するというところです。
まさにこの海外進出というのがこの会社の今後の戦略ということになっています。
国内の出店余地というともしかしたらもう限定的かもしれません。
そんな中で海外には結構前から北米とかに進出しているのですが、いよいよそれを本格的にやっていこうという流れで成長を目指しています。
かなり先を読んだ手だという風に見えます。
そのため、もともとドン・キホーテっていう会社だったのですが、パン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングス、”パンパシフィック”ですから、国際的な会社に生まれ変わるぞという思いでこのような名前にしているという風に言っています。
つまり今、勝利の方程式を海外へ持って行こうという風にしています。
実はそのためにやっているのが社長交代です。
もともと安田さんという人が創業者で、そして古参の人である大原さんという方がこれまで社長を務めていました。
今CEOになっている吉田さんという方は実はあの経営コンサルティングのマッキンゼー出身の方なんです。
つまり、もともと泥棒市場から始まった会社ですけれども、今やマッキンゼーのような人が社長に座って、洗練された企業に生まれ変わろうとをしているところがあります。
この吉田社長はもともと創業者の安田さんが北米事業をやるために、北米の社長としてスカウトしたのが始まりとなっていますから、当然海外知見というのもあるわけです。
これが、この会社が成長を継続できるかというところにかかってくるわけなんです。
一方で海外進出というと日本企業で成功した事例はそれほど多くはありません。
身近なところではユニクロ、無印良品というのは比較的中国では上手くいってるのですが、このドン・キホーテが行こうとしているのはどちらかというとアメリカとかが多かったりします。
アメリカで上手くいった日本企業はそれほど聞きません。
なのでここで上手くいけるかどうかは一つ試金石もなってくるのではないかと思います。
もっともアメリカとかでやっているのは日本みたいなドン・キホーテというよりも、スーパーマーケット事業の側面が強いです。
それで何か特徴を出していけるのかというのはまた一つ見ものでもあります。
ましてこれまでは泥棒市場から始まったお店だったのですが、マッキンゼーの洗練された人がやる中で、埋もれてしまわないかという懸念は一つあります。
今ドン・キホーテは外出制限とか繁華街での盛り上がりの欠如、あるいはインバウンド需要の損失によって厳しい状況に置かれています。
ただそれが終わってしまえば当然その逆の動きというのも起きるでしょうから、終わり次第これはプラスに働くだろうと思います。
一方でスーパーはこれまでコロナ禍の特需のようなものにはならないのではないかと思います。
経営改善を進めていますからそれが功を奏せば利益に貢献してくるのではないかということも考えられます。
ちなみにこのユニーを上手く立て直したのも今の吉田社長ということになっています。
それから国内の成長余地の見極めとまだまだ当然その売り上げの90%を占めるのが国内需要ですから、ここの新規出店やM&A通じた店舗数の拡大というのはこれから見ていただければならないとかなと思います。
ドン・キホーテの成長余地は小売店の店舗を伸ばす上では、この店舗の成長余地がどれほどあるのかというのは非常に大事です。
今国内で600店舗ですからそれがどこまで伸ばせるのかいうところには注目していかなければならないところです。
ちなみにユニクロが国内でおよそ800店舗、ワークマンが1000店舗ということですから、この辺がやはり一つの分水嶺になるのではないかと思って、今600ということを考えるとそれほど成長余地は大きくはないのかなというところではあります。
ただ業態が違えばドンキとユニーのアピタとかピアゴはまた別物ですから、そこは必ずしもバッティングしないのかなというところもあります。
さらには海外進出の成否です。
今はまだ売り上げの10%程度ですけれども、M&Aでアメリカのスーパーを買ったりました。
これを上手くいけるかどうかというのは、今後の見通しを考える上で非常に重要です。
いずれにしてもこのマッキンゼー出身の吉田CEOの手腕が試されるという展開になっています。
エムスリーの谷村さんなんかはマッキンゼーの出身だったりしますから、上手くやれば相当な成功も期待出来ます。
この辺を見極めていければと思います。
さて株価の水準ですが、PERが今期の予想で23.9倍というところになっています。
そんなに株価が跳ねるということもなくて、大体20倍ぐらいの水準で、あとは業績にしたがって上手く右肩上がりになってきたという状況です。
そもそもこの数字自体も高くありませんし、上手く業績を伸ばせるようなら、まだまだ上昇余地は十分にあるという風に考えられます。
問題はそれだけの経営の実力があるかということを最終的には見極めていこうというところにはなってきます。
買いを検討するには決して悪い状況ではないということは申し上げておきます。
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