スタグフレーションに備えよ!

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YouTubeに動画をアップロードしました!

以下、文章化したものです。

 


今回はスタグフレーションという現象について考えてみたいと思います。

今このスタグフレーションという現象が起きるのではないかということが、市場関係者の中で騒がれています。

スタグフレーションは簡単に言いますと、物価が上がっている一方で、景気が悪くなるという現象です。

今それが起きる可能性というのが高まってきています。

株式取引をされる方にとっては重大な問題ですので、ぜひご覧になって頂ければと思います。

スタグフレーションは起こる?続く?

2021年10月13日に発表されたアメリカのCPI消費者物価指数です。

これが前年同月比5.4%の上昇ということで、予想が前回が5.3%でしたからこれを上回る数字となっています。

そしてこのグラフを見ていただければわかります通り、これまで1%と2%の間だったところが、今年に入ってから大きく上昇しています。

コロナになる前も物価上昇率というのは2%以下で抑えられていました 今この5%というのはかなり異常な水準に入ってきていることは間違いありません。

この物価上昇の要因というのが最も大きく作用していると思われるものが原油価格です。

このようにコロナの時は全く需要がない、なんなら原油を保管している場所すらないということで、先物価格に関しては一時マイナスというところにまでいきました。

そこから今度は経済の回復に伴って急上昇する結果となりました。

直近では石油輸出国機構(OPEC)が原油の増産をしないということを決定しましたので、通常原油価格が上がってくるとの供給量を増やして、価格を安定させようとするんですけれども、それをないという風な決定をしたことから、一時落ち着き始めていたものがまた上昇をすることになっています。

ここで何と80ドルを超えまして7年ぶりの高値ということになっています。

このコストプッシュ型のインフレというのは原油に限らず、様々なところで起きています。

例えばこの原油価格が上がりました。

それから半導体が今足りないという風に言われています。

これも世界のサプライチェーン供給網がコロナによって途絶えたことによって、スマホとかパソコンとかを作りたくても必要となる半導体が調達出来ないということで、今自動車やスマホが作れないというようなニュースが飛びかっています。

iPhoneに関しても半導体の業界では高く売れるので、メーカーとしてはなるべく沢山早く作りたいのですが、そんな状況にも関わらず作れないということになっています。

当然これを作っているメーカーはどうしても欲しいのだったら高い価格なら売ってあげますよということで、TSMCが10年で最大の値上げへという風になっています。

またこれが半導体が足りないからといって、自動車が半導体の製造に関しては後回しになってしまいます。

すると新車が作れませんから今すぐに車が欲しいという人は中古車を買おうとします。

その結果中古車価格に関してもアメリカで前年同月比で24%上昇することになっています。

また海運は人員を確保しないとコンテナ船を動かせないのですが、コロナで検査とか隔離とかそういったことを考えていると、人員が確保出来ないということで、コンテナ船の運賃が非常に上昇しています。

コンテナ船の価格というのは世の中のあらゆる物資を世界中から運んでいるので、ここの価格が上昇するということは、輸出入に頼るようなあらゆる商品の価格が上がってくるということになってきます。

皆さん生活していても感じられるのではないかもしれません。

ガソリン価格が100円くらいだったような気がしたのですが、この間ガソリンスタンドで入れたら160円というところで、高くなったという風な印象を持っています。

食料品に関しても同様でスーパーに行ったら物が高いですし、何より物がないというのが一番の感覚としてあります。

私は生協を使うのですか、子供が大好きなバナナをよく買うのですが、バナナが数が減ってしまったり、時には輸入が追いつかないから欠品というようなことも起こっています。

それほどこの供給網の寸断によるコストプッシュ型のインフレというのが間違いなく起きています。

一方で物価が上がるというのは基本的には景気が良くなる場合と連動していることが多いです。

何故かというと物価が上がるということは、物に対する意欲が高いということですから、景気は基本的には良いことが多いです。

通常は人々が物を買いたいという意欲があるからこそ、物価が上がるし、物価が上がったら企業は当然潤うので景気も良くなる、景気が良くなったからみんな物を買おうとするという好循環が起きるのが通常のケースです。

またこれとは逆で景気が悪くなるとみんなが物を買わなくなるので、物の価格が下がるというのが不景気とデフレのケースです。

なのでこれを見る限り基本的には物価の上昇は景気の上昇を巻き起こすのでいいということになるのですが、今回起ころうとしているこのスタグフレーションというのはこれが当てはまりません。

つまり景気が悪いのに物価高が進行します。

物価が上がって、それによってかえって景気が冷やされるという現象です。

これがどういった時に起こるのかというと、実際に起きたのが1970年代のオイルショックの時です。

この時は中東戦争などによって原油価格がすごく上昇しました。

物の価格が上がりました。

しかしこの物価の上昇というのは人々の消費意欲が高まったから、上昇した訳ではありませんでした。

むしろ給料は変わらないのに原油価格の上昇によって、物価だけが上がってしまったということになるので、当然人々の消費意欲というのは落ちてしまいます。

どういった時に起きるのかというと、原油価格やコストの上昇など消費意欲とは関係のない、「コストプッシュ型」と呼ばれるインフレが起きた時に、物価が上がるのに景気が上がらないというこのスタグフレーションの現象が起きます。

生活実感としても非常にわかりやすいかと思いますが、給料が上がらないのに物の価格だけ上がっていくと当然苦しくなっていきます。

企業としても、需要があるから価格を上げるのではなく、仕入れ価格が上がってしまってやむなく価格を上げているところがあり、必ずしも儲かるというわけではありません。

当然賃金は上がりませんから、物価の上昇が止まらない限り悪循環に陥ってしまうことになります。

一方では、今物価が上がっているのはコロナから回復して人々が当たり前の生活をするようになって景気が回復したからだという見方も当然できます。

ただそう楽観視できない数字も出ています。

この、小売上高に関して、例えば新型コロナショックの時にガツンと落ちました。

しかしその後ロックダウンが解けたときにその反動でグンと上がったこともありました。

アメリカのケースです。

その後しばらくコロナ禍が続いていたのですが、ワクチンの接種が進んだことによって、特に今年に入ってから大きく盛り上がりました。

マスクをしないで外に出歩くような人たちが増えた時期です。

この時には大きく上昇したのですが、その後を見ると結局根元のところに戻りつつあって、今は0の線を挟んでプラスとマイナスを行き来している状況です。

従って、アメリカも今年の前半のように騒いでいた状況では決してないということがうかがえるわけです。

さらに顕著なのが中国の状況です。

中国も同じような状況だったのですが、コロナの抑え込みには成功したとはいえ抑圧された状況が続いていました。

この1月からこの4月にかけての上昇というのは昨年の下落からの反動と見えますが、そこから先安定して以前のように10%弱のところで推移していくのかと思いきや、ここでまたズルズルと下がっているのです。

中国では、感染者や死亡者は出ていないのですけれども、一方で少しでも出たら一気に封鎖してしまうというな動きが続いていますから、大手を振って外に出られるという状況ではなくなってきているのです。

さらに、習近平国家主席は民間資本の事業活動に対する引き締めを強めています。

IT企業が力を持たないように彼らの力を削ぐようなこともしていますし、不動産に関しては今中国恒大の危機が叫ばれていますが、不動産価格を引き下げようとしていることが明確です。

そうやって人々の活動意欲を削ぐようなことをしていて、さらには高額商品に対して”贅沢は敵だ”と言わんばかりの政策もとっています。

そういったことが続いていると、昔のようにはやはり戻らないのではないか、そうなってくると、中国は世界第2位の経済大国になっていますから、中国の消費が衰えてくると世界的にもやはり経済が巡らない、景気が上向かないということは十分考えうるわけです。

中国の景気が上向かないのは実は消費側だけではなくて生産側の話もあり、半導体が特に足りず、半導体メーカーこそ頑張りますがそこから先にあるスマホの組み立てメーカーなどは稼働のしようが無いわけです。

開店休業状態のように陥っています。

となるとそこで働いている人や企業は目先のお金が入ってきませんからやはり売上は下がってしまいます。

やがてはそこからの反動増ということも考えられますが、今の状況を見るといざ半導体が戻ってきたときに実はもうそれほど消費意欲もなく、給料も全然上がってないし今更高いiphoneとかいらないというようなことになるといよいよ本格的に景気が崩れてしまう可能性があるわけです。

今半導体メーカーもガンガン投資を行って半導体を作り続けていますがこの半導体というのはサイクルがあって、今みたいに需要があるときは投資をするのですがやがては供給が需要に追いつき、今度は各半導体メーカーが投資した分を回収しないといけませんから、すでに需要に追い付いているのにさらにたくさん供給
することになります。

そうすると今度は半導体の価格が値崩れを起こしてくるのです。

半導体に限らずコロナの時のマスクなどでも経験したのではないかと思います。

一時はすごく高値で取り引きされていたものがだんだん供給が追い付いていって今では二束三文で店頭で売られている状況です。

半導体でも同じことが起こり得るのです。

となるとこれまで牽引してきた半導体も今後どうなるか分からないというところにもなってきます。

このように世界の経済というのは全てつながっていますから、世界の景気指標を見るというのは経済の先行きを見通す上では非常に重要になってくるわけです。

さてここからは株式投資に関しての話ですが、物価が上がってくると厄介なのが金利との関係です。

アメリカ中央銀行(FRB)は物価の上昇率の目標を年2%に定めています。

それを上回ってくるようになると今度は金利を引き上げる必要があるという風に考えています。

なぜなら、今みたいに物価の上昇をもたらしている一つの要因が金融緩和にあるからです。

例えばこれから原油価格が上がると考えると投資家としては少しでもお金を借りてエネルギーなどの方面に投資しようと考えます。

そしてそんな時に金利が低いということになると、今のうちにいくらでも借りてしまおうと考えますからどんどんお金を借りてそれを資源などに投資してさらに資源価格の上昇を招くということになりかねません。

そうなると投資家は潤うかもしれませんが人々の生活はますます苦しくなってしまうのでいよいよここで金利を上げなければならないという判断をする可能性があります。

FRBのパウエル議長の最近の発言では、「経済再開が継続する中、ボトルネックや雇用の困難、他の制約の度合いが想定以上に大きく長引く恐れがあり、インフレに上振れリスクを及ぼす可能性がある」と、これまではインフレに対してどちらかと言うと楽観視していたところがありましたが、意見を変えてきています。

さらには、「持続的なインフレ上昇が深刻な懸念となれば、インフレが我々の目標と整合して推移するよう、FRBは確実に対応し、政策手段を講じる」という風に言っています。

この11月にはテーパリング(量的緩和)の縮小を始めるという風に言っているのですが、実は金利の引き上げに関してはまだ先のことだという風にも見られています。

けれども市場関係者が想定している以上に長期の金利引き上げがあるかもしれないと、株式市場に関してはこれを警戒しています。

もっとも私はこのコロナ後の金融緩和は経済の維持には一定の効果をもたらしたと思っています。

けれども一方で過剰な流動性、簡単にお金を借りることによって株価を必要以上に引き上げてきた部分は正直あるのではないかという風に思っていて、ここで反動があることは何らおかしいことではないとも考えています。

今後のシナリオ。注目すべき銘柄は?

今後のシナリオですけれども、物価に関してはこういった赤の曲線を描くのではないか、とりあえずまだ上がりそうだなというところがあります。

一方で景気に関しては今コロナ後で一時期盛り上がったけれども実はバカ騒ぎをするのは一瞬で、その後はコロナ前の世界に戻ってしまうのではないか、そんな時にやたらガソリンが高いということになったら消費意欲も衰えてしまうのではないかということが一つ考えられます。

同時に金利はというと、この物価上昇を抑えるためにはやはり金利を上げなければならないということになります。

金利を引き上げるということは一方では景気を冷やすという側面もありますから、これが景気の低迷を長引かせる要因となり得る可能性も十分に秘めていると思います。

金利が上がるというのは株式市場に対しても冷水となりますから投資家としても一つ見ておかなければならないところではないかと思います。

すなわち、物価が上がり、景気が下がり、一方で物価を抑えるために金利を上げなければならないということになると、このスタグフレーションがもしかしたら1年間ぐらい続くのではないかということが想定されるわけです。

一方で経済というのは巡るものですから金利が上がればやがて物価も落ち着くでしょうし、景気も悪かったところからどこかで回復するということがありますから、そこから先はある意味で安心できるというところがあるのではないかと思います。

だからこそ私たちはこの目先の不安要素というのを乗り越えて長期投資を行うことをオススメしているわけです。

ではその長期投資を考えた時にどういった銘柄に投資すればいいのかといういうことですけれども、一例を挙げるとするならば当然まず資源というのがあります。

実はこの石油会社などはまだ原油価格の上昇ほど上がっていないという側面があります。

もっとも原油価格の上昇がどこまで続くのかは分からないというところもあるのですが、今回よくわかった通り、脱炭素という側面でネガティブなところもありますが、石油は人々の生活には欠かせないものです。

もし成長がなかったとしても、例えば配当などそういった部分に関してはやはり安定的に得ていけるのではないでしょうか。

例えば日本の銘柄だとエネオスなどは配当利回りで言うと4%くらい高かったりしますからそういった考え方で見て、もし資源価格が上がったら株価も上がる可能性もあるという風な観点で、”潰れない銘柄”という意味では持つ可能性はあるのではないかと思っています。

それから、必要不可欠な消費をやっているところです。

インフレになったとしても、やはりどうしても人が買わなければならない日用品だとかそういったものは、インフレに応じて価格を上げることが出来るのです。

あまりに大幅に上げることはできませんが、適正な利潤を常に抑えることができますから株価もインフレレベルぐらいには上がっていくだろうということが想定されるわけです。

日本銘柄で言うと花王とかそういったところを見ていくと面白いのではないかと思います。

長期変化としてはやはりアフターコロナの長期変化です。

人々の意識というのもかなり変わって、人々も変われば会社の方も変わってきています。

デジタルというのが一つ大きな側面かと思いますが、旧来の会社であってもデジタルとか新しい生活に合わせて改革しようと、これまで変化しなかった会社が頑張って変わろうというような動きも起きていますからこういった企業がないかということをつぶさに見ていきたいと思います。

このような側面から私は長期投資の銘柄を探したいというふうに思っています。


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