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以下、文章化したものです。
今回話しするのは介護業界についてです。
介護業界というと非常に地味なイメージがあって、あまり注目している人は多くはないかと思うのですが、日本がこれほど高齢化が進む中で、介護が必要な人というのはどんどん増えています。
まさに国全体がなかなか成長しない日本における、数少ない成長産業ということが出来るわけです。
一方で人手不足や収益性の低さに悩まされている業界でもあります。
今回はそんな中で増収増益を続ける3社を紹介したいと思います。
介護業界の特徴
高齢化が進んでいるというのはご承知の通りだと思います。
それに伴って介護が必要な人がどんどん増えている状況です。
この業界動向サーチというホームページにある、業界の売上高を見ますと見事に右肩上がりで伸びているという状況になっています。
この業界の注目ポイントとしてはとにかく市場の拡大が続くし、今後しばらくは拡大が続いていくということが考えられます。
一方で介護業界の収益というのは介護保険制度、国の制度に大きく依存しています。
国にはこの介護保険制度というのがありまして、介護業者がやっている業務内容に応じて、報酬が決まっています。
上げるも下げるも国の方針次第というところになってきます。
だから企業努力で上げようと思ってもなかなか上げられないというところがあります。
国も税金だったり社会保険料から支払われるということになりますから、なるべくここは抑えたいということを考えています。
一方でどうしようもなく払わないといけないものでもありますから、そこに国はやきもきしているという状況で、この方針次第では大きなリスクとなり得る業界です。
人材の問題もあります。
介護の仕事というとまさに3Kが揃っています。
きつい、汚い、そして危険というこの3つが揃っています。
そんな中で人材が少なく、そもそも人がいないから事業の拡大が難しいし、また人を確保しようと思ったら、それなりの高い給与を払っていかないといけないということになってきます。
ここは国としても大きな問題となっているところですから、今後給与の引き上げというのがあれば企業としては利益を削られる要因になり得るというところです。
この辺に着目して見ていく必要があります。
私達が買うべきなのはただ単に介護これら難しい部分も引き受けた銘柄ではなくて、そこから何らかの強みを発揮して脱却出来るような企業を選ばないといけないというところになってきます。
ここが銘柄選びの一つのポイントということになってきます。
では注目の3社挙げさせていただきますと、1つ目がセントケア・ホールディングス。
2つ目がチャームケア・コーポレーション。
そして3つ目がエランというこの3社で、いずれも長い間増収増益が続いている会社になります。
セントケア・ホールディングス
1つ目のセントケア・ホールディングスの業績からお示ししますと、利益に関しては一時的に落ち込むようなことはあっても、トータルで見たらやはり右肩上がりに伸びています。
2008年に赤字を計上したものの、そこからプラスで推移しているというところです。
過去5年間における営業利益の成長率は9.1%と堅調な伸びを示しています。
この会社がどんな介護事業を行っているのかというと、ヘルスケア企業グループ、訪問介護、訪問入浴介護、居宅介護支援、訪問介護デイサービスなどと書いています。
老人ホームとかあるいは福祉用品販売、住宅リフォームと本当に様々やっています。
すなわちこの会社が自ら言っているのですけれども、まさに介護のワンストップサービスを目指しているのです。
この地域における介護はこの会社に任せておけとそういった戦略で、少しずつビジネスの範囲を広げているとそういう会社になってきます。
主要取引先は千葉県、神奈川県、それから東京都国民健康保険団体連合会となっており、要するに介護保険制度を通じてその売り上げを貰っているという会社になってきます。
特に変わったことをしているわけではなくて、とにかくも何でもかんでも囲ってしまおうという事業です。
そこまで特徴はないとも言えるのですが、業界全体が伸びていますからそれにしたがってじっくり伸びているというそういう典型的なサービスとなっています。
この会社の注目点としては先程も言いました、売上の大部分が介護保険制度に依存しているというところです。
これは国の制度に乗っ取っているので、ある意味で安心という部分もあります。
国の一存次第でその介護報酬というのが上がったり下がったりすることによって、業績が大きくブレてしまうことになるんです。
まして営業利益率としては6%ぐらいの会社です。
営業利益率が6%に対して介護報酬が1パーセントが上下したら、利益はそれ以上に大きく動くということは明らかです。
その点のリスクは負っているというところです。
一方では業界の成長時代に乗っかっています。
あらゆるところをカバーしているので、何が来ても大丈夫な体制も整えているということではあります。
売上成長6%~7%、営業利益率6%を目指しているというのがこの会社の特徴です。
この数字というとそんなに無理せずに、要するに業界の成長にしたがって伸びていこうということを考えている、そして営業利益率6%と言うと決して高くはないんですけれども、無理なくコストをそこそこ抑えつつ、これでやっていきましょうという風に言えます。
一方で問題は冒頭でも言いました通り人材確保です。
あらゆる仕事に関して人材が必要になってくるので、それをどう確保していくのかというところが問題になってきます。
さてこの株価を見ますと一気に上がったり下がったり、そういったことはありますが、トータルで見たらやはり上がっていると見ていいのではないかと思います。
そんなに大きな伸びではないですが、5年前に500円ぐらいだったものが、今900円台ですから2倍くらいにはなっています。
1つ言えるのはこれだけ特徴のない何でもありというビジネスをしている中でも、業界自体が拡大しているので、確かに伸びているということではあります。
それに対してPERが12.2倍と介護全体がそうなんですけれども、あまり高く評価されることはありません。
それは一つには先ほど介護保険のリスクとかそういったものがあります。
ただ一方で業績や伸びているので業績にしたがって伸びていきやすい状況というところにはなっています。
年10%とはいかないですけれども年数パーセントの伸びで良かったら、そして業界全体の伸びで良いという風に考えるのだったらこのような会社、セントケア・ホールディングスでもアリなのではないかということは言えるわけです。
チャームケア・コーポレーション
さて、次はかなり急速な成長を遂げている会社です。
それがこのチャームケア・コーポレーションです。
このグラフを見て下さい。
見事に右肩上がりで売上高に関しては50億未満だったところが、今や300億というところで、それから営業利益もそれにしたがって伸びてきています。
営業利益に関しては5年平均35.4%で1年35.4%ですから、これが何年も重なると2年で倍ぐらいになるぐらいの成長率です。
それだけ伸びてきているということです。
株をやってる方はご存知かもしれませんが、有名な割安成長株投資のブロガーであります弐億貯男さんがこのチャームケアコーポレーションを掴んだことで、その名前の通り2億円を達成したというぐらいその界隈では有名な銘柄ということになっています。
この会社は何のビジネスをしているのかというと、有料老人ホーム運営会社です。
関西にお住まいの方だったり、あるいは高齢者施設に興味のある方だったらわかるかもしれませんが、まさに会社の名前の通りチャームという有料老人ホームを経営しています。
このチャーム特徴としてはここにあります通り、アッパーミドルから富裕層を対象とする中高価格帯の老人ホームを運営しています。
もともと関西から始まった会社なんですが、今東京に積極的に進出しているところです。
2014年に東京圏へ支出とありますけれども、この2014年頃から一気に業績が一時落ち込んだのは、その投資によってコストがかさんだからということが考えられます。
これは成長が一時的な溝のグリッチというのですけれども、それを経て積極展開によって老人ホーム数を今は60くらいだったと思うのですが、これを毎年10ぐらい増やしていくことによって、大きい成長を遂げてきました。
しかもこのチャームケアコーポレーションは、もともとは建設会社がこの老人ホーム会社を買収して、そこからメインの事業を建設ではなくて老人ホームに移したことによって成長してきたわけです。
すなわち何を言いたいのかというとこの物を建てるというところに関しては、もともと建設会社であったことから、一日の長があると言えます。
ではこの富裕層向け老人ホームとはどんなものかというとまるでホテルのような感じです。
これぐらいのところにお金を持った人達が入りたいという風に考えるからこそ、入居率に関しては95%以上を維持しているといえます。
それだけ余裕があるというところです。
この富裕層向けというところが1つポイントです。
日本人の高齢者はお金持っています。
もちろん無い人は無いのですけれども、持っている人に関してはお金を持っているけどほとんど使わないで貯金して、それを使わないまま亡くなってしまうケースというのが珍しくありません。
これは介護付き有料老人ホームですから、そこに入るような時にはもう派手に海外に行ったり、遊んだりといった体の余裕がありません。
だったら老人ホームぐらい良いところに入ろうじゃないかということで、こういった高級な老人ホームに入ろうと考える人が増えています。
特に都心では多くあるのではないかなというところです。
東京の都心や関西の都心に積極的な展開をしている会社です。
この会社の注目点としては今申し上げた通り、富裕層がターゲットとなって、介護報酬の依存を軽減しているというところがあります。
介護というと売り上げのほとんどが介護報酬と言いましたけれども、この有料老人ホームは介護の部分は介護保険の対象になって、介護報酬に依存している部分があるのですが、それ以外の部分いわゆる住居分のお金に関しては、これは老人ホーム側の自由裁量なんです。
そこが比較的上がってくるということになりますと、企業としてはその価格に関しては自分で決められますから、利益を出しやすい環境を作ることが出来ます。
ちなみにこの価格決定力を持っているかどうかというのは、その企業の強さに大きな力を及ぼしますから、ぜひその点は見ていただければと思います。
価格決定力はものすごい大事なことです。
何故なら価格をあげたら基本的に同じ商品を提供しているとしたら、上げた分はそのまま利益になって乗っかってくるわけです。
これは非常にビジネスを考える上で重要となってきます。
だからこそシェアが沢山あった方が良いですし、いわゆる経済の堀といわれる他社から真似されにくいものがあると、その価格決定力がより強まるというところになってきます。
一方でこの介護報酬に依存しないと言ったのですが、ここの会社が主に運営している介護付き有料老人ホームというのは、一部では制度に守られているところがあります。
すなわち介護付き有料老人ホームをやろうと思ったら、それなりの条件があるわけです。
その条件を一朝一夕に昨日できた会社が今日クリア出来るかというとそういうことはありません。
その点ですでに実績のあるこのチャームケアは一日の長、つまり経済の堀をある程度持っているとも言うことが出来ます。
また積極的な展開によって過去10年間においては、売上高成長率平均20%というのを実現しています。
これは注目すべきで、これから見るべきはこれがまだまだ続けられるのかどうかというところです。
その一つのネックとなり得るのがこれまで紹介してきました人材不足というところになってくるのですが、その人材不足を解消する為にこの会社は新たなところに手を出していまして、この老人ホームを開発して、それを他所に売却してしまおうというそのディベロッパー的な動きをこれから始めようとしています。
単純に老人ホームだけを増やしていたのだったら、成長にはやがて限界がくるということが考えられます。
けれどもそこで家の作って売るということは、市場は老人ホームが足りていないという状況もあるので、市場に関しては他の人がやるのだったらそっちでいいよという考え方で、そしてその不動産の開発による利益を得ようという風に考えているところがあります。
ここが最近始まった事業というところになります。
そして老人ホームに関しても引き続き積極的な拡大を目指しています。
2024年度には売上高今300億円のところを500億円に伸ばすと言っていますし、やがては1000億円にしたいというところがあります。
かなり積極的な展開をやっている会社であることも間違いありません。
さて株価ですけれども、160円というところから一時は1600円というところまでいっているので、まさにこの5年でもテンバガー10倍株を達成しているような会社ということになります。
これだけ成長があれば当然と言えます。
PERですが16.6倍で安く見えるかも知れません。
ほんとに16.6倍だったら今すぐ買い込むべき銘柄だと思うのですが、少し注意していただきたいのは今期は不動産の売却益が計上されたことによって、純利益が押し上げられているところがあるということです。
売却益を除いたフラットなPERはおよそ25倍程度ということになります。
ただ25倍と言ってそんなに高くないという風にも見えるわけです。
今後動向が注目される会社であることは間違いありません。
エラン
さて次はエランという会社です。
この会社も業績右肩上がりということになっています。
この会社のビジネス非常にシンプルです。
これがいわゆる入院入所セットと言われまして、例えばある人が入院するとなると、そこにタオルやパジャマなどといったアメニティ的なものを用意する必要があります。
本人は大変ですから家族の人が準備したりしないといけません。
この会社がやっているのはそれを一手に担うということをやっているのです。
こうすることによってその家族も楽になりますし、また病院としても非常に楽です。
ちなみにこの会社は病院とか介護施設と契約して、その病院を通じて患者さんにこういうのはどうですかという風に進めるのですが、これがあることによって、これがあるのわかっていれば、介護施設、病院としても非常に安心なんです。
またこのパジャマやタオルというのはエランが全部ですね一手に洗濯してくれるので、その辺の手間もなくなって、まさにwin-win の関係なのです。
この会社の注目点としてはこの入院入所セット、やってることはほぼこれだけなのです。
この一本足打法ということになります。
確かに仕組みを作り上げるのはすぐに出来るものではありませんが、真似しようと思ったら出来てしまう内容でもあるわけなんです。
もともと今病院とかにはリネン会社がシーツを洗濯して返したり、そういうことをやっている会社が必ず存在します。
それがこの分野に参入してくるということになると、もはやエランにとっては入り込む余地はなかなかないということになってきます。
それが大きなリスクであることは間違いありません。
模倣の可能性はあるかもしれませんが、そうなる前にということかもしれませんが今積極展開をしていまして、売り上げは5年で3倍にも伸びています。
これは今一部から始まったのですが全国展開しています。
全国展開現在21拠点ということなんですが、全国47都道府県ということを考えると、まだこの展開余地は十分にあるという風に言えるかもしれません。
株価ですけれどもこの会社もすごい業界が伸びてきたので、150円だったところは一時は1500円になって、これもまたテンバガーを達成した銘柄というところになってきます。
ただ少し気がかりなのはPERやはり46倍ということでやや高いです。
今後も成長が続く可能性というのは十分あります。
その場合は伸びていくこともあるんでしょうけれども、もし成長性が鈍化したりとか、真似されやすいサービスでもあるので、その割には46倍と言うのは少し高いかなという印象は受けます。
株価が盛り上がっているのかなというところです。
もちろん良い会社なのは間違いないので、買いのタイミングを選びさえすれば、大きな利益を上げられる可能性というのをまだまだ残っているという風に考えます。
市場の拡大は正義。その中でどんな「強み」があるか
さて今回介護業界における成長銘柄3銘柄説明させていただきました。
セントケア・ホールディング、チャームケア・コーポレーション、そしてエラン。
この会社全て良いところ悪いところがあるかと思います。
トータルとしてどんな銘柄を買うべきかというところですが、とにかく市場の拡大は正義です。
市場が拡大しているところはそれに乗っかれば、強みというのがそこまでなくてもある程度成長していける可能性があるというところです。
その中でも特に突出した強み、他に真似されないような強みで、成長する会社というのはその市場の成長率以上の成長を遂げることが出来ます。
こういった会社を徹底的に探さないといけません。
バフェットの言うところの優良企業、経済の堀を持った企業というところになってきます。
そしてその会社が割安であれば尚良し。
ある程度の株価高いところで買っても、長い期間で見ればプラスになる可能性が高いと思うのですが、ただやはり高いところで買って成長が鈍化したり、思いがけないことが発生したりすると、その下落率というのはものすごい高いと大きなことになってしまいます。
これを割安なとき、あるいは株価が下がった時に買えれば、下がるリスクというのを抑えながら上手くいけば、その会社の業績の成長率以上に株価の成長というのを得ることが出来る可能性があります。
私たち長期投資としては5年ぐらいを見た長期投資としてはこういった企業を探していきたいというところになっていきます。
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