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以下、文章化したものです。
今回は注目銘柄として米国株を取り上げてみたいと思います。
その米国株というのが半導体製造のエヌビディアです。
これからのAI時代を担っていく重要な銘柄だという風に考えておりますので、ぜひこの機会に注目をしておいてください。
エヌビディアはどんな会社?
まずエヌビディアはどういった会社かというと、GPU画像処理半導体を手掛けるファブレスメーカーという風にさせていただきます。
この画像処理半導体というと半導体には主にCPUとGPUというものがロジック半導体という意味であり、CPUは一般的にいわゆる半導体として扱われるのですが、計算処理とかロジック処理そういったものを担当するのがこのCPUです。
一方でGPUというのは画像処理、画像認識とかそういうたことを担当するものとなっています。
エヌビディアが手がけているのはGPUということになります。
またこのファブレスメーカーというのは自社では設計や研究開発だけを行って、製造に関しては外部の企業に委託するメーカーというところになってきます。
したがって設備投資の負担が小さくなってきます。
ちなみにこの生産を主に委託している先が台湾で最大の企業でありますTSMCという会社になります。
エヌビディアはこのTSMCと組んだことでここまで大きくなったとも言えます。
TSMCは今や世界で最先端の半導体の製造技術を持っている会社です。
さらにエヌビディアの創業者でありますジェン・スン・ファン氏も台湾系アメリカ人であります。
台湾がそれほど理系の人材が強いというところがあります。
今や世界の半導体のメーカーに関しては完全にトップを走っている国になります。
このGPUがどこに使われているのかというと、ゲーミングPC、ゲーム、AI、自動運転などに搭載されるというところになってきます。
売上高ランキングでは2020年のランキングでは世界第9位となっています。
ただこの会社、決算期が1月期なのでここに反映されているのは2020年の1月、最新のものは2021年の1月というものがありまして、それで売上高が166億ドル、1.8兆円というところになってきます。
2020年のランキングではこの通り9位なっているのですが、これが160億ドルというところですから、実際は2021年に関して5位くらいに入ってきてておかしくないという数字になります。
ちなみに改めて振り返っておきますと、売り上げランキングとしてはインテル、サムスン 、SKハイニックス、マイクロン、クアルコム、ブロードコム、テキサスインスツルメンツ、メディアテック、エヌビディアと並んでいます。
下には日本の元東芝メモリーのキオクシアが並んでいます。
実はエヌビディアはこの中で一番時価総額が高い会社となっています。
それほど期待されている企業というところになってきます。
AI時代に重要度が増してきた「GPU」
さてエヌビディアがGPU画像処理半導体を作っている会社だと言いましたけれども、ではそのCPUとGPUの違いというところを説明したいと思います。
CPUというと主にインテルなんかが作っているのですが、ロジック半導体と言われまして、様々なロジックに基づいて計算や処理を行うものということになっています。
かなり複雑な処理も出来まして、高度な計算とかは全部こちらでやるというところになってきます。
一方でこのエヌビディアが主に作っているGPUというのはそれと異なっています。
CPUと違って沢山のコアと呼ばれる受容体がありまして、それぞれが反応を受けたらその結果をどんどん返していく、同時並行的に沢山返していくというものになってきます。
これがCPUの場合はデュアルコアとかオクタコアとか呼ばれるように、248ぐらいの数値なんですけれども、GPUはこれが沢山、そして同時並行的にやるということになっています。
実はこの複雑な計算というのは一個一個で出来るわけではないのですが、それが沢山あるということで一度に大量の情報を処理出来るというところになってきます。
これがゲームで言うと、例えば格闘ゲームをやる場合、この部分だとヒットして、この部分だとヒットしないというのはそういった処理を行うというところになってくるわけです。
その為には当然沢山必要ですからそこで得た情報を今度はCPUに持っていって、複雑な計算処理を行なって出力を行うというそういったシステムになっています。
このエヌビディアがGPUを主に作るメーカーということなのですが、もともとはXboxやPS3といったゲームに使われる半導体として成長を遂げてきました。
それがゲームだけではなくてはゲーミングPCに搭載されるということも増えてきました。
これだけだとあくまで複雑な高度なゲームをやる為の半導体というところで、マニアックなところで終わる可能性があったのですが、実はこのやり方というのが今のAI、あるいは自動運転とかそういった時代にまさにマッチしているというところになってきました。
例えばAIというと、ある物を見て、人間が目で見るようにそれをが何なのか判定して認識するといった情報が必要です。
けれどもそれはCPUの得意とするところではなくて、一方でこのGPUで色々な物を同時並行的に処理することで、機械で認識することが出来るすなわちそれがAIです。
様々な物を人間が認識しているように同時並行的に処理することが出来るものとして使われるようになってきました。
自動運転についても同様で、運転をする時は道路の先だけ見ておけばいいというわけではなくて、右から何が出てくるか、左から何があるかということを常に認識していかなければなりません。
そこで使われるのがこのGPUというところになってきます。
それは元はゲームでこういった映像をベースとして、大量に情報を処理する技術を磨いてきたからこそ、こういったものに応用できているというところになってきます。
その業績ですけれども、昔は赤字の時もあったりしたのですが、特にこの2017、2018というところで大きく業績を伸ばしてきます。
これはまさにゲームに採用されたというところが大きいです。
最近はデータセンターなどのビジネス用途とかそういう風ところにも求められるようになってきています。
様々なシステムで今やAIというのが尽きませんけれども、それをする為にはエヌビディアのシステムと半導体が必要不可欠となってきています。
その結果、EPSで見ると0.3ドルぐらいにも満たなかったところが、わずか5年ぐらいで3ドルと10倍近い利益の伸びを記録しています。
直近の業績を見ますと2018、2019というところだけではなくて、直近も大きく伸びています。
これはコロナ禍が非常に大きいです。
ここでゲームやゲーミングPCなどそういった物の需要が伸びてきたというのがもちろんあります。
これは多くの半導体会社で認められているところです。
さらにはAIのディープラーニングにGPUが最適だったということで、これを作る為にAmazonのAWSだとか、マイクロソフトのazureといったところにもどんどん搭載されるようになってきています。
もちろんハイスペックなPCなんかにもどんどんを投入されています。
そして自動運転なんかも含めて最新技術へも搭載されるようになってくるわけです。
したがってエヌビディアの強みとしましては、ゲームで培ったこのグラフィックボードGPUの技術がまさにこの時代、自動運転の時代に求められる技術だったのです。
その技術を長く磨き続けて今それがゲームという狭い世界だけではなくて、世の中のあらゆることに求められつつあるわけです。
そしてAI半導体のプラットフォーマーその分野では欠かすことの出来ない主役として、躍り出るのではないかという風に見られています。
ある半導体メーカーのCEOがこういうことを言いました。
パソコンの時代は86型が主流だったと、この86型というのはインテルが作っている半導体です。
それがWindows95以降パソコンを設計してきたというところです。
さらにはモバイル、スマートフォンの時代になると、半導体設計の会社で省電力で電力を大きく使わない、Armがプラットフォーマーとして設計してきたというところがあります。
そしてこれは2018年頃の発言なのですが、AI時代にはエヌビディアのCUDAが主流になるという風に言っています。
これはなくてはならないものというところです。
これらいずれも1回これらが覇権を取ったら、もはやそこから別のものに移るということはあり得ないという文脈で発言しています。
したがってもうすでにこの2018年の時点でこのエヌビディアのCUDAが、AIの半導体脳というのを席巻しているというところですから、これがもう今後必要不可欠なものとして躍り出てくるだろうということが予見されています。
エヌビディアが抱えるリスク
ではリスクはないのか言うともちろんないわけではありません。
それが競合、特に業界最大手でありますインテルというのは大きな敵として立ち塞がることになろうかと思います。
実は先ほどの発言をしたのがインテルのCEOであるゲルシンガー氏なのです。
当時はインテルの社長ではなくて別の会社の社長をやっていたのですが、その彼がここに今CEOとして腕をふるっているわけです。
すでに各国あらゆるところに巨額の投資を行って、研究開発と製造を行っています。
これまで世界の半導体業界を牛耳ってきましたからお金はあります。
そして設備も自ら製造する力というのを持っています。
そこに対して技術者を雇えば同じような物が作れないとも限りませんし、また既存のサーバーとかPCの親和性を考えると、インテルが一手ににGPUまで含めて担ってしまうというのは一つの脅威になりうるということが考えられます。
アメリカの会社では設計開発の上の人が、高いお金を払って移籍するというのが結構行われているのです。
それがインテルには出来てしまうというところがあります。
さらには製造をTSMCに依存しているというところがあります。
ファブレスメーカーと言いましたからTSMCに依存しているわけですが、もしTSMCに何らかのこと、例えば政学的リスクによって製造が難しくなったり、使えなくなるということになると、エヌビディアはどうすることも出来なくなってしまいます。
その点インテルは自社で製造能力まで持っているので、一日の長があるとも言えるかも知れません。
もちろん外に依存しているからこそ、製造は考えずに設計開発の方向に集中出来るというメリットもありますから、一長一短というところではあります。
さらにエヌビディアは先ほど出てきましたモバイル時代を席巻したArmの買収を予定しています。
ここにArmを売ったのがあのソフトバンクグループなのですが、ソフトバンクグループからArmを買うというところなので、今保留になっていて独占禁止法上の審査が行われています。
特にその審査が集まっているのが中国です。
中国の当局がこの合併を認めないのではないかという風に見られています。
Armは設計だけをする会社なのですが、中国としても設計図を中国が使えないということになると、今まで中国でもかなりのスマートフォン製造していますが、そのスマートフォンが同じように製造出来ないということになってしまうわけです。
もしアメリカが中国への輸出を禁止するとかそういった話になったら、そうなると今までのような高度なスマートフォン作れなくなってしまいますからダメージは計り知れません。
それでArmの買収に待ったをかけているのです。
Armはもともとイギリスの企業で、直接的な米中対立の影響を受けるわけではなかったのですが、エヌビディアに買収されてしまうと、米国企業ということになりますから、やはり米中対立の影響を受けやすいというところになっています。
エヌビディアとしてはこの買収が待ったをかけられるというところになると、4.2兆円もかけて買収していますから、少し経営的には一時停止ということを受け入れざるを得ないというところになってきます。
ちなみにArmの買収ですけれども、ソフトバンクグループはArmを売却した対価として、現金またはエヌビディアの株式で受け取るというところになっています。
おそらく株式で受け取ることになるでしょうから、実はこのエヌビディアの動向というのは日本のソフトバンクグループにも強く関連しているということになるわけです。
買える?目が離せないのは確か
さてその株価ですけれどもこれまで好調な業績を続けていました。
なんと5年で株価は15倍にもなっています。
直近1年でも2倍ぐらいに伸びていてまさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。
では今買えるのかというとPERを見ればコンセンサーつまりアナリストの平均的な予想で言うと、PER55倍、それから直近12ヶ月の実績値で見ると79倍というところです。
目下半導体不足で半導体業界の利益が非常に大きく伸びているところに、ある意味では一時的な特需かもしれない中で、この倍率というのは結構高いのではないかなというところがあります。
平常状態に戻った時にどれくらいの利益なのかとらいうのは、若干測りかねるところがあって割高感があるとは言えます。
勢いで上がっている部分が否めないというところではあります。
ただ今後の成長というのも十分可能性がありますから、やがてはこれが正当化出来るぐらいには成長出来る可能性もあると思います。
ただそれが多少時間がかかってしまうというところになると、この後しばらく株価が横ばいでもおかしくないというような数字ではあります。
また時価総額としては今60兆円で、これがトヨタの2倍です。
すごく大きくなっています。
これだけ時価総額が大きくなるとさすがに今の業績、今の規模だと大きすぎるかなというところはあります。
インテルに比べてもインテルより時価総額が大きいというところですから、先ほど見ましたこの売上高ランキングを見ましても、これで時価総額トップというのは結構高いなと思います。
一方でAI時代を牛耳っていくということになると、それぐらいあってもおかしくないというまさに微妙なところです。
以上をまとめますとこれから見通しとして、業績が伸びるというのはほぼ間違いありません。
AIが使われるところにはこのエヌビディアが必ず必要だということになってきます。
自動運転とか新たな分野でも必要になってきます。
業績が伸びるというのは直近1年で落ちるとかそういうことはあるかもしれませんが、2年3年4年5年となっていくとほぼ間違いなく伸びているだろうと思います。
そしてもう一つ重要なのがAIがどこまで必要とされるかというところです。
今世の中がAIAIと言っていますけれども本当に役に立っているのか、AIを本当に使っているところはごく一部だと思われます。
AIと言っておきながらただのプログラミングだったりするところも珍しくありません。
しかし、AIが本当に必要になるということになると、それは大量の半導体が必要ということになりますから、エヌビディアがこれによってどこまで伸びるかというのが決まってきます。
もしかしたらすぐではなくて結構時間がかかる話かもしれないし、もっと早く来るかもしれないそういったところではあります。
そしてリスクのところで指摘したように、インテルがそこに当然乗り出してきます。
インテルはイスラエルのモービルアイという自動運転の会社も買ったりしているので、こことの競争はこれから注目されるところになってきます。
以上からやはり目先の株価に関しては加熱感があるというところは否めません。
ただ長期的に見ればこれほどの力を持って、しかも求められている会社であることも間違いありません。
株価の動向や世の中の状況によっては、十分投資するチャンスはあるという風に捉えている銘柄です。
これからもウォッチを続けていきたいと思います。
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