心穏やかに投資を続ける方法-「ハードルレート」を設けよ!目指すリターンは「5年で2倍」

菅総理の退陣表明で株価は大幅上昇

菅総理退陣表明で日経平均株価は大きく上昇しました。

出典:Google

上昇した理由は大きく2点あると考えています。

一つは、自民党政権が継続する可能性が高まったことによる政治の安定性です。投資家は、不安定な政権よりも安定した政権を望みます。特に今の野党は左派とされ親企業的な自民党とは一線を画しますから、投資家からはあまり歓迎されないムードがあります。

もう一つは、こちらの方がより大きいと考えますが、今の日本に対する変化の期待と取れるでしょう。新型コロナウイルス対策では、欧米諸国よりも被害が小さいにもかかわらず、行動制限の解除に関しては大きく遅れをとっています。これが今年に入ってからの株価推移が劣後する大きな要因になっていました。

ワクチン接種が進んだからといって、なんでもかんでも解除するのがいいとは思いませんが、メリハリをつけた対策の動きとなることを期待します。

株式投資における「ハードルレート」

さて今回は、株式投資における「ハードルレート」の考え方について解説したいと思います。

これはベンチャーキャピタルなどのファンドが投資の基準となる想定収益率(IRR)の下限を設けるという考え方です。ある案件への投資を考える時、将来を予測し、想定される収益率がハードルレートを上回るなら投資を可とし、下回るなら見送るというものです。

主に事業投資に用いられる考え方ですが、株式投資にも十分に応用できると考えます。なぜなら、長期投資は株価ではなく事業に投資するものだからです。そこに大きな違いはありません。

私が基準として持っているのは、ハードルレートが年率15%、すなわち「5年で2倍」を達成できるかどうかです。基本的にはこれを上回るものには投資を実行し、下回るものは見送ります。こうすることで、投資をするかしないかの基準がより明確になるのです。

最高のリターンの裏には最大のリスク

日本だけでも4000近い銘柄があるので、どれに投資したらよいか必ず迷ってしまいます。そんな中で最高の利益を求めようとすると、自らを修羅の道に追い込んでしまう可能性があります。

何より、投資のリターンは常にリスクと表裏一体です。最高のリターンを求めようと思ったら、自分でも気が付かないうちにとんでもないリスクを負っている可能性があります。よく個人投資家が「俺はこれに賭ける」と言って一つの銘柄に大きく張り、失敗して資産を失ってしまうケースを見ます。まさにこれは、最高のリターンを求めようとした結果、その裏にある過大なリスクを見過ごしてしまったものです。

また真面目な人であればあるほど、最高のリターンを求めようとすると、血眼になってより良い銘柄を探そうとします。そうしていると、今投資している銘柄が正しいのかどうかということに常に苛まれ、利益が出ているとしても全く落ち着かない状況が続くのではないかと思います。あなたがこのような状態を望むかどうかはよく考えてみなければなりません。

そこまで行かなかったとしても、最高の利益を求める余り、いつまでたっても投資できないという現象も起こり得ます。せっかく株式投資をしているのに、ほとんど買えず、相場上昇のチャンスを逃してしまうのはもったいないことです。

ハードルレートを設けることによる大きなメリット

ここにハードルレートを設けたとしましょう。すると、あなたの投資は大きく改善することになります。

「5年で2倍」というハードルは決して低いものではありません。しかしじっくりと探せば、必ず見つかるものでもあります。少なくとも、血眼になって探すというほどのものではありません。

ハードルレートを意識すると、目先の株価に全く動じる必要がなくなります。5年先のことを見ていますから、今日の株価がどう動こうと、5年後の結果にはほとんど影響を与えません。もし株価が下がるとしたら、逆に想定されるリターンが上昇するだけのことです。だとしたら、やるべきことは株を売るのではなく、むしろ積極的に買うということになります。

もし相場全体の大暴落になったとしたら、このハードルを越えられる銘柄がゴロゴロ現れることになります。そんな時は、どの銘柄が一番よいかなど考える必要はなく、ハードルを越えられる銘柄をどんどん買い込んで行けば良いのです。色々な銘柄を買えば、リスク分散にもなります。

昨年3月のコロナショックで下がった銘柄は、その大半が今底から2倍近くに上昇しています。こんな時にどれがいいかなど迷っている暇はなかったのです。これは私の大きな反省でもあります。

ダメな銘柄は売り、良い銘柄は持ち続けろ

もっとも、より重要なのは買った後の行動だったりします。

5年もあれば当初の想定通りにいかないことも珍しくありません。逆に、当初の想定を大きく上回り上昇していくものもあります。(ここで言う「想定」とは株価の動きではなく、あくまで業績の動きのことです。長期投資家がベットしているのは株価ではなく、その企業の価値です。)

このような状況があるからこそ、損切りは必要です。ダメだと思ったら潔く撤退し、より良い銘柄に入れ替えることで投資の精度を高めていくことが必要です。

一方で、5年以内に2倍を達成したからといって、すぐに売却してしまうのもあまり良いとは言えません。なぜなら、良い銘柄になるほど株価はそこから加速度的に上昇していくことも珍しくないからです。むしろ、ファンダメンタルズが要因で上昇したなら、それまで気づいてなかった投資家が買いに回り、さらに上昇する可能性の方が高いと言えるでしょう。だからこそ、良い銘柄こそ持ち続けることが大切なのです。

バフェットも以下のように言っています。

時間は素晴らしい企業にとって味方だが、平凡な企業にとっては敵である。

その結果として、例えば5銘柄に投資したとしたら、1銘柄は5倍、2銘柄は2倍、1銘柄はプラスマイナスゼロ、1銘柄はマイナス20%のような状態が考えられます。これを均等に保有していたとしたら、トータルで1.96倍となります。現実的にはこのような姿を想定すべきです。

「5年で2倍」銘柄の探し方

このように「5年で2倍」というハードルレートを設けることで、いろんないいことがあります。あなたの投資パフォーマンスも向上するうえ、心穏やかに過ごすことができるようになるでしょう。

どうやってハードルを越える銘柄を見つければ良いか?それは一つには、以下の動画で示したPER成長率の関係を満たす銘柄を買うことです。

でもそんなまどろっこしい事をしなくても、もっとシンプルに、利益が5年で2倍になる銘柄を探せばいいと思います。もちろん、株価が割高すぎないことが条件です。

この基準を心の中に持っていれば、「5年で2倍」「年率15%」を達成するのはそんなに難しいことではないでしょう。

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