永続的に利益を生み続ける力を持つ企業のみが長期投資の対象になりうる/AIには真似できない投資法

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経済の堀=永続的に利益を生み続ける力

ウォーレン・バフェットは、株を買う時に「経済の堀を持つ企業に投資しなさい」と言います。私自身も頭ではわかっていたつもりでしたが、最近ここにもっと深い意味があるように考えるようになりました。

中長期の株価の動向を見ていると、PERなどの指標が低いとは言えない企業でも、株価は大きく伸び続けることが珍しくありません。そのような企業に共通しているのが、それに見合うだけの利益成長を続けているということです。マイクロソフトなどはその代表的な事例です。以下のチャートにおける期間のPERは30倍前後で一貫しています。

Microsoft業績推移(出典:マネックス証券)
Microsoft株価推移(出典:マネックス証券)

これを見る限り、マイクロソフトの株価上昇は決してバブルではなく、それなりに高い市場の期待に応え続けていると言えます。

なぜそのようなことが可能なのでしょうか。それはマイクロソフトが培ってきた競争優位を磨き続けたからだと思われます。

マイクロソフトはかつてWindows 95で世界のパソコン市場を席巻しました。しかしその後、スマートフォンの登場により劣勢と見られていた時期もあったのです。しかしながら、パソコンの使用=ビジネスという市場にターゲットを当て続けた結果、クラウドサービスという新たな事業で結果を出すことができました。そして今再び、Teamsなどビジネスの世界になくてはならないものになっています。

私たち長期投資家がお金を投じているのは、企業の価値です。企業の価値とは、株式の世界では「将来生み出されるキャッシュフローの現在価値の総和」ということになります。これを大きくするために必要なことは、将来を犠牲にして目先の利益を追求することではなく、何年も何十年にもわたって利益を生み、増やし続けることなのです。

逆に言えば、これができない企業の価値はおぼつかないということになります。いくら目先の調子が良くても、それが続かないとわかっているのなら安心して持ち続けることはできないでしょう。

将来にわたって利益を生み出し続けるために必要なのが、バフェットの言う「経済の堀」なのです。

目先の利益<将来の競争優位

「経済の堀」を作り、維持し続けるためには、企業における不断の努力が必要です。目先の利益のために、営業員をパワハラ的に酷使し続けるような企業では、その堀は一瞬にして失われてしまうでしょう。一方で、キーエンスのようにコストをかけてでも高い給与を払い、モチベーションを維持し続けられる企業ならその辺は長く続くものになるのです。

キーエンス株価推移(出典:マネックス証券)

もしまだ利益に結びついていなかったとしても、将来を見据えて掘りを掘り続けている企業だったら、やがてそれが利益という形で花咲く可能性があります。例えば、YouTubeでも紹介したワークマンは、作業服市場というニッチで堀を掘り続け、それを他の市場に投入することによって一気に花咲いたのです。

ワークマン業績推移(出典:マネックス証券)

すでに結果を出している企業だったら、伸びるとはいえ株価の上昇余地は限定的でしょう。一方で、力を貯めている企業なら、それが発揮された時の上昇力は凄まじいものがあります。この場合、目先の業績におけるPERの数値はあまり関係ありません。

私が今探したいと思っているのは、このように力を貯めていて、将来それが大きく開花すると考えられる企業です。

「素晴らしい企業探し」がAIに取って代わられることはない

問題はどのようにしてそのような企業を見つけるかです。数値的な指標としては、例えば研究開発費をたくさん投じている企業だったら、堀を掘っている状態にある可能性があります。ただし、研究開発費の定義は企業によってまちまちで、本当に利益に繋がるものかどうかも分かりません。

そこで大切なのは、その研究員たちがどこに向かって研究を行っているかということです。各々が勝手に趣味的な研究をしていたのでは、当然利益には繋がらないでしょう。将来の大きな夢に向かって、少しでも可能性を追求していることが必要です。

また、すでにある程度の技術を持っている企業なら、それをうまく見つけ出し、ビジネスにつなげる経営者が必要になります。上記のワークマンでは、2012年にやってきた土屋CIOがその役割を果たしたのです。

すなわち、このような企業に大切なのは以下のような要素があると考えます。

  • 経営の方向性(ビジョン)
  • 長期的視野
  • 利益につながるロジック

これらを兼ね備えた企業を見つけ出したいのですが、数値で表れないことから決してスクリーニングで見つかるものではありません。一社一社をつぶさに観察し、その企業が向かっている方向性や経営者のビジョンを確認し、本当にやるべきことをやっているのかというところまでチェックする必要があります。まさにしらみつぶし、宝探しのような作業です。

逆に言えば、これをやっている限りはコンピューターにとって代わられることはないという確信があります。AIは同じことの繰り返しは得意ですが、これから何が起きるという想像力を働かせることはできません。これはまだ人間の頭が大きく勝っているところです。

企業を観察し、その強みを見極め、将来に何が起きているか想像する。これを繰り返すことできっと素晴らしい企業を見つけられると確信しています。今日からまた一社一社分析を続けるのみです。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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2 件のコメント

  • 投資先の選び方の指針を教授頂き、ありがとうございます。何年か前にエネオスを解説いただいてから、ちょくちょく、買っていたものがここに来て、大きく実を結び感謝しております。近くでは、リクルートの考え方が参考になりました。

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