さわかみ投信「バブル崩壊は、もう時間の問題」 ー本当か?検証と長期投資のコツ

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以下、文章化したものです。

 


独立系投資信託会社のはしりでありますさわかみ投信の創業者であるさわかみさんが、バブルの崩壊は時間の問題だという意見広告を全面広告で出しています。
 
これほどのお金をかけて市場がバブルだとさわかみさんは言っていますが果たして本当なのでしょうか。
 
本当だとしたら株式市場関係者には由々しき問題となります。
 
ここでは状況を客観的に整理するとともに私の意見を述べさせていただきたい思います。

さわかみ投信の警鐘

実は数ヶ月に渡って日経、朝日、読売の三社に計10回も全面広告を出していたのです。
 
そして10月の頭に最後のものが終わりました。
 
バブルの崩壊は時間の問題で、今投資するのは避けた方が良いのではというようなことまで言っています。
 
これを真に受けたら当然今は株式投資するべきではないのではないかという風に見えてしまいます。
 
まして投資信託の社長は創業者であるさわかみさんがこんなことを言うとそもそも投資信託も売れなくなってしまうだろうというような気すらしてしまいます。
 
これはさわかみさんのポリシーで、市場の急上昇というのには否定的な立場なのです。
 
なぜならさわかみ投信が投資している先は企業の実態経済の価値だということです。
 
したがって、実態経済の価値に関係なく金融相場が金融緩和によって株価が引き上げられる状況というのは、この価値に投資する投資信託としては看過できないというようなポリシーでこの広告を出しているのだと考えます。

今の市場はバブルなのか?

では実際にどれほどこの金融緩和が株価を押し上げてきたのかを分析してみたいと思います。
 
まずマネーサプライです。
 
これはアメリカのものですが、どれだけ世の中にお金が出回っているか、そのお金の総量を示したものです。
 
これまでもずっと伸びてはいたのですが、特に2020年に入ってから新型コロナショックで給付金や貸出金を増やしたことによって一気に伸びたわけです。
 
これが株価の上昇を牽引しているというのは間違いないことではあります。
 
上場企業の時価総額をGDP(この表ではGNPとなっています)で割ったバフェット指数というものがあり、これが1を上回ると割高な水準となります。
 
 
国の経済力に対してどれだけ株価が膨れ上がってしまっているかという指標です。
 
表はアメリカのものですが、確かに過去を見ると2000年頃のITバブルの時は1を超えてその後結局下落しています。
 
それから2008年のリーマンショックの前にはこれもまた1を超えるような場面がありましたがその後結局暴落したというところがあります。
 
やはり1を超えると警戒水準という風に見られていました。
 
ところが、2015年も同じような状況で一時は「チャイナショック」といって下げたのですけれどもその後も
ぐんぐん上がっていて、コロナショックで下がった後むしろ金融緩和を受けてさらに上がり、今は1どころか2、基準とされるものの倍という水準にまで達しているのです。
 
これを見ると、やはり株式市場はバブルであると見えてしまいます。
 
さわかみさんが割高だと言っているのもこれが一つの要因になっているのではないかと思います。
 
しかし、バブルかどうかを判断するためにはどこにお金が流れて株価が上がったのかを調べなければなりません。
 
したがって、ここで個別の企業について見ていきましょう。
 
時価総額、お金の総量というところを考えると、どれだけ大きなお金がどの企業に流れたのかということを考えなければなりません。
 
そのために、2020年10月から21年10月にかけて時価総額が大きく伸びた順にランキングを示してみました。
 
このグラフがアメリカに上場する企業の上位50社に絞って過去1年間にどれだけ時価総額が増えたのかをランキングにしたものです。
 
これを見ることによってどれだけ大きなお金がどの企業に流れたかというのが分かります。
 
単純にパーセンテージだけ見ると何倍にもなっている企業ありますが、やはり大きな流れを見るためにはこういった時価総額の大きいところを見るべきです。
 
これらが市場全体の上昇をけん引していることも間違いないわけです。
 
そういった観点で見たときに一番過去1年で時価総額を伸ばしている企業がグーグルです。
 
これがおよそ8兆ドル、日本円にしてなんと100兆円も時価総額を増やしています。
 
そして2位のマイクロソフトが7兆ドル、日本円で80兆円です。
 
そのほかアップルテスラと、この4社だけで実は増加額の大部分を占めているということになります。
 
すなわちどういったところにお金が流れているのかというと、市場全体ではなくてどちらかというとすでに強い企業で、強い企業がますます強くなるという流れが起きているのです。
 
これが株式市場全体をけん引していると言えます。
 
ではこうやって資金が集まってきた企業は、PERなどのバリュエーションの側面で見た時に割高になっていないのかという視点が大事です。
 
資金が流入して株価が上昇するとどうしても割高ということが懸念されますが、一方で株価上昇に対して利益が十分に増えているということであればそれは実態を反映した株価上昇ですから、根拠のないバブルとは
異なるわけです。
 
そうやって見ているとPERの水準は、グーグルが28倍、マイクロソフト34倍、アップル27倍、テスラは125倍というかなり高い数値を示していますが、その次にフェイスブックが22倍というような形で並んでいます。
 
先ほどのグラフの上位20社を並べましたが、ざっと見る限りそれほど割高ではないのではないかという風に見えるわけです。
 
平均的なPERが15倍と言われますからそれに比べて30倍前後というのは高いと言えば高いですが、グーグル、マイクロソフト、アップルのような優良企業が30倍だったらさほど高いとも言えない数値ではないかと思います。
 
もちろんテスラの125倍というのはちょっといかがなものかという数値ですが、全体としてみればやはりそういったバブル的な状況は起きていないのではないかと思います。
 
日本のバブル経済の時は大手企業のPERが軒並み60倍とか80倍とかそういった到底利益からは説明できないような高い水準になっていたのです。
 
それと比べたら全くバブルと言えるような状況ではありませんし、これらの企業の力強さというものを見ると当時の日本とは比べ物にならないほどの世界的な強さを持っていると考えます。
 
ではなぜバフェット指数があれほど高くなっているかというと、GDPと企業業績が必ずしもリンクしなくなってきているのではないかと考えています。
 
GDPは国の経済そのものですが、PERを示す企業業績は一部の企業のものというところになります。
 
インターネット中心の世界になると、検索だったらグーグル、パソコンだったらマイクロソフト、スマホだったらアップルと、一部の企業がプラットフォーマーとして独占で一人勝ちになるような状況になっているのです。
 
当然その会社の利益は上がり、利益が上がると時価総額が上がるり、そしてお金が付いてくるという流れになります。
 
つまりその企業が上げた利益は必ずしも労働者などに分配されるものではないのです。
 
なぜかというと、これらがブランド力や技術といった無形資産に強みを持っているからです。
 
例えばグーグルという器があれば、人を採用しなくてもそのシステムだけで利益を生んでいける状況になっているのです。
 
これが国の成長以上にこれらの企業の業績が上がっている一つの要因となってくるわけです。
 
ポイントは無形資産があるか、無形資産がどれだけ強いかというところです。
 
逆にこういうところに乗り遅れてしまった企業の価値というのはやはり伸びておらず、それは国のGDPを引き下げる力になります。
 
結果的にGDP以上に企業の業績が上がってバフェット指数が上がりました。
 
しかし企業の利益というところに立ち返ってみると決して割高ではないと言えるのではないかと思います。
 
一方でお金が流れていると言えばビットコインがあると思います。
 
時価総額に関しては138兆円というところで、しかもこの1年でビットコインの価格は120万円から700万円と6倍近くまで上昇しています。
 
しかしこのビットコインの価値の裏付けはものすごく曖昧なもので、キャッシュフローを生むわけでもありませんし、何か基準となるものがあるわけではないのです。
 
一つ挙げられるとするならば、ビットコインを採掘するための電力がそれに該当すると言われています。
 
しかしその電力的な価値を大幅に上回る価格となっています。
 
バブルがあるとしたらこういったビットコイン、あるいは先ほどのPER125倍という数値で示されたテスラなどはバブルの可能性があると考えます。
 
ただ人気があるからといって上がっているような状況ではなく、市場は賢いのではないかというのが私の見方です。
 
 
ではさわかみさんがなぜこれほどバブルだバブルだと言っているのかというと、客観と主観を分けて考えられなくなってきているからではないかと思います。
 
私も近い側面があるのですが、私たちのように価値に投資する投資家としては、正直株価は下がってくれた方が買いやすいのです。
 
上がっている時には無理に買わず下がった時に買う、「押し目買い」とも言いますが、新型コロナショックで大きく下げてからは押し目らしい押し目は訪れていません。
 
そういったことが続くと、気持ちとしてはどうしても買いの局面が無くて残念、金融緩和が悪い、という思考回路になってしまいがちですが、相場には「押し目待ちに押し目なし」という格言があります。
 
大きく下落した買うチャンスばかり狙っていてもそういう時こそチャンス訪れないということです。
 
私もこのような思考に陥ってしまいがちなので、自戒を込めていうところでもあります。
 
ある意味はこの押し目待ちというのもさわかみさんが否定しているようなマネーゲームの一つなのではないかと思います。
 
これから暴落が来るというのも根拠のない予想や期待に過ぎず、それは丁半博打ということになってきます。

株価は価値に収束する。まずは買ってみる

一方で私たち長期投資家が考えるべき図がこちらです。
 
長期で価値を生み続ける企業というのはおおよそこういったグラフのように、カーブを描いて価値が右肩上がりに伸びて行くパターンがほとんどです。
 
なぜかというと企業の成長というのは複利だからです。
 
企業はまず事業で利益を生み、その利益を再び利益を生む資産に再投資することによってさらにリターンを生み続けるということになります。
 
最初は微々たるものに見えるかもしれませんが、感覚的にはある時急に伸びる時があります。
 
 
私たちはこうやって間違いなくずっと長期間にわたって利益を生み続ける企業に投資する、そしてそれを高い安いに関係なくとにかく早いうちに買っておくことが大事です。
 
そういった企業を買っておけば、確かに目先で相場の下落によって含み損になるかもしれませんが、5年10年と経てばやがては株価が上昇している可能性が高いのです。
 
なぜかというと企業の株価というのは価値に沿ってくるものだからです。
 
それを実際に示しているのがこちらのチャートかと思います。
 
アマゾン、グーグル、アップル、マイクロソフトです。
 
いずれも先ほど示したような複利のカーブを描いています。
 
こういった企業は自らの強みをどんどん強くし続けることによって価値を伸ばし、それが株価の上昇に繋がってきたわけです。
 
だからこそ今株価が上がったのは、金融緩和も要素の一つとしてはあるかもしれませんが、基本的にはやはり企業の価値を増やしたからではないでしょうか。
 
私はこれがバブルだとは思っていません。
 
では日本が見過ごされているのかというとそうでもなく、日本の中にも素晴らしい企業はあるのですがなかなかこれほどのものは無いというところもあるのではないかと思います。
 
これらを踏まえて、相場に関係なく良い企業を買う方法としては、とにかく良い企業で割高でないならまず買ってみることが必要なのではないかと思います。
 
いつまでも大幅に安くなるのを待っていたらいつまでも買えません。
 
そして買って終わりではなくて、やはり相場ですから先は読めませんし、場合によってはさわかみさんの言うように30%とか50%とか下がるかもしれません。
 
そういった時には改めて事業内容をチェックするのです。
 
企業の価値というのはすなわち事業ですから、事業が良ければ一時は株価が下がったとしてもやがて上がって、価値のところに落ち着く可能性が高いです。
 
株価が下がった時はナンピン買いで単価を下げてかつ持っている量を増やすチャンスという風に捉えるわけです。
 
これを繰り返すことでやがては素晴らしい企業をたくさん持つ、しかもナンピンしているので少しでも安い価格でたくさん持つというところになります。
 
それができればあとは相場の状況によって慌てる必要もなく、持ち続けるだけで資産が増える状況を作ることができるのです。
 
ぜひこのような長期投資の方法を試してみてください。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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