中国発の景気後退はあるか
足元では株価の不安定感が高まっています。
日経平均株価は5日続落、ダウ平均も乱高下を繰り返しています。今年一年相場を牽引してきた米国市場も息切れしつつあるように見えます。
市場の撹乱要因となっているのが中国の状況です。今でも中国が「世界の工場」であることは揺るぎないのですが、その動きが芳しくありません。9月30日に発表された中国のPMI(製造業購買担当者指数)は好不況の境となる50を下回りました。
【参考】中国製造業PMIが9月に活動縮小、昨年2月以来-電力不足響く(Bloomberg)
その要因としては、上記の記事にあるとおり電力不足、そしてサプライチェーンの混乱による半導体不足や部品の値上がりにあります。供給制約により、作りたくても作れない状況になっているのです。
経済は血液に例えられますが、このようにして流れが止まることは、景気減速の可能性を意味します。市場はそれを察知しつつあるのです。
もちろん、供給が間に合っていないということは、まだそれだけの需要があるということでもあります。一時的に生産が遅れるとしても、やがてその埋め合わせがやってくることが想定されます。
ただし物事はそう簡単ではないかもしれません。供給不足が解消されるタイミングは突然やってきます。それはコロナ禍の終焉です。サプライチェーンの混乱が収まり、突然モノが流れ出すようになるでしょう。
その時には、コロナ禍で見られたような特定のモノに対する需要は収まりを見せているでしょう。例えば、コロナ禍で盛り上がったニトリの既存店売上高は5月以降5カ月連続で前年割れが続いています。(ニトリの状況が悪いということではなく、特需が強すぎたという意味です。)
供給が増える一方で需要が減れば、明らかに供給過剰に陥ります。コロナ禍初期のマスクがまさにそのような状況でした。供給過剰は値崩れを引き起こします。これがすなわち不況ということなのです。
モノからサービスへ
悲観的なシナリオ示してしまいましたが、一方で長期投資家としての成功の秘訣は常に楽観的であることだと考えています。目先の不安要素に対しては気にかけつつも、やがて来る明るい未来に賭けることこそが長期投資の本質です。
ただし、製造業に関しては難しい局面に入ってきていると考えます。この1年株価はむしろ好調でしたから、その逆回転が起こるとすれば中期的にはなかなか難しい環境にもなるでしょう。
そう考えて私が期待しているのが「アフターコロナ」のサービス業です。
コロナ禍はいつか終焉するでしょう。その時に人々は一斉に外へ出かけます。すると求められるのが、人対人のサービスです。サービスは保管しておくことができませんから、供給過剰にはなりにくいのです。
株価的に考えると、コロナ禍にあって随分抑えつけられてきたのがこの業界です。中には本当に財務状況が苦しい会社もあるので注意が必要ですが、そうでない企業だとするならば中長期的に見てマイナスになりにくいほど割安な銘柄がゴロゴロしていると感じます。
その中から特に優良と思われる銘柄を、私は頑張って探して参りたいと思います。
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