【1ドル=130円】今後1~2年でさらに円安になる理由と対策

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以下、文章化したものです。

 

 


円安が進んでいて、1ドル114円、これが4年8カ月ぶりの円安ということです。
 
なぜこれほど円安が進んでいるのでしょうか。
 
これには実は科学的な背景があります。
 
それを理解していれば、今後どのように為替が動いていくかをある程度予想することができるのではないかと思います。
 
そして、この円安でどういった銘柄に影響がでるのかということについても見ていきたいと思います。

円安は”当然”

これが、米ドル/円の推移です。
 
過去3年のチャートですが、コロナショックの時や2021年初めの頃には102円くらいまで円高が進んだのですが、そこからぐんぐん円安が進み今では114円台とこれが4年8か月ぶりの円安となっています。
 
この円安には明確な背景があります。
 
それがこの日米の長期国債の利回りを見ると分かります。
 
チャートの動きを見ても仕方ないのですが、この日本国債10年の直近値が0.070%とほぼ0です。
 
それに対して米国債は1.639%と高い水準になっています。
 
さらに、アメリカでは今この金利をもっと引き上げようという動きがあります
 
というのも今、世界的な金融緩和や資源高によってインフレが進んでいます。
 
金融緩和は理論上でもほぼ間違いなくインフレを引き起こすものですが、もしかしたらこのインフレに歯止めが利かなくなるのではないかとも見られています。
 
インフレが加速していくと生活のコストが上がるので、特に株式などを持っていない低所得の人々にとって苦しくなってきます。
 
アメリカの中央銀行(FRB)としてはそれは何としても避けなければならないので、金融緩和を行って金利もほぼ0にしていたものを、当初は金利の引き上げは2022年後半と言われていたのですが、これをもっと早期に行わなければならないのではないかという見通しが出ています。
 
このことから、アメリカの金利は今後ますます上がっていくのではないかと思われます。
 
このような日米金利差が大きく影響していた時期が実は過去にもありました。
 
アベノミクスの時です。
 
この時は、アメリカがリーマンショックからの経済の回復が続いてどんどん利上げしていました。
 
一方で日本はなかなか経済が回復せず、経済を活性化させるためにゼロ金利政策を続け、金融緩和もしました。
 
そのおかげで一時は1ドル130円近くにまで円安となりました。
 
なぜこの金利差が円安をもたらすのかということについても説明します。
 
例えば、日本でお金を貸したり預けたりしても金利が0.1%しか付かなかったとします。
 
一方でアメリカの金利が2%だったら、単純に考えたら日本で預けるよりもアメリカで預けた方が戻ってくる利息が多いので、どんどん円を売ってドルを買うという動きが強くなります。
 
買いが多い通貨の価値は上昇し、逆に売りが多い通貨の価値は下落するので、ドル高円安という状態になります。
 
しかも、今あるお金だけではなくて、「円キャリー取引」という動きも起こります。
 
日本の低い金利でお金を借りて、そのお金をアメリカで運用しただけで、単純に考えてその金利差分の利益が得られるということになります。
 
円で借りてそれを売ってドルに換えるので、さらに円売りドル買いの需要が発生します。
 
長期的に考えれば「金利平価」という考え方もあって、このいわゆる裁定取引、金利差による無条件での利益というものは通用しなくなってくると言われてはいるのですが、やはり目先ではそういう動きが起こりやすくなります。
 
海外にものを売るときには円高より円安の方が利益を出しやすくなるので、一般的には円安は歓迎されます。
 
しかし、今回に関しては一概にそうは言えない状況となっています。
 
というのも、世の中で円安と同時に進んでいるのが資源高原材料高です。
 
日本は多くのモノを輸入してそれを普通の消費者が購入しています。
 
円安で輸入価格が相対的に上がり、さらにそこに原材料高となると、日用品などの価格が二重苦で上がることになります。
 
こういう状況になってしまうと苦しむのは日本の消費者ということになりますから、日銀もそれを放置しているわけにはいかず、あまりに金利差が拡大しすぎるようだと、金利の引き上げを検討しなければならなくなるのではないかと考えられます。
 
一方で、日銀は金利を上げられないのではないかというジレンマにも差し掛かっているのです。
 
日本はずっとゼロ金利が続いていて、それがなぜかと言うと、一つは需要不足があります。
 
ある程度安定的に物価が上がって行く時が経済的には健全と言われています。
 
日本はしばらくの間物価が下がるデフレが続きましたが、デフレになるとまだ下がるのではないかと人々が消費を控えてしまうわけです。
 
消費を控えると当然企業の収益も減りますから人々の給料も減ってさらに需要が減るという動きになって、経済にとってよろしくないわけです。
 
これを脱却するために少なくとも簡単に低い金利でお金を借りられるようにする低金利政策によってお金をどんどんばらまいてきたのですが、いくら低金利でお金を借りられるといっても、人々が車とか家とかをポンポン買うかというとそんな時代ではなくなっています。
 
需要不足でなかなか物価が上がらないという状況です。
 
デフレからそもそも脱却できていないのに金利なんか上げている場合じゃないんだというところです。
 
アメリカの場合は経済が活性化して需要が盛り上がったことによってインフレが起き、物価を下げるために金利を引き上げるということをしますが、日本の場合はそもそも需要が足りなくて、どちらかと言うと原材料高や円安による”コストプッシュ型”のインフレであり、金利を上げたところでインフレが治るわけではなくなっています。
 
日本の金利とインフレはあまり直接関係が無くなっているのです。
 
金利を上げられない理由として、「金融抑圧」というものもあります。
 
日本の財政を考えなければならないのですが、日本のGDPに占める国債の割合が今や250%と言われていて世界でも類を見ないほど高い水準になっています。
 
およそ100兆円の歳出があるうちで約10兆円は国債の金利の支払いとなっています。
 
金利がほぼゼロという世界で10兆円払っているわけですからこれが例えば1%にまで上がったとすると、この利払い費が上がってしまって国家財政が全く余裕が無くなってしまうのです。
 
こういった状況を避けるためにそもそも日銀は金利を上げられないという風になっています。
 
市場原理に任せるのではなく政府が意図的に金利を上げないことを「金融抑圧」といいます。
 
3つ目の理由としては先ほども少し触れましたが、日本には元々輸出企業が多いですし、経団連なんかにも円安になった方がありがたい企業が多いので、それに水を差してまで円安を終わらせる意味が無いと見ている可能性も十分にあります。
 
いずれにせよ、日本は金利を上げられない一方で金利を引き上げなければならなくなってきたアメリカとの差が開くばかりで、円安ドル高が進むというのがこれからの流れだと思います。

円安の前提で企業を見るべし!

この状況は当然株式市場にも大きな影響を与えてきます。
 
苦しいのが内需、日本国内で物を売るメーカーです。
 
メーカーというと、海外から原材料を仕入れてそれを国内で売るということになりますが、円安で輸入価格が上がってしまいますし、原材料の価格も上がっています。
 
一方で国内の需要はその原材料高を転嫁できるほど盛り上がっていないどころか、値段が上がるなら買わないというほどの社会になっています。
 
国内で物を売る内需型の企業は厳しくなっていて、それを見越してか例えば花王や小林製薬といった国内企業はなかなか厳しい株価になっています。
 
これはひとつにはこの円安を反映したものではないかと捉えられます。
 
一方で追い風を受けそうなのは従来の外需型のメーカー、特に自動車や電気製品は海外に輸出したり海外に現地進出していることによってこの為替差益を得られたりするわけです。
 
実際に為替との関連性が高い外需銘柄として挙げられるのがトヨタの関連会社豊田自動織機や自動車のワイヤーハーネスなどを作っている住友電気工業などがその恩恵を受けやすいとされています。
 
過去1年で豊田自動織機が34%、住友電気工業は22%上がっていて、円安の恩恵を受けているわけです。
 
アメリカの金利の引き上げというのは決まったものではないのでどうなるかは分かりませんが、上昇余地もまだまだ大きいのではないかと思います。
 
一方で日銀の金利は上げられないということになるとますますこの円安は広がっていく可能性があるわけです。
 
内需株の足元の動きがネガティブとなっているのもそれを見越したものではないかと思います。
 
よって、当面はこういった内需系を無理に追いかけるのではなくて、しばらく円安が続くことを想定して、例えば外需系にある程度重心をシフトしておくなど、そういったことを考えると良いのではないかと思います。
 
結論としては、1ドル130円の時代というのをこの1~2年は想定した方がいいのではないかということです。
 
それを頭に置いておけば、じゃあ1ドル130円になった時にこの企業の業績はどうなのかということを想像しやすくなり、割安かどうかの判断もしやすくなると思います。

執筆者

執筆者:栫井 駿介

栫井 駿介(かこい しゅんすけ)

つばめ投資顧問 代表
株式投資アドバイザー、証券アナリスト
ビジネス・ブレークスルー(株)「株式・資産形成実践講座」講師

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