販売台数大幅下方修正。日産自動車、大丈夫?

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YouTubeに動画をアップロードしました!

 

 

 

以下、文章化したものです。

 

 


今回は日産自動車についてお話ししたいと思います。

11月9日に日産自動車が2021年度第2四半期の決算を発表しました。

そこではなんと今年度の販売台数が当初の見通しよりも14%も下がるという見込みを示したのです。

これは本当に大丈夫なのかということを深掘りしたいと思います。

販売台数減も業績はアップ

まずこの2021年度の販売台数見通しですけれども、昨年度はコロナショックもあり販売台数は405万台でしたが、これが7月にはそれを上回る440万台販売できるという見通しでした。

ところがこの決算発表で示された見通しでは380万台と、当初の予想から14%も減少してなおかつコロナ禍であった2020年度をも下回るという数字になっているのです。

その原因が半導体不足と言われています。

コロナ禍で半導体の生産が滞ってしまったというのと、需要側ではテレワークとか様々なIT機器の需要が増加したおかげで半導体の生産が追い付かなくなってしまいました。

これによって自動車各社が減産を余儀なくされているという状況になっています。

日産も生産が間に合わないという状況になっているわけです。

したがって、今期の業績は厳しいものになるのではないかと全体的には思われていたのですが、蓋を開けてみると、今年度業績の見通しでは、営業利益に関しては当初1500億円の利益と想定していたのですがこれが1800億円に上方修正を行っているのです。

さらに当期純利益に関しても当初600億円の予想だったものが1800億円と、3倍もの数字を出しているのです。

アフターゴーンの改革は成功か?

販売台数は減っているのに利益はこれだけ伸びるのはどういうことだろうという疑問が湧きます。

この詳細についてさらに深掘りしていきたいですがその前に日産自動車がどういう状況になっていたのかということについてまずは振り返ってみたいと思います。

これが過去5年間の株価推移です。

記憶に新しいところではカルロス・ゴーン社長が2018年の11月に有価証券報告書の虚偽記載の容疑をかけられて逮捕されてしまいました。

その後日産で行ってきた経営というのが実は必ずしも芳しくなかったというところがあります。

業績を見ると、これは純損益のグラフですが、ゴーン氏がいた時は見かけ上は利益を保っていたのですが彼が退くやいなや、業績はみるみる下降をたどり、2019年度には6700億円もの最終赤字、そして2020年はコロナ禍もありましたから4400億円もの最終赤字を計上しています。

この様子から見るに日産はその前からあまり評判が良くなかったのですが、ゴーン氏が行なっていた経営の反動が出ているという状況になっています。

これについては別の動画で解説しているので詳しくはそちらを見ていただきたいのですが、要点としては、日産の課題としては3つありました。

【日産自動車】バイデン銘柄になれるか?2021年新型アリア投入で起死回生を目指す!

1つはゴーン氏の過大な目標の反動です。

当時の目標というととにかくたくさん台数を売って売上をどんどん伸ばしていこうという戦略をとっていました。

しかしながら、このゴーン氏のやり方というのはとにかく目先の収益目先の売り上げを追うものでしたから、高い目標を掲げたら厳しいゴーン氏なので部下の人たちはそれを達成するために何とかやっていかなければならず、そうなった時にとりうる手法としてはひとつ販売奨励金があり、ディーラーに売れたらいくら払いますよというな形でこの販売奨励金を積み増したのです。

その結果、販売奨励金というと最終的には自動車の販売価格において値下げの原資となりますから販売奨励金を積み増せば積み増すほど新車が値下げして売られるということになります。

これを繰り返した結果、日産はすごく値引きするという風になってしまって、ブランド価値の低下をもたらしてしまったのです。

また同時に、特にアメリカ市場ではフリート販売といって、レンタカー屋さんに大量に自動車を卸すというようなことをやっていました。

日産もレンタカー屋さんに大量に車を卸して販売台数の目標を達成したということになっていたのですが、これも当然たくさん出したものはすぐに中古車市場に流れてしまうというような状況があったのです。

これもまたブランド価値の低下を招いてしまったというです。

2つ目に社内体制の問題で言うと、検査体制などが不十分で国土交通省から指摘されるまでこの検査体制の不備を放置していたことなど、やはりこれも無理が祟ったということがありました。

そしてこの3つ目が一番重要な問題で、売れる車が無いということがありました。

人気車種ランキングを見ても、上位に日産の車が来るということは実はもうほとんどなくなっていたのです。

ホンダとトヨタがメインを占めるという状況だったわけです。

これはブランド価値の低下ともリンクしていますし、とにかく台数を売るということばかりに集中していましたから、いい車を作るんだという自動車会社における根本が失われてしまっていたという部分があります。

そうして日産はゴーン氏なきあと大改革を行っていたわけです。

それが今回の増益要因と非常に密接にリンクしているのです。

大きな要因として一つは円安ということがありましたし、純利益という部分に関しては日産がルノーとともに持っていたダイムラー社の株式を売却したことによる特別利益という部分があったことも確かにあります。

しかし、純利益だけではなく営業利益もある程度伸びているというのは評価していい、今後も継続性のあるものと考えています。

なぜかというと、先ほど売れる車がないのが日産の最大の問題だと言いましたけれども、ゴーン氏がいなくなってから再び良い車を作るということに磨きをかけていまして、2021年度には新型車が比較的好調な推移を遂げているわけです。

各セグメントにおいてシェアをかなり盛り返してきているというところがあります。

しかも、高くても買ってもらえる良い車を作る方にシフトしていて、これによって利益率の向上が起こるわけです。

量から質へ」ということです。

これも決算説明資料の中にあるものですが、台当たり売上高、つまり1台がどれだけの値段で売れているかということなのですが、これが2021年度今四半期に関しては11%上昇、新車が出回らないという環境要因もあったかもしれませんが、これまで安かろう悪かろうだった日産の車を、高くても買いたいものとしました。

かっこよくて高級感のある車を売ってるのではないかと思います。

これでプライシングパワーが11%上昇しましたし、また生産の部分に関してもコスト削減努力を地道に行っていて、これが15%改善したことで損益分岐点の販売台数が15%改善したということで、日産のゴーン氏なき後の改革というのは着実に進んでいると見ていただいていいのではないかと思います。

さらにこの2021年というと、社運を賭けた新型アリアを投入する予定となっています。

これは確かに一つ懸念としては、半導体不足によって生産自体が追いついていなくて、欲しい人に届いていないという状況が続いているわけですけれども、車を買いたい人は待ってでも買うという状況にもなっています。

今回の日産の決算説明会はYouTubeで見ることができ、アシュワニ・グプタCEOが力を込めて言っていたことが、日産のこれからの経営はバリュー、つまり価値にフォーカスする、車1台の価値をいかに高めるかというのがこれからの日産のビジョンだというふうに言っています。

さらに足元の状況に関していえば、ゴーン氏の時はどう販売するか、値下げをしてでも顧客にねじ込んであるいはレンタカー屋さんに買ってもらうなどいかに販売するかというのが目標だったのですが、今はそういう状況にない、あくまで客が欲しい車を売る、生産がなかなか追いつかなくて迷惑をかけている状況ですけれども、しかしそれは供給側の問題であって事業側にはしっかりとしたものがあるというふうなことを自信を持ってプレゼンしていました。

ここから日産の自信がうかがえるのではないかと思います。

さて株価ですが、ピークから一時はおよそ3分の1ぐらいに下がって、今でもおよそ3分の1ぐらいですけれども、これ見れば分かる通り日産の株価もおよそこの業績に従って動いているというところがあります。

今期が純利益2800億円の予想となっています。

特別利益も含んでいるので一概に正しいとは言えませんが、ただ今後さらに利益率の改善なども見込んでいます。

2021年には完全電気自動車の新型アリアの販売が予定されています。

今は半導体不足で車を売ることができていませんけれどもこれが売れるようになった暁には、少なくとも中期的には明るい未来が想像できるのではないかという風に考えています。

もっとも、自動車業界ではEV化や自動運転化と、競争が激しくなっていますからそれに関してはどこが勝ち抜くかは未知数ですが少なくとも日産は今やるべきことをやっているのではないかというのが私の今の見立てです。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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