SBIが新生銀行にTOB! 北尾社長の本当の思惑

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YouTubeに動画をアップロードしました!

以下、文章化したものです。

 


今回はSBIホールディングスが新生銀行にTOBをかけるというニュースに関してお話ししたいと思います。

SBIホールディングスというと、最近地方銀行の株式をどんどん買って、そして第4メガバンク構想というのを掲げています。

その一環としてかつては名門であります日本長期信用銀行にTOBをかけて、事実上傘下におさめてしまおうという動きになっています。

この動画ではその経緯と、そしてこれから何が起きるのかということについて説明して参りたいと思います。

TOBとは?

まずTOB(株式公開買い付け)とは何なのかということについて初めての方にもわかりやすいように説明させていただきます。

今回のケースを題材にお話するのですが、SBI証券という会社、そして新生銀行という会社があります。

どちらも上場企業なのですけれども、この場合特に重要となるのが新生銀行が上場しているというところです。

新生銀行を上場していると当然そこには株式市場で株を買った投資家たちがいます。

この株主に対して普通は株を買うということになると取引所で少しずつ買っていくということになるのですが、このTOBというのはこの株主に対して私がこの株式をいくらで買いますという風に宣言するものです。

すなわちこの場合SBIホールディングスは新生銀行の株主に対して、今持っているその株を2000円で買い取りますという風に宣言したということです。

そしてこの2000円という金額が非常に重要となっていまして、何故なら今新生銀行の株のTOBが発表される前までは1440円でした。

1440円が2000円ですからおよそ40%のプラスになるということなので、普通に考えたらほとんどの株主は応募するということになります。

するとどうなるかというとこの新生銀行はSBI証券に株を持たれて、そして株を持たれるということは、経営権を握られるということです。

今回の場合にSBIホールディングスから新生銀行に対して、役員を派遣するという風に言っています。

悪い言い方をすればある意味会社の「乗っ取り」というようなことも言われます。

しかも今SBIホールディングスは新生銀行に対して事前の相談なしにいきなりこのTOBを発表しました。

このTOBには友好的TOBと敵対的TOBというのがあり、多くの場合では株式を買いたいということになると、その買われる方の企業の経営陣に対して、今から買いたいのですがどうですかというような話をして、その合意を取り付けてからTOBをかけるというパターンが多いです。

しかし今回SBI証券は新生銀行に対して、そういった事前相談は全く行わずにいきなり発表したそういう話になっています。

まさに乗っ取りのような話です。

SBIの思惑

では何故そのようなことになったのか経緯を詳細にお話ししたいと思います。

実は2019年頃からこのSBIホールディングスは、島根銀行の株式を20%くらい一気に取得したということがありました。

これを皮切りにSBI第4メガバンク構想というのを掲げて、いくつもの地銀に出資をして、そして業務資本提携というような形で、一緒に金融ビジネスを進めていくというようなことをやっています。

その一環としてこの2019年4月にSBIホールディングスは新生銀行の株を市場買い付けしました。

これが始まりなのですが、普通の投資家と同じように取引されている株を買っていきました。

そしてそれだけだと純投資しているのと変わらないので、数パーセント買った時点で経営陣に対して資本業務提携を提案しました。

私達とあなた達が一緒に仕事をしたらこんなに良いことがありますというようなことを提案しました。

しかしその翌月新生銀行はこの提案を却下しました。

実際このSBI、特に社長の北尾さんという方は野村証券出身なんですけれども、やり方としては結構強引なところがありまして、その傘下に入るというのは新生銀行としては嫌ったということが考えられます。

そして地域創生というところでは協力しましょうとという話でお茶を濁していたわけなんです。

ところが2021年1月、この新生銀行がSBI証券のライバルでありますマネックス証券との業務提携を発表しました。

これに対して怒ったのが先ほどの北尾社長です。

SBI証券もこれに対して対抗策を打っていまして、実は提案が却下された後もまた市場でコツコツと株式を買い続けていました。

買い付けを続けた結果20%弱の株式を保有することになりました。

こうやってずっとくすぶっていたわけなのですが、この後SBI証券は本格的に株を買い増すことを計画していました。

実は銀行法というのがありまして銀行の株を20%以上保有しようとする場合には、金融庁への事前認可が必要です。

その認可手続きをSBI証券は進めていたわけです。

そしてそれが認められたのが今月ということになりますが、それが認められた時点で一気にこの新生銀行に対して事前相談も行わずにTOBを決行しました。

これを見ますと何がそのきっかけになったのかというと、特にマネックス証券との業務提携というのは北尾さんを怒らせるには十分過ぎるほどのインパクトがあったという風に言えます。

もちろんSBIとしても単に個人的な恨みで株式を買うというようなことはしないわけでこういった思惑があります。

第4メガバンク構想、証券手数料無料化への対抗、それから楽天の猛追、この3つが今回の動きに大きく関わっているという風に考えます。

まず先程から何度も言っていますが第4メガバンク構想とは、SBI証券は地銀2019年頃からどんどんと傘下に収めています。

島根銀行に20%、福島銀行、じもとホールディングス、筑邦銀行、清水銀行、大東銀行、最近ではつくば銀行などにも出資しています。

こうやって地銀を傘下に収めていくことによって、より第4メガバンクとしてグループを拡大していこうという動きがあります。

ただ必ずしも私が見る限りはSBIがやっていることは、業界を革新するような思惑というのは実はあんまり見えていません。

というのもこれらの銀行をSBIが傘下に収めてやることというと、SBIが作っている投資信託をこれらの銀行を利用している高齢者にこの地方銀行を通して売ってもらうという、そういった思惑が見え隠れしています。

本来ここまでダイナミックに金融を再編するからには、それこそフィンテックだとかこれまでの銀行では出来なかったことをやろうという風に考えると夢が広がるのですけれども、実際にSBIが行っていることは金融商品を売り付ける先を探しているという風に見えるわけです。

だからこそこれらを完全に傘下に収める必要はなくて、あくまでその商品を提供する繋がりを作ればいいということで、20%前後の保有に留まっているという風に私は考えています。

この背景としてあるのが2つ目の証券手数料無料化というところにあると思います。

アメリカではロビンフッドという最近上場した会社があるのですが、携帯のアプリを使えば株式の売買手数料を完全無料で売買することが出来るということになっています。

今証券売買の無料化というのが進んでいます。

証券手数料の無料化ということになりますと 、SBIはそもそも旧来の野村證券とか大和証券とかの株式売買手数料が高いところを壊すような形で低い手数料で売買の数を稼ぐことで収益を上げてきたビジネスモデルだったのですが、日本にも無料化の流れがどんどんとやってきていまして、今SBIでもアクティブプランというところを選べば、1日100万円までの取引は手数料ゼロで取引出来てしまいます。

私もそういう形で手数料ゼロで取引することが多いです。

となると証券会社はもう飯の種が完全に食い上げというような形になってしまいます。

その内容については私も以前このようにYouTubeでも触れております。

それでどうなるかというとこのようにどんどん取引がネットに流れるということになると、ますます手数料が取れないという状況が続いてしまいます。

株式の売買手数料が取れなくなって大手の証券会社が流れ着いたのが、今度は投資信託ということになるのですが、投資信託に関しても一般論としてもはやインデックスを買っておけばいいというような流れがあるので、それでもまた手数料を取るのが難しくなっています。

従来からの証券会社で対面客が付いている会社ならともかく、SBIのようなネット証券では売りたいものを売るというこのアクセスをなかなか持っていませんでした。

そこに対してこれらの地方銀行に対して商品を売るということになると、多少手数料が高くても有難く買っていただける優良顧客というのを多く抱えていたりもします。

つまり北尾さんがやっていることはこの業界を顧客に良いように変えているというよりも、どちらかというと旧来の対面型証券会社へ回帰しているようにも見えなくはないです。

もちろん本当の思惑は違うところにあるかもしれませんが、私から見る限りはそういう風に見えてしまいます。

今回の新生銀行への出資というのもまさに同じような流れだと思っていまして、今SBIの口座は700万ぐらいあるのですが、正直最近伸び悩んでいるところがあります。

何故かというとこのネットに関しては楽天証券がものすごく追い上げているというところにあります。

このグラフを見ますと楽天が624万口座ということですから、今SBIが700万口座と言いましたけれども、それはアプリ取引するネオンモバイル証券との合算という数字で出ています。

ここでSBIの口座のグラフの数字ははっきりしないところはあるのですが、実はもう楽天に抜かれているのではないかという感じになっています。

楽天というと楽天ポイントで囲い込んで、少しでもお得に取引したいという顧客を呼び込んでいますからそれがかなりウケています。

このYouTube界隈でも楽天経済圏で投資をしていきましょうと呼びかけている人も多く、それで伸びている部分もあります。

これでいよいよSBIにとってはお尻に火が付いたのではないかと思います。

楽天にも追い上げられてこのままでは業界1位の座を明け渡してしまう。

新生銀行に関しては銀行口座数で300万口座あるということです。

それを全部証券口座にできるとは言いませんけれどもかなりの数を呼び込むことが出来れば逆転も可能性としてはあるという風に見えます。

実は新生銀行というとプチ富裕層みたいな個人事業主とか経営者などそちらに対して強みを磨いてきた会社でもあります。

そこがこれからの伸びをつけいく上では親和性が高かったという風に考えているのではないかと思います。

いずれにしても私が見る限りこのSBIのやっていることは、業界を革新していこうというよりも、SBI証券の商品の売り先を少しでも見つけようというそういった動きに見えてならないというところがあります。

ホワイトナイトは現れるか

さて本題のTOBが成立するかどうかということなんですけれども、これに関しては新生銀行が何もしないでこのまま放っておいたら、SBIが48%買い上げて成立ということになります。

ただし今申し上げました通り全株ではない、あくまで48%までというところになっているわけです。

何故48%かというと、50%以上を持つということになるとSBIホールディングスが今度は銀行持株会社、すなわち銀行になってしまうのです。

金商法の上では銀行になってしまうと、その後の事業上の制約というのがかなり大きくなってしまうのです。

それはあまり望んでいないことでしょうからあくまで48%までとしています。

しかしこれは成立する可能性が今のところ非常に高いです。

新生銀行が意見表明というのをこの後行うのですが、賛成しようが反対しようが成立する可能性がとりあえず高いと思います。

投資家はやはり高く買ってくれるところがあったらそこに売るということになります。

ただし新生銀行が反対の意見を表明したとして、そこに対してホワイトナイトを連れてきたら、SBI証券ではない人が買う可能性があります。

このホワイトナイトというとまさに白馬の騎士ですけれども、SBIに買われたくないからといって代わりに他の人に買ってもらおうという風にするわけです。

ホワイトナイトが登場するとTOB価格今2000円で提示していますけれども、当然それより高い価格を提示しないと株主は売ってくれないので、より高くなってSBIはさらにその上を行くといういわゆる買収合戦になってきます。

そうなると株価はがどんどんつり上がっていくので、株主としては非常に美味しい展開ですが、こういったことになる可能性があるということです。

ただし、成立はしたとしても48%までしか買わないということになると、TOBを見込んで買っても全株売れない可能性があるわけです。

それはこの株主の構成を見て頂ければと思うのですが、SBIホールディングスが今20%を持っています。

その下にいるのが預金保険機構と整理回収機構というのが2つ並んでいます。

これらは実はいずれも公的機関で要はです。

何故こんなのが入っているのかというと、実はかつて新生銀行が経営危機に陥った時に、公的資金が入りました。

それが今株主としてここに残っているのです。

彼らは実はこの出資した時の簿価が7500円くらいですから、株価7500円を上回らないと損失が出てしまうのでそれまでは売らないということに事実上なっています。

したがって今回の2000円という金額では、応募しないということになります。

したがってSBI20%、それからこの2位3位の20%、合わせて40%は固定票ということになって、残りの60%のうち30%を上限に、SBIがTOBをかけているということになります。

したがってこの60%全てがTOBに応募したとすると、そのうちSBIが買い取ってくれるのは30%だけなのです。

すなわち私達が200株持っていたとしても、全員が申し込んだとしたら、按分比例方式というのですが、100株しか買い取ってもらえない可能性もあると思います。

残った株は上場が引き続き続くので株価はもちろん付いているのですが、2000円で買い取って2000円で売れるとは限らないというのは一つあります。

一方でホワイトナイトが登場することによって、さらにTOB価格が引き上がる可能性もあるので、非常に面白い状況となっています。

このホワイトナイトの可能性となっているのが先ほど業務提携を締結したマネックス証券というのが一つあると思います。

それからゴールドマンサックスといったところです。

新生銀行の役員になっていたりしますし、そもそもマネックス証券の創業者であります松本大さんもゴールドマンサックスの出身ですから、この辺が動いてくる可能性というのはあります。

一方でマネックス単体だとこのTOBの金額の1100億円超という金額を払えるほどの資金的余力はあまりないという事ですし、ゴールドマンサックス本体がこういったことに乗り出してくるというのはあまりありませんから、どうなるのかというのは注目が集まるところです。

このTOB合戦というと、実は私も参加したのですがユニゾホールディングスという事例がありまして、株価2000円ぐらいで取引されていたところ、最初にHISが3000円で買うといった時に一気につり上がって、しかしその後色んな買収者が現れて、それで結果的には6000円ぐらいまで上がりました。

最終的に買ったのはユニゾホールディングスの従業員が参加するEBOという形で上場廃止になったのですが、何段階を経て株価がつり上がることもあります。

今回が必ずしもこのようなケースになるとは言いませんけれども、可能性としてはあるわけなので、今後注視が必要というところになります。

これに限らず別の動画でも解説しているんですけれども、地方銀行の株がものすごく安くなっています。

端的に言うとPBR株価純資産倍率が0.2倍という数字になっています。

これは解散価値ということを考えたらほぼありえないぐらい安いわけですが、一方で事業基盤というのはなかなか安定しないというところから安くなっています。

そこに対してこのようにSBIなんかがTOBをかけるということがあったら、一気に株価がつり上がることもあるという風に、一つ頭の隅に置いておいてと良いかもしれません。


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