一気に米国株に追いつく日本株
株式市場で珍しい現象が起こっています。日本株は米国市場の後追いをするケースが多いのですが、今週に限って言えば、ダウ平均が5日続落したのに対し、日経平均は大幅上昇。年初からの上昇率もここにきて一気に追いつきつつある状況です。
米国株は上昇を続けて高値圏にあり、欧州ではテーパリング(金融当局における資産買入の縮小)を開始したということもあって、ここから先は買い進めにくい状況になっています。
一方で日本株に関しては、ワクチン接種の出遅れもあり年初から伸び悩んでいました。ところが菅総理の退任表明をきっかけに、安定政権継続への期待から一気に状況の転換が進みました。ワクチン接種率も今や米国に追いつきつつあり、経済的制約の緩和期待もあってこの状況です。
もちろんその背景には緩和マネーがあることには変わりありませんが、バリュエーション面で見た時の日本株の割安さは目立っていました。私はそれを見て7、8月に株の買い入れを行っていたのです。
その頃には、米国株が上がっている一方で日本株は低調な展開でしたから、私の所にも「もっと米国株を探せ」という声がたくさん届いていました。米国株の中に良いものが含まれているのも確かなのですが、長期投資における買い時は多くの人が買いたがらない時です。そして、優良かつ割安な銘柄は、どこかで必ず上昇します。
大切なのは良い銘柄を見つけ、相場の雰囲気に惑わされず、むしろそれが悪い時にこそ積極的に買い向かい、後はじっくりと上昇を待つのみなのです。これは日本株も米国株も同じです。
「フルポジ」にすべきかどうか
さて今回はフルポジションいわゆる「フルポジ」について考えてみたいと思います。
フルポジとは、現金余力を持たずに持てる資金を全て金融資産に投資することを言います。株式投資をする上でフルポジにすべきかどうかはしばしば議論になります。
私はもともと慎重派で、現金余力は常に持っておいた方が良いと考えていました。なぜなら、そうしなければ下落局面で株を買うのが難しいからです。長期投資では安く買うことが命ですから、大きく下落した時に変えなければ元も子もありません。
一方のフルポジ賛成派は、常に株を持っていないことは機会損失だと主張します。確かに株式が上昇し続けるなら持っていないことは機会損失になりますが、残念ながら株価は上がったり下がったりを繰り返します。下がる時にわざわざ株を持っていたら、それは機会損失どころか現実の損失となるのです。
株価のアップダウンに関しては予測ができないものですから、どのタイミングで買うべきかということに関する結論はなかなか出ません。一方で、私は違う側面に目を向けるようにもなってきました。それが「銘柄の厳選」という観点です。
現金余力があると、良いかなと思える銘柄があるとついついちょっとずつ買ってしまいがちです。ただこれを続けていると、闇雲に銘柄数ばかりが増えていくことになります。その結果、ポートフォリオはインデックスとさほど変わらない、ということにもなってしまいかねません。
それはそれで悪くはないのですが、せっかく個別株投資を行っているのですから、インデックスと同じパフォーマンスではつまらないですよね。
一方でフルポジにしていると、新たに欲しい銘柄が見つかった時には、既に持っている銘柄を売らなければなりません。そこで生じるのが、銘柄の選択ということになります。ここで初めて保有銘柄間の優劣を比較するということになるのです。
ダメだと思う銘柄を潔く売り、より大きな成長が見込まれる銘柄に入れ替える。こうすることによってポートフォリオの成長可能性を高めることができるのです。同時に自らの選球眼も磨かれることでしょう。
フルポジの「売り方」と相場急落への対応
このように考えた時に、私はもっと積極的に株を買うべきではないかと考えるようになりました。もちろんわざわざ高い時に買いに行く必要はありませんが、良い銘柄で割高でないと思うなら、とりあえず買っておくのです。そうやってフルポジに近い状況になった時に、これまで買い集めた銘柄をふるいにかけることになります。そこで残った銘柄こそ、自分にとって「金の卵」と言えるのです。
入れ替えを行うなら、相場が上昇したときにすべきです。これなら利益確定となる可能性が高く、精神的に余裕ができます。もっとも、売る銘柄はそれ以上成長が期待できなさそうな銘柄が望ましく、事実上の損切りとも言えます。売ると決めたら、指値で買う時と同じように、少し高いところで売り指値をしておくと自動的に利益確定をすることになるでしょう。
フルポジのデメリットを見過ごしてもいけません。その最大のデメリットは、下落した時に買う余力がないということです。せっかくのチャンスに現金余力がないと、良い銘柄が割安な価格でゴロゴロと放置されているのに、それを指をくわえて見るだけということになってしまいます。
そんな時のために、「虎の子」を残しておくという考え方があります。すなわち「平常時」の資金と「非常時」の資金を分けるのです。平常時の資金はフルポジにしておき、非常時の資金はいざという時のために確保しておきます。こうすることで気持ちに余裕ができ、平常時の資金ではどんどん買いを進められるでしょう。
また、どうしてもという時には一時的に信用取引を使うのも手です。普段から信用取引を使っていると、いざ下落した時に耐えられませんが、すでに大きく下落しているのであれば、そのダメージは限定的です。「非常時」以外は使わないという強い心を持てば、信用取引も使いようだと思います。
当社のパイロット運用でもこの考え方を意識し、良い銘柄で割高でないと思えるなら、積極的に手を出していきたいと考えています。もっとも、その買い方は「指値」かつ購入のタイミングは株価が下落する年2~3回ということになるでしょう。
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